園芸学研究
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4 巻, 2 号
JUNE
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原著論文
育種・遺伝資源
  • 長谷 暢一, 松浦 誠司, 山口 雅篤
    2005 年 4 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    パンジーにおけるHPLCを用いたフラボノイド分析を行った. その結果, それぞれ6種類のアントシアニンおよびフラボノール類が検出された. そのうち, 4種類のアントシアニンはDp3RG, Cy3RG, Dp3pCRG5G(ナスニン)およびCy3pCRG5Gであり, また1種類のフラボノール類はQu3RG(ルチン)であった. 黄色および白色系統においてアントシアニンは検出されなかった. 青色系統はナスニンおよび6種類全てのフラボノール類が主要色素として存在し, 系統間でその含量の違いが認められたことから, コピグメントによる花色幅の拡大の可能性が示唆された. 赤色系統はアントシアニンのCy3RGおよびルチンを含む3種類のフラボノール類が主要色素であり, また赤紫系統では特異的なアントシアニン(Cy3pCRG5G)が多く含まれ, 赤色系統および赤紫系統はアントシアニンの違いにより花色が異なることが示唆された. これらのことから, パンジーの新規花色品種育種におけるHPLC分析の有効性が示された.
  • 荒木 直幸, 道後 充恵, 舟橋 正隆, 山内 直樹, 執行 正義
    2005 年 4 巻 2 号 p. 131-134
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    33種類の野菜可食部から, 微量サンプル抽出法で得られたタンパク質の混入度 (A260/A280) は, いずれも1.8以上で, PCRに適する値が得られた. しかし, リーフレタス, ゴボウから得られたDNA溶液は褐色を呈し, PCR阻害がみられた. しかし, このような場合, 最終濃度10mMの2-メルカプトエタノールをDNA溶液に添加し, Nucleon PhytoPure Kitで精製することで, 着色がなくなり, PCR阻害もみられなくなった. 増幅可能となったDNAを用いて, 6プライマー組合せについて蛍光AFLP分析を行ったところ, 各材料で総数65~249のピークがそれぞれ得られた. 野菜の種類ごとに適したプライマー組合せを選択することで, 品種識別を効率的に行う手段になり得るものと考えられる. さらに, 他殖性作物における品種識別の可能性を検討するために, ネギ16品種・系統それぞれにおいて16個体を混合して作製したDNAサンプルを用いたAFLP分析を行った. その結果として得られたDNAフィンガープリントを比較することにより, 用いた品種・系統を相互に識別することが可能であった.
  • 二村 幹雄, 犬伏 加恵, 酒井 広蔵
    2005 年 4 巻 2 号 p. 135-140
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    スプレータイプカーネーションの花持ち性およびエチレン感受性の簡便な検定法を検討した. 花持ちは温度と負の相関があり, 花持ち性の品種間差は温度に関係なく認められた. 1茎多花のスプレーカーネーションでは, 品種によっては花蕾着生位置の違いによる花持ち差が認められた. しかしそれは花蕾着生位置での開花ステージの違いに起因するもので, 開花ステージを同一にして花持ち調査を行えば, 花持ち日数の偏差は小さく, その品種本来の花持ち性の評価が可能であった. エセホン溶液への花弁浸漬処理は, 外生エチレン感受性を検定する際に, 簡易で, かつ同時大量処理ができるため有効であった. さらに, 新しい検定方法によってスプレーカーネーション主要47品種の花持ち日数および外生エチレン感受性を明らかにした.
  • 河瀬 憲次, 八幡 昌紀, 中川 匠子, 原口 加奈, 國武 久登
    2005 年 4 巻 2 号 p. 141-146
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    実生の根の形態を指標としてニンポウキンカンの珠心胚実生から四倍体を選抜し, その形態調査を行った.
    ニンポウキンカンの完全種子を播種して得られた457本の実生から, 太くて短い細根を有する1個体を見出した. この実生の倍数性を調査した結果, 36本の染色体を有しており, 四倍体であることが明らかとなった. また, RAPD分析により, この四倍体はニンポウキンカンの珠心胚由来であることが推察された. この四倍体の形態について調査したところ, 二倍体と比べ, 葉は丸くて厚く, 気孔, 花および花粉は大きくなっており, 四倍体特有の形態を示した. 四倍体の果実は, 果実の重さや大きさにおいて二倍体と同等の形質を示した. さらに, 可食部である果皮が厚くなり, 完全種子数が少なくなっていた. 将来, 本研究で得られたニンポウキンカンの四倍体は直接的な品種としての利用や三倍体育種の親として重要な素材となるであろう.
