岩石鉱物鉱床学会誌
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79 巻, 2 号
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  • 佐藤 博明
    1984 年 79 巻 2 号 p. 47-59
    発行日: 1984/02/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    マグマー斜長石間のカリウムの分配関係を次の反応式により検討した: (NaAlSi3O8)plag+(KAlSi3O8)magma=(NaAlSi3O8)magma+(KAlSi3O8)plago この反応式の平衡条件は ln K=(8630-0.7T-4130Xab, pl)/RT で表わせる。ここで, K, T, R は各々,見かけの分配係数,絶対温度,気体定数であり,又, Xab, pl=Na/(Na+Ca)plagioclase である。この式は,見かけの分配係数が,温度と斜長石組成に強く依存することを示しているが,それらの効果は主に斜長石の KAlSi3O8溶解度に関する非理想性に由来する。上の式を用いて天然の火山岩の石基一斜長石の平衡温度を求めると,流紋岩で 700-900°C,安出岩類で 1100-1300°C と略各岩石の液相温度と調和的な値が求められた。
  • 池田 保夫
    1984 年 79 巻 2 号 p. 60-80
    発行日: 1984/02/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    北海道中央部の鮮新世~前期更新世の流紋岩質火砕流堆積物中に花崗岩質包有物が発見された。この包有物の化学的性質および鉱物の組成は母岩の火砕流堆積物と類似し,基盤の日高帯第三紀花崗岩とは異なる。このことは,この包有物が基盤の花崗岩に由来するものではなく,母岩の火砕流と共通のマグマから導かれたことを示している。流紋岩質マグマの温度・圧力は600°-750°C,1 kb (PH2O=Ptotal) と推定された。おそらく,流紋岩質火砕流は浅所迸入花崗岩体の噴出相に相当しているのだろう。この火山一深成岩体の低い Sr 同位体比 (0.7032-0.7040) は,この起源物質が上部地殼物質ではなく,ある種の下部地殼または上部マントル物質に由来していることを示している。
  • 柴 正敏, 大貫 仁, 小坂 望
    1984 年 79 巻 2 号 p. 81-87
    発行日: 1984/02/05
    公開日: 2008/08/07
    ジャーナル フリー
    北部北上山地,葛巻地域の変成塩基性岩類はアルカリ角閃石を小さな残晶として極めて少量含むことがある。アルカリ角閃石は殆んど常にアクチノ閃石にふちどられたり,包含されている。スチルプノメレーンも少量ではあるが,その大部分を密接に相伴なっている黒雲母と緑泥箱に置換された残晶として見出されることがある。
    アルカリ角閃石を含む代表的な変成塩基性岩2個とそれらの構成鉱物の一部について化学分析を行なった。アルカリ角閃石はマグネシオリーベック閃石であった。
    本地域の低温変成岩類はそれらの組織と鉱物学に2回の変成作用を記録している。即ち,マグネシオリーベック閃石とスチルプノメレーソは前の変成作用によって形成された。しかし,これらの残晶と共存した諸鉱物は特定できない。変成塩基性岩類中の緑泥石+緑れん石+アクチノ閃石+アルバイトを含む後の変成作用の時期において平衡な鉱物組合せは,白亜紀の潜頭性小花こう岩質貫入岩体群の接触変成作用によって形成された。
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