幌満超塩基性岩体は,日高変成帯の西南端に位置し, dunite, lherzolite, Plagioclase lherzoliteと少量のgabbroおよびpyroxeniteからなり,顕著な層状構造をもっている。この岩体は,造山帯に産する他のかんらん岩体と同様に変形作用や再結晶作用を受けており,一部はんれい岩相を除いて初生的な深成岩組織を示していない。
かんらん石は,粒形・粒度および変形作用のちがいにもとづいて, coarse deformed olivine, polygonal olivine, fine olivineの3つのタイプに分類される。これらはそれぞれ, kink bandをもつ初生的な粗粒かんらん石,再結晶かんらん石,および圧砕作用によって生じた細粒かんらん石であると考えられる。
幌満岩体のかんらん石の優位配列は, Z軸が1ineationに平行に配列する特徴を示している。とくに岩体下部でこの傾向が強く, Z軸の集中度はきわめて高い。岩体上部のかんらん石の X軸はすべてfoliation面に対して垂直に集中する。また, coarse deformed olivineとpolygonal olivineはよく似たファブリックパターンを示すが,岩体下部にみられるfine olivineのY軸は分散する傾向を示している。
このような岩石組織の特徴とかんらん石の優位配列および最近におけるかんらん石の変形と再結晶の実験結果から考察すると,幌満岩体は,地下深部で層状構造が形成されたあとで,変形作用によって初生かんらん石にkink bandがつくられ,再結晶作用によってpolygonal olivineが生じ,その後上昇にともない岩体下部では圧砕作用・再結晶作用の影響を強く受け細粒部が形成されたと思われる。
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