  • 福田 直子, 宮坂 昌実, 斉藤 涼子, 朽津 和幸, 中山 真義
    2005 年 4 巻 2 号 p. 147-151
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    白色系トルコギキョウ75品種・系統の花弁を用いて, 365 nmの紫外光下での花弁の像とフラボノイド含量を調査した. 紫外光下において黒く見える花弁には10 mg/g以上のフラボノイドが存在し, 白く見える花弁のフラボノイド含量は3 mg/g以下と少なかった. 紫外光下における花弁の像の明暗とフラボノイド含量との間に明らかな相関が認められた. 紫外光下で先端側が黒く基部が白い, 覆輪状の像を示す白色花弁が複数存在した. 紫覆輪品種‘キャンディマリン’から分離した白色花は紫外光下で同様の覆輪状の像を示し, 先端側は基部側の30倍のフラボノイドを含んでいた. 紫覆輪品種の花弁の先端側と基部側のフラボノイド含量比が同じであることから, 白色花弁上のフラボノイドの局在は同様の機構で発現していると考えられた. 本方法は多くの試料について短時間に非破壊的にフラボノイドの情報が得られることから, 育種素材の選抜やフラボノイド-アントシアニンの生合成の情報を得ることに役立つと期待される.
  • 小仁所 邦彦, 南 峰夫, 松島 憲一, 根本 和洋
    2005 年 4 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    世界各地から収集されたトウガラシ属栽培種5種145系統のカプサイシノイド含量をHPLCで定量分析し, 総含量と成分組成の種間および種内変異を解析した. C. annuumは‘シシトウ’なみの野菜用低含量系統を多く含み, 比較的低含量の範囲に分布した. C. chinenseC. frutescensは全体的にC. annuumより高含量の系統が多かった. しかし, カプサイシノイドの検出されない系統から著しく高含量の系統まで幅広い変異を示し, 種々の程度の辛味を持つ品種を育成するための育種素材として有用と考えられた. C. baccatumにはC. annuumと同様に低含量の系統が多く, 野菜用品種育成の新しい育種素材としての可能性が考えられた. カプサイシノイドの成分組成を比較したところ, C. chinenseC. frutescensはCAP>DCであるのに対し, C. pubescensではCAP<DCで, 明らかな種間差が認められた. C. annuumは他4種を包含する幅広い変異を示した. C. annuumにおいて成分組成の地域間差が認められ, 日本産系統にはCAP<DCの系統が特異的に多かった. カプサイシノイド含量と果実形態との関係を解析したところ, C. annuumC. baccatumで果実の大きさとの間に有意な負の相関係数が得られた. しかし, カプサイシノイド生産部位である胎座の果実に占める割合が, 果実が大きくなるほど低下することに起因する表現型相関であり, 両形質は独立した遺伝的支配を受けていると考えられた.
繁殖・育苗
  • 稲葉 幸雄, 吉田 智彦, 杉山 信男
    2005 年 4 巻 2 号 p. 159-163
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    花房伸長方向の目安となるランナー軸を持たない組織培養苗を用いて, クラウンの傾斜と花房伸長方向の関係を調べた. 頂花房の花芽分化時期に20から25度の傾斜を付けた培養苗は, 傾斜方向に花房を伸長させた. 一方, 最初の傾斜処理から40日後の頂花房開花始期にポットの傾斜を180度回転させ傾斜方向を逆転させた場合, 頂花房は反対方向に伸長した. これは頂花房の伸長方向が屈地性によって決定されること, また花房の伸長方向が花芽分化時期より後, 開花始期よりも前の時期に決定していることを示すと考えられた. ランナー軸およびクラウン傾斜を持たない培養苗の定植に当たっては, 定植時に株を通路側に倒して定植することで, 花房を通路側に伸長させることが可能となると思われた.
  • 小野 剛史, 玉井 浩, 前島 勤, 臼田 彰, 小池 洋男, 小原 均
    2005 年 4 巻 2 号 p. 165-170
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    ベンジルアデニン (BA) の1~5回の繰り返し散布が, M.9系統台木を用いたリンゴ‘秋映’の1年生苗木と‘ふじ’の1年生および2年生苗木のフェザー発生に及ぼす影響を検討した. いずれの種類の苗木でも, BAを苗木新梢全体に対して1回散布する場合に比べて, 新梢の伸長に応じて新梢先端部に対する繰り返し散布の回数を増やすことにより, フェザーの平均発生本数を増加させる傾向があることが認められた. 特に, 2年生‘ふじ’苗木に対するBA (300 ppm) の5回繰り返し散布では, 1回処理の約2倍量のフェザーを発生させた. これらのことから, 苗木新梢の先端から10 cmまたは20 cmまでの部位に対して3回または5回繰り返してBAを散布する方法が, 苗木の生育に影響を及ぼすことなく, 利用可能なフェザーを多く発生させる実用的な方法であると考えられた.
