日本顎関節学会雑誌
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14 巻, 1 号
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  • 小野崎 純, 竹内 誠, 田中 珠美, 佐藤 貞雄
    2002 年 14 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究では顎機能正常者群と, 非復位性関節円板前方転位者群との間で, 開口運動における下顎頭の回転, 滑走運動の進行様相を比較検討することによって関節内病態に適応した下顎頭運動を知る指標を得ようとした。
    対象は, 神奈川歯科大学附属病院矯正科に矯正治療を希望して来院した不正咬合者のうち, 両側顎関節に機能異常がないと判断された顎機能正常者群27名54関節と, 画像診断によって, 片側, あるいは両側顎関節に関節円板の非復位性前方転位が確認された疼痛を伴わない非復位性関節円板前方転位者群27名32関節である。
    その結果, 両群間の比較では, 非復位性関節円板前方転位者群で回転運動量が有意に減少していたが, 滑走運動量には差が認められなかった。次に開口を開始してからの下顎頭の最大回転量を100%として, 10%ごとの10区間に分け, それぞれの区間での滑走運動量の増加割合を検討した。その結果, 非復位性関節円板前方転位者群では, 開口運動開始直後に滑走運動量の増加割合が有意に増加していた。また発音, 咀嚼などの機能運動が行われていると思われる開口運動前期では, 顎機能正常者群とほぼ同様の滑走運動量の増加割合を示していた。開口運動中期では滑走運動量の増加割合は有意に減少し, 滑走運動の抑制がみられた。開口運動後期では回転運動と滑走運動の進行様相における顎機能正常者群との違いは認められなかった。以上のことから疼痛を伴わない非復位性関節円板前方転位者群では, 関節内病態に適応した下顎頭運動が行われていることが明らかとなった。
  • 正常有歯顎者について
    浅井 崇嗣, 小野 圭昭, 木村 紀彦, 小正 裕
    2002 年 14 巻 1 号 p. 7-15
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    一般的に臨床では, 咬合器の矢状顆路傾斜度を測定する際, 前方チェックバイト法を応用して行うが, 本法により得られる矢状顆路傾斜度は不安定であるなどの問題点が指摘されている。そこで, 咬合器の顆路調節を簡便に, かつ正しく行うことを目的として, ナソヘキサグラフの応用の可否を明らかにするため, 正常有歯顎者を対象に, 前方チェックバイト法と, ナソヘキサグラフによって得られた矢状顆路傾斜度とを比較検討した。その結果, 1) 前方チェックバイト法で得られた矢状顆路傾斜度は, 咬合器のタイプによって差は認められなかった。2) ナソヘキサグラフによって得られた矢状顆路傾斜度のバラツキは, 顆頭点移動量の増加に伴い小さくなった。3) 2元配置分散分析の結果, 矢状顆路傾斜度は顆頭代表点によって差はなく, 被験運動によって有意な差が認められた。4) 前方チェックバイト法と, ナソヘキサグラフにより得られた矢状顆路傾斜度を比較したところ, コンダイラー型咬合器では, 臨床的顆頭点での前方運動時の矢状顆路傾斜度との間に, 有意な差が認められたが, 全運動軸点で得られた矢状顆路傾斜度は, 咬合器の様式, 被験運動の違いにかかわらず有意な差はみられなかった。
    以上より, 有歯顎者の矢状顆路傾斜度の測定に際し, ナソヘキサグラフを用いることが有用であることが示された。また, 多数歯欠損や無歯顎患者の補綴治療にナソヘキサグラフを用いて開口時の矢状顆路傾斜度を測定することにより, 従来の前方チェックバイト法にみられる種々の問題に左右されることなく, 咬合器上に矢状顆路傾斜度を簡便に決定できる可能性が示唆された。
  • 亀山 威一郎, 宮澤 健, 亀山 洋一郎, 花村 肇, 後藤 滋巳
    2002 年 14 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究では, 哺乳類食虫目トガリネズミ科のスンクス (ジャコウネズミ, Suncus murinus) の出生後5日齢から30日齢までの成長発育過程における下顎頭 (背関節面) を組織学的ならびに組織形態計測学的に検索した。
