電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
Online ISSN : 1882-0875
ISSN-L : 1882-0875
14 巻, 4 号
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表紙
目次
ごあいさつ
解説論文
MSS研究会提案
  • ―安定分布によるアプローチ―
    伊藤 海斗, 加嶋 健司
    2021 年 14 巻 4 号 p. 269-278
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    動的な現象をモデル化する際に,それが内包する確率的不確かさを適切にモデルに組み込むことは重要である.特に近年では,突風による風力発電量の急激な変動など,システムに大きな影響を与えるレアイベントを考慮した不確かさのモデリング・解析手法がますます求められている.動的システムにおける確率的不確かさを表現するのに最も用いられるのは,ガウス型の雑音であり,解析的な扱いやすさという大きな利点をもつ一方で,裾が急速に減衰するガウス分布では外れ値を表現することができない.そこで本稿ではレアイベントモデリングが可能,かつ,動的システムでの解析的扱いやすさを併せもつ,安定分布を利用したモデリング手法を解説する.また本枠組みの応用例として,等価線形化による非線形システム解析,動的システムにおけるプライバシー保護を紹介する.

EA研究会提案
  • 西野 隆典
    2021 年 14 巻 4 号 p. 279-286
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    立体音響表示は,任意の空間における音響イベントを別の空間で再現するための技術や,仮想現実感を得るための技術として位置づけられる.立体音響表示を行うために,複数のスピーカを用いる方法や,音源と外耳道内の点との間で定義される頭部伝達関数を利用する方法が用いられる.本稿では,頭部伝達関数を利用する方法について取り上げる.頭部伝達関数に関わる諸問題については,これまでに多くの研究がなされ,また,頭部伝達関数データベースの公開といった研究基盤の拡充もなされている.更に,高性能で安価なデバイスやソフトウエアの登場により,立体音響を提示できる環境がより身近なものとなってきている.そこで本稿では,頭部伝達関数を用いる立体音響技術に関して,基礎技術,応用技術,関連機器・サービスについて概説し,立体音響技術の展望について述べる.

R研究会提案
  • ―連続型k-システムを例として―
    山本 久志, 秋葉 知昭, 中村 太信, 周 蕾
    2021 年 14 巻 4 号 p. 287-296
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    科学技術の成果として社会の隅々まで浸透したシステムにより,我々は過去に見られない豊かな生活を享受している.反面,科学技術の高度化は社会や生活を支えるシステムの複雑化と大規模化を招き,それらの突発的な故障や不具合によって,我々の生活は多大な影響を受ける.毎日のように多くのシステム障害のニュースが報道されており,我々を取り巻く“システム”の信頼性の向上,高信頼なシステムの設計・保全を考えることの重要性がますます高まってきている.システムの信頼度(システムの稼働確率)を求める研究は古くは1960年代から始まっている.本稿では,システムの一部が故障(稼働)するとシステムが故障(稼働)する連続型k-システムに注目し,連続型k-システムの設計・保全を取り巻く研究を概観する.

TL研究会提案
  • 井佐原 均
    2021 年 14 巻 4 号 p. 297-307
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    本稿では,筆者のこれまでの自然言語処理や言語資源の研究開発の経験をもとに,技術開発と社会実装の連携について述べる.まず現在実施中の自然言語処理技術の社会実装プロジェクトについて,実用に向けた取り組みを交えて述べる.次に社会実装に向けて自然言語処理技術の課題や目指す方向を論じる.人工知能システムにおけるデータの重要性を述べた後,これまでの言語データ開発の経験を紹介する.データを社会で共有する試みと国際標準化にも触れる.最後により広い観点から人間の言語理解や人工知能について述べる.

CCS研究会提案
BioX研究会提案
  • 槇原 靖, 村松 大吾, 八木 康史
    2021 年 14 巻 4 号 p. 318-328
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    人の歩き方(歩容)には,年齢・性別・感情・健康状態といった様々な情報が含まれている.中でも,人の歩き方の個性に基づいて個人を認証する歩容認証が注目を集めている.歩容認証は,ほかのバイオメトリクスとは異なり,カメラから遠く離れた人物の無意識の歩行に対しても適用可能であるため,科学捜査などへの応用が期待される.本稿では,歩容認証の基本的な特徴表現などを紹介するとともに,近年の深層学習を取り入れた手法も紹介する.更に,歩容認証手法の科学捜査への応用事例についても紹介し,最後に,今後の歩行認証技術の展望を述べる.

ISEC研究会提案
  • ―楕円曲線暗号から耐量子暗号まで―
    宮地 充子
    2021 年 14 巻 4 号 p. 329-336
    発行日: 2021/04/01
    公開日: 2021/04/01
    ジャーナル フリー

    1985年にMillerとKoblitzは独立に公開鍵暗号の一種である楕円曲線暗号を提案した.楕円曲線暗号は楕円曲線が加法群になることを利用した暗号である.その後,楕円曲線は,楕円曲線上に存在する双線形写像を応用することで,はじめてIDベース暗号を実現した.さらには,近年,楕円曲線上に存在する同種写像を用いた耐量子暗号も提案されている.まさに,暗号の各種問題を解決する数学の宝箱ともいえる.楕円曲線の活用はこのような情報セキュリティにおける理論的なブレークスルーのみにとどまらない.楕円曲線の魅力は高い実用性にある.ブロックチェーンの正しさの検証には楕円曲線上の署名方式ECDSAが利用されるが,これはその短い署名サイズが理由である.更に,楕円曲線は耐量子暗号の一つである同種写像暗号を実現する.このような背景のもと,楕円曲線に基づく各種暗号の国際標準化も進められている.本稿では,楕円曲線の暗号理論における各種ブレークスルーについて紹介するとともに,国際標準化動向について紹介する.

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