日中クレンチングの為害性に関する患者教育と簡易スプリントの短期日中装着が,日中クレンチングの意識化に及ぼす効果を検討することを目的として本研究を行った。
安静口唇閉鎖時において上下顎の歯が接触するか,日中クレンチングがあると疑われた顎関節症患者125名のうち,研究の条件を満たし,アンケートが回収できた49名を対象に日中クレンチングの自覚度と気づいた場面についてのアンケートを行った。同一患者の日中クレンチングの自覚度(1~5のカテゴリー)についての4回のアンケート結果と,日中クレンチングに気づいた場面数についての3回のアンケート結果をFriedman検定した。
日中クレンチングの自覚度は初診と比較して再診時に上昇し,1回目と3回目あるいは4回目(p<0.01),2回目と4回目(p<0.05)で有意差を認めた。日中クレンチングに気づいた場面はパソコン,考え事,料理などが多く,場面数は初診から再診で増加し,2回目と4回目(p<0.01),2回目と3回目(p<0.05)で有意差を認めた。
患者教育と簡易スプリントの短期日中装着を組み合わせた治療を行った結果,日中クレンチングの自覚度は高まり,自覚する場面も増加したことがアンケートより明らかになった。したがって,患者教育と簡易スプリントの短期日中装着は日中クレンチングの意識化に有効である可能性が示唆された。
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