    組織学的には, 5日齢では, 表層, 増殖層, 分化層, 肥大層, 侵蝕線, 骨梁部が認められた。10日齢では, 各層は5日齢とほぼ同様であった。15日齢では, 軟骨層 (分化層+肥大層) では層の厚さと軟骨細胞数は10日齢と比較して減少していた。20日齢では, 増殖層は15日齢と比べてほぼ同様であったが, 軟骨層では層の厚さと軟骨細胞数は著しく減少していた。また, 侵蝕線はさらに上方に移動し, 骨梁はさらに増加していた。25日齢では, 増殖層では20日齢と比較して間葉系細胞数は減少し, 軟骨層では層の厚さと軟骨細胞数は著しく減少していた。侵蝕線はさらに著しく上方に位置し, 骨梁は増加していた。30日齢では, 増殖層と分化層は25日齢と違って認められなかった。軟骨層は肥大層だけからなり, 骨梁間のところどころで連続して下方に不規則に伸展していた。侵蝕線はほとんどみられなくなり, 骨髄腔は著明に減少していた。
    組織形態計測学的には, 表層+増殖層の厚さは5日齢から10日齢は大きく減少したが, その後は25日齢まで徐々に減少した。軟骨層 (分化層+肥大層) の厚さは5日齢から15日齢まで徐々に減少したが, 15日齢から25日齢までは急激に減少し, 25日齢から30日齢までは徐々に減少していた。
    以上, 本研究の結果から, 哺乳類食虫目のスンクスの下顎頭の成長発育は短期間に急速に進行することが推測された。
  • ATP吸光度法およびチューインガム法による検討
    金高 弘恭, 三谷 英夫
    2002 年 14 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    咀嚼は日常生活において非常に重要な機能であるが, 顎関節症によりさまざまな影響を受けるといわれている。そこで本研究では, 顎関節雑音に伴う顎機能異常が咀嚼機能に与える影響を調べることを目的とし, 咀嚼機能の総合的な評価が可能な咀嚼能力についての測定を行った。
    研究対象として, 平均20歳の約5, 000人よりなる集団から厳しい条件のもと抽出した正常咬合者40名 (男女各20名) を用いた。被験者は2群に分類され, 顎関節雑音を有するものを顎機能異常群10名 (男女各5名) とし, なんら顎機能異常を有さないものを対照群30名 (男女各15名) とした。また, 側面頭部X線規格写真の計測および咬合接触面積の測定により, 両群間には形態的な有意差が認められないことが確認された。
    咀嚼能力の測定は, 比較的操作が簡便で測定所要時間の短い, ATP吸光度法およびチューインガム法により行った。
    本研究の結果, 下記の結果を得た。
    1. ATP吸光度法による咀嚼能力では,両群間に有意差は認められなかった。
    2. チューインガム法による咀嚼能力では, 顎機能異常群が対照群より有意に低い値を示した。
    以上より, 顎関節雑音に伴う顎機能異常が咀嚼機能に影響を与えている可能性が示唆された。
  • 深野 雅久, 中村 俊弘, 今村 直人, 石川 晴夫
    2002 年 14 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は, 10名の女性正常咬合者と22名の女性開咬患者の開口量, 咀嚼幅, ならびに運動リズムを検討し, 開咬患者の形態的特性が咀嚼運動の特性に与える影響を明らかにすることである。
    ガム咀嚼時の記録は, 咀嚼運動自動分析システムを用いて両群間で定量的な統計学的検討を加え, 以上の結論を得た。
    1. 正常咬合群における開口量, 咀嚼幅の平均値は, 14.5, 2.4mmであったが, 開咬群では12.8, 1.6mmであり, 開口量では両群間に有意差が認められた。
    2. 開口相時間, 閉口相時間, 咬合相時間, サイクルタイムの平均値は, 正常咬合群では, それぞれ207, 198, 184, 589msec, 開咬群ではそれぞれ283, 235, 224, 741msecで, 閉口相時間と咬合相時間では両群間に有意差, 開口相時間とサイクルタイムでは両群間に高度な有意差が認められた。
    以上より, 女性開咬患者の咀嚼運動における運動経路は狭小化し, また運動リズムは緩徐であることが示唆された。
  • 鷹橋 雅幸, 志賀 博, 小林 義典
    2002 年 14 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    咀嚼筋の機能の定量的評価の可能性を明らかにする目的で, 20歳代の女性正常者20名と女性側頭下顎障害 (TMD) 患者20名に最大クレンチングの80%の強さのクレンチング (80%MVC) を20秒間行わせ, クレンチング開始後の5秒間ごとの4区間 (第1~第4区間) における咬筋のEMGパワースペクトルの累積100%値, 累積80%周波数値, MPF値について, 両群間で比較した結果, 第1区間を100%とした場合の第2~第4区間の累積100%値は, 両群ともに100%に近似し, 80%MVCを20秒間維持できることが認められた。