電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
ISSN-L : 1882-0875
16 巻, 4 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
表紙
目次
ごあいさつ
技術の原点
幹事団提案
  • 村田 洋
    2023 年 16 巻 4 号 p. 239-246
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    LSIの配置設計に応用される位相的パッキング表現法としてシーケンスペア(sequence-pair)は一つのスタンダードな技術になっている.本稿では,シーケンスペアが生まれたときの状況,実用化は進んだのか,現在残された課題は何か,筆者はどのように関わることができたのかについて筆者の経験と意見を述べる.産業界における実用化は道まだ半ばであり,ベンチャー企業による挑戦は続いている.筆者がこの研究に参加できたのは社会人学生だったからこそと思う.本稿がかつての筆者のような「30代半ばで日々充実して仕事している企業エンジニア」のアカデミックリフレッシュの背中を押す手助けになれば幸いである.

解説論文
MSS研究会提案
  • 赤穂 昭太郎
    2023 年 16 巻 4 号 p. 247-256
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    近年の人工知能・機械学習の成功には大量のデータを前提として技術開発が進んできたという背景がある.一方,機械学習の適用分野が広がるとともに,コストをかけて収集された少量のデータに対しても機械学習を適用したいというニーズが高まっている.本稿では,スパースモデリングやベイズモデリングといった,少量データに向いた機械学習の枠組みを紹介する.また,深層学習に対して少量データの学習を行うための転移学習や,効率的なデータ取得を行うための能動学習やベイズ最適化などの手法についても述べる.更に,これらの枠組みをユーザとして適用する際の注意点のみならず基礎境界の研究分野として解決すべき数理的課題についても概説する.

EA研究会提案
  • ―確率モデル/深層学習に基づく方法の概観―
    戸上 真人
    2023 年 16 巻 4 号 p. 257-271
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    複数の音が混ざった音を音源ごとに分離する音源分離技術は,無線通信のビームフォーミング技術,確率モデルに基づく信号処理及び最適化に関する技術,そして深層学習に関する技術を取り込みつつ進化を続けてきている.本稿では,空間モデルと音源の確率モデルに基づく複数マイクロホンの音源分離技術,深層学習を用いた単一マイクロホンの音源分離技術,そして深層学習ベースの音源モデルと空間モデルを用いた複数マイクロホンの音源分離技術の概観を示す.

R研究会提案
  • 三橋 明城男, 吉川 隆英
    2023 年 16 巻 4 号 p. 272-288
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    半導体のチップあたりのトランジスタ数は過去50年間,一貫して指数関数的に増加しており,搭載可能な論理的な機能の大規模化,複雑化をもたらしている.この動きに対応するため,論理設計手法も回路図ベースから言語ベースへと進化し,更に設計資産の再利用や標準バスインタフェースの採用などにより設計生産性を上げてきた.同様に,論理機能検証においても主に多様化する機能の検証網羅性と検証作業の生産性の課題が顕在化し,従来の手法では立ち行かなくなってきている.そこで,本稿ではこのような検証の課題を解決するための検証技術や検証メソドロジ(検証の方法論,手順,やり方),標準化の歴史などについて解説する.更に機能やその組み合わせの検証の範囲を越えて,近年重要性が増している非同期回路設計や低消費電力回路設計に伴って発生する新たな論理・回路検証項目や,セキュリティ対応や機能安全標準への準拠など,検証を更に複雑化する検証対象と,その対策についても解説する.また,これまでハードウェアの開発技術がソフトウェア開発技術の進化に追従する形で発展してきた歴史を振り返り,今後の検証技術の発展可能性についても展望する.

TL研究会提案
  • ―説明できるライティング評価技術への新しい展開―
    乾 健太郎, 石井 雄隆, 松林 優一郞, 井之上 直也, 内藤 昭一, 磯部 順子, 舟山 弘晃, 菊地 正弥
    2023 年 16 巻 4 号 p. 289-300
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    自らの判断を説明できる能力は自然言語処理システムに期待される重要な要件である.説明はコミュニケーションであるから,説明できる能力についても,説明の目的や受け手との共通基盤化といったコミュニケーションの概念とリンクさせて研究することが望ましい.ライティング評価はそのような研究を進める格好の応用領域である.ライティング評価は,教育シーンにおいて学習者が産出するテキスト(記述式答案や論述文など)の質を評価・診断し,学習者にフィードバックすることによって学習を支援するタスク群を指す.教育目的の評価では説明は本質的に重要であり,したがってそこには説明の目的や手段など,教育学的な研究や実践の蓄積がある.ライティング評価ではそうした蓄積とリンクさせながら「説明できる自然言語処理システム」の研究を進めることができる.本稿では,ライティング評価における説明に焦点を当て,どのような評価タスクにどのような説明方法が考えられるか,どのような技術的実現手段が考えられるか,を論じる.近年の研究動向を概観しながら,内容選択,言語産出各レイヤの評価における説明生成の可能性を論じ,研究者のこの領域への参入を呼びかけたい.

CCS研究会提案
  • 塩川 茂樹
    2023 年 16 巻 4 号 p. 301-309
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    IP(インターネットプロトコル)に基づくホスト指向型ネットワークに代わって送受信コンテンツに着目した情報指向型ネットワークICN(information centric networking)が注目されている.ICNの実用化に向けて多くのプロトコルが提案され,有線ネットワークでは実装化も始まっている.一方,ICNのモバイルネットワーク環境への適用については,端末の移動や消費電力の制限といったモバイルネットワーク固有の特徴からまだ多くの課題が残っており,課題解決のための研究が盛んに行われている.そこで本稿では,ICNの概要と基本的な特徴について解説したあと,モバイルネットワーク環境に適用した際の問題点や解決策について述べるとともに,これまで提案されてきた手法を紹介し,性能評価をもとにそれらの有効性について考察する.

SITE研究会提案
  • ―電子情報通信学会倫理綱領策定から現在まで―
    大谷 卓史
    2023 年 16 巻 4 号 p. 310-324
    発行日: 2023/04/01
    公開日: 2023/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿においては,電子情報通信学会倫理綱領の策定に至るまでの前史から,同倫理綱領の策定及び,その後の展開を記述する.倫理綱領の策定・改定に関わる議論では,本会を取り巻く社会や技術,思想などの環境変化との関わりから,倫理綱領のあり方・内容が検討されている.本稿も,より大きな本会を取り巻く環境の変化の中で,倫理綱領がどのように策定・改定されてきたかに着目し,時代区分を行う.1998年電子ネットワークの倫理として策定された倫理綱領は,2011年改定によって,電子情報通信技術者の倫理として形を整え,2023年3月現在,多様性と対話の時代に向けての再改定作業が進められている.

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