  • 吉岡 宏, 藤原 隆広, 佐藤 文生
    2005 年 4 巻 2 号 p. 171-174
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    セルトレイのセルの形状 (通常のセル, セルの内壁面を凸型にしたセル, 壁面にスリットを入れたセル) がキャベツセル成型苗の生育と定植後の根系発達に及ぼす影響について検討した.
    セルトレイの内壁面の形状を凸型にすることにより, 苗の生育が若干抑制されたが, 根巻きが抑えられるとともに, 縦方向に伸長した根が確保され, その結果, 定植後の深根性が高まり, キャベツ作物体の姿勢の安定性が向上した. 一方, セルの側面にスリットを入れた場合には, 育苗期の根巻きは抑えられたが, 定植後の深根性は高まらなかった. なお, セルの形状によるキャベツ収量への影響は認められなかった.
  • 古谷 博, 細木 高志
    2005 年 4 巻 2 号 p. 175-180
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    タラノキin vitro培養体根組織切片から不定胚を誘導し, 継代培養により増殖養成した培養幼植物体の固体支持材培地と培養液が生育に及ぼす影響, およびセル成型トレーによる直接順化・育苗について検討した. その結果, バーミキュライトにパーライトまたは水苔を混合した培地を用いると培養幼植物体の生育が進み, 効率良く再生植物体が得られた. 固体支持材培地に施用する培養液は, ハイポネックスまたは市販の養液栽培用液肥を用いるとMS液体培地よりも生育が良かった. この場合, 培養液にショ糖を添加しないと再生植物体数は劣った.
    バーミキュライトを充鎮したセル成型トレーに培養幼植物体を分割置床し, 灌水後密閉容器内で2か月間管理するとセル成型苗に育苗できた. バーミキュライトの代わりに市販のセル成型用育苗培土を用いると充実した苗が得られるが育苗率は低下した.
土壌管理・施肥・灌水
  • 梶原 真二, 延安 弘行, 藤原 朋子, 國田 丙午, 香口 哲行
    2005 年 4 巻 2 号 p. 181-186
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    バラのロックウール栽培において, 培養液を循環利用するために, 砂と活性炭による緩速ろ過後の排液の水での希釈およびNH4-N, FeおよびMnの補充の有無が閉鎖型での培養液循環栽培における収量, 品質および培養液濃度に及ぼす影響について‘ローテローゼ’を用いて検討した.
    総切り花本数は, 砂と活性炭で緩速ろ過後の培養液を水で2.5倍に希釈後に循環利用した場合, 愛知花研バラ処方冬用の養分組成による成分補充の有無に関わらず, かけ流し栽培と同等の35本・株-1 (約241,000本・10a-1) であった. 切り花品質も成分補充の有無に関わらず, かけ流し栽培とほぼ同等であった.
    かけ流し栽培における栽培施設10a当たりの1年間の全窒素施与量は290.3kgであり, そのうち廃棄量は135.9kgであった. 緩速ろ過後の培養液を水で希釈後に成分補充を行い循環利用した場合の全窒素施与量は151.8kg, 成分補充せず循環利用した場合の全施与量は110.5kgであり, かけ流し栽培に比べて著しく減少した. さらに, 培養液を循環利用した場合の窒素およびリン酸等の廃棄量は0kgであった.
    培養液中の無機成分濃度は, 排液を砂と活性炭で緩速ろ過すると低下した. とくに, PO4-P, Mn, FeおよびSO4-S濃度は著しく低下した. 培養液を循環利用した場合には, 培養液中のNaおよびCl濃度が著しく上昇したが, 植物体への障害は観察されなかった.
    バラのロックウール栽培において, 排液を緩速ろ過装置でろ過し, 水で2.5倍に希釈する場合には成分補充する必要はないことが示された.
栽培管理・作型
  • 坂本 浩
    2005 年 4 巻 2 号 p. 187-190
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    シンテッポウユリを6月に出荷するための暗期中断の効果, その開始時期と期間を検討した.
    1. 2月に定植した‘さきがけ雷山’および‘伊那系’を暗期中断することにより開花は促進され, 6月下旬に開花した.
    2. ‘ホワイトランサー’を2月から4月の間に暗期中断を開始することにより, 6月下旬に開花した.
    3. ‘ホワイトランサー’が6月に開花するための暗期中断の期間は4週間以上が必要であった.
  • 坂本 浩
    2005 年 4 巻 2 号 p. 191-195
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    シンテッポウユリ‘早池峰’の4月~5月出荷作型を確立するため, ‘早池峰’の暗期中断加温の効果を検討した.
    1. ‘早池峰’を10月に定植して暗期中断加温栽培することで4月中旬, 無加温栽培で5月下旬に開花した.
    2. 定植時期は9月下旬~10月中旬が早く開花し, 品質が良好であった.
    3. 暗期中断開始日を遅くしても開花は遅延せず, 切り花品質は維持された.
