ニューカレドニァ産の10Å型ガーニーライトを示差熱分析,熱重量分析,連続加熱高温X線分析により調べた。また試料を1000°Cまでの種々の温度に加熱した後に, X線分析と赤外線分析を行なった。未処理の10Å型ガーニーライトの底面反射は巾広く, 2θの角度の小い方に翼を広げた非対称形をしている。この底面反射は水やエチレン・グリコール処理では変化しない。10Å型ガーニーライトのOH領域の赤外線吸収スペクトルは3685cm
-1, 3643cm
-1と3625cm
-1が認められるが, 250°C~500°C加熱処理を行なうと, 3690cm
-1, 3670cm
-1, 3645cm
-1と3625cm
-1の吸収が明瞭になり始め, 750°Cと800°Cの加熱により, 3690cm
-1の吸収が認められなくなり, 3675cm
-1, 3660cm
-1, 3645cm
-1,と3625cm
-1の鋭い吸収が認められる。これらの吸収は3675cm
-1の吸収の強度が強いことを除くと,人工および天然産のニッケルに富むタルクの吸収とよく一致する。この鉱物のOH領域の赤外線吸収スペクルトの変化および吸収の強度比の計算から,この鉱物はニッケルに富む加水タルクとマグネシウムに富む加水タルクの混合物であるか,または八面体層中でニッケルとマグネシウみの不規則な分布をもつニッケルに富む加水タルクであると考えられる。またこの試料には極く微少量のクリソタイルが不純物として含まれている。
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