また, 累積80%周波数値とMPF値は, 正常群では, 第1区間が最も大きく, 第2区間が著明に減少し, その後第3, 第4区間の順に徐々に減少する傾向を示したが, TMD群では, 第1区間が最も大きく, その後第2, 第3, 第4区間の順にわずかに減少する傾向を示し, 時間的推移が正常群とは明らかに異なり, 両群間に有意差が認められた。さらに, 第1区間を100%とした場合の第2, 第3, 第4区間の累積80%周波数値とMPF値は, いずれの区間でもTMD群のほうが正常群よりも大きく, それぞれ両群間に有意差が認められた。これらのことから, 20秒間の80%MVC時における咬筋のEMGパワースペクトルの累積80%周波数値とMPF値は, 咀嚼筋の機能の定量的評価の有効な指標になることが示唆された。
  • 阿部 正人, 依田 哲也, 今井 英樹, 坂本 一郎, 瀬戸 一郎, 小村 健, 羽毛田 匡, 木野 孔司
    2002 年 14 巻 1 号 p. 46-50
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    顎関節上関節腔洗浄療法が奏効した顎関節円板外方転位の1例を報告する。患者は右側顎関節雑音と右側耳鳴を主訴とした53歳女性で, 閉口時に咬頭嵌合位直前に右側顎関節にクリックを認めた。疼痛, 開口制限, 咬合異常は認められなかった。MR所見から, 右側顎関節円板外方転位と診断された。局麻下に右側顎関節上関節腔洗浄療法を施行した。術直後から, 閉口時クリックが消失した。また咬頭嵌合位で右側臼歯部は開咬を呈した。術後1週間で耳鳴は完全に消失した。術後6か月で, 閉口時クリックと耳鳴の再発は認められず, MR所見では関節円板は下顎頭に整位していたが, 咬頭嵌合位で右側臼歯部に開咬がみられたため, これを改善するために, 右側下顎小臼歯, 大臼歯部を硬質レジン製アンレーによる咬合再建を行った。現在まで, クリックと耳鳴の再発は認められず, 経過は良好である。
  • 開 祐司
    2002 年 14 巻 1 号 p. 52
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • Rudolf Slavicek
    2002 年 14 巻 1 号 p. 53
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • Terry T. Tanaka
    2002 年 14 巻 1 号 p. 54
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 川合 眞一
    2002 年 14 巻 1 号 p. 55
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 中村 俊弘, 石川 晴夫, 佐藤 亨
    2002 年 14 巻 1 号 p. 56-59
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 豊田 長隆, 浅田 洸一, 荒井 智彦, 徳富 威彦, 志賀 貴之, 斉藤 高, 石橋 克禮
    2002 年 14 巻 1 号 p. 60-63
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 64-72
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 73-81
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 82-90
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 91-103
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 104-116
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 117-124
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 125-135
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
  • 2002 年 14 巻 1 号 p. 136-143
    発行日: 2002/04/20
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
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