  • 野崎 香樹, 深井 誠一, 高村 武二郎
    2005 年 4 巻 2 号 p. 197-201
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    ピンク色花系スプレーギクにおける花色と栽培時期との関係を明らかにするために, 各作期に開花した花序の様相と花色を評価し, 舌状花のアントシアニン量を測定することでアントシアニンがピンク色花系スプレーギクの花色に及ぼす影響を検討した. 2001~2002年, 2003年共に高温期の6/30作期で秋ギク型品種の到花日数が増加した. 花序径は夏秋ギク, 秋ギクを問わず, 6/30作期で減少し, 舌状花数は増加傾向を示した. 色差計により求めた白色花系品種と黄色花系品種におけるL*a*b*の値は, 作期間で差異が生じたものの, 肉眼による観察では作期間で花色の変化はほとんど無かった. 一方, ‘チャトー’を除くピンク色花系品種では9/24作期でL*値, b*値が小さく, a*値, c*値が著しく大きくなった. また, 高温期の6/30作期では9/24作期の値と逆の傾向を示し, 肉眼による観察においても作期間で大きく花色が変化した. ‘チャトー’では他のピンク色花系品種と同様な傾向を示したが, 作期間における各値の差異は小さかった. ピンク色花系品種では赤色花キクの主要花色素であるCy3-6”-MMGおよびCy3-3”, 6”-DMGが主要アントシアニンとしてHPLCにより検出された. また, 作期間でアントシアニンの構成に変化は無く, これら2つの主要花色素の増減によってピンク色花の花色を決定することが示された.
  • 前田 隆昭, 米本 仁巳, 萩原 進
    2005 年 4 巻 2 号 p. 203-206
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    ブドウサンショウの接ぎ木後の生存率向上と早期樹冠拡大を目的にイヌザンショウ, フユザンショウおよびカラスザンショウ台木による枯死率と樹の生育差を比較検討した.
    枯死率はフユザンショウおよびカラスザンショウ台に比べイヌザンショウ台で明らかに高く, イヌザンショウ台では定植から3年後に全て枯死した.
    定植5年後の樹容積はカラスザンショウ台がフユザンショウ台の約2倍であった. カラスザンショウ台で顕著な台勝ち現象がみられたが, フユザンショウ台では穂・台木間に幹肥大のアンバランスはなかった. 1樹当たり花房数はカラスザンショウ台に比べフユザンショウ台で著しく多かった.
発育制御
  • 兼田 朋子, 馬場 正, 大坪 孝之, 池田 富喜夫
    2005 年 4 巻 2 号 p. 207-211
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    ゴレンシの酸味系品種と甘味系品種を親として酸味系×甘味系品種の種子を得て, F1交雑実生を得た. 播種後2年目にそれらの個体の葉を供試し, シュウ酸含有量, シュウ酸の不溶性化に関与していると思われる無機成分含有量について分析した.
    交雑実生における全シュウ酸含有量と可溶性・不溶性シュウ酸含有量との関係を検討した結果, いずれにおいても正の相関が得られたが, 特に不溶性シュウ酸含有量との間に高い相関が認められた.
    交雑実生のシュウ酸含有量と無機成分含有量との関係を検討した結果, 全シュウ酸および不溶性シュウ酸含有量と全カルシウムおよび全マグネシウム含有量との間で正の相関が得られたが, 不溶性シュウ酸と全カルシウム含有量との間でより高い相関が認められた.
    以上のことから, シュウ酸の不溶性化にはカルシウム含有量が大きな影響を及ぼしていると考えられた. 今後, ゴレンシのカルシウム含有量を制御することで果実内のシュウ酸の形態を変えることが可能になるかもしれない.
  • 高樹 英明
    2005 年 4 巻 2 号 p. 213-218
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    1. オオナルコユリの戸外栽培株の根茎の休眠 (内生休眠) は7月上旬以前には極めて深かったが, その後, 日数の経過とともに徐々に浅くなり, 11月下旬以後は約5~8℃に低下した平均気温も休眠打破を促進して, 休眠の深さの減少が一層進み, 2月下旬~3月下旬には休眠がほぼ覚醒した.
    2. 休眠がほぼ覚醒した根茎の萌芽に適した温度は25~30℃であった.
    3. 戸外で育成された根茎に対する休眠打破のための低温処理は8月下旬以後が有効で, 十分な休眠打破効果を得るためには, 5℃で約90日間以上処理する必要があった.
    4. 根茎がつながった状態の多くの芽をもつ根茎群を植え付けた場合には, 約半数の芽しか萌芽しなかったが, 1つの芽のみをもつ根茎を植え付けた場合にはすべての芽が萌芽した.
作物保護
  • 浦上 敦子, 森下 昌三, 廣兼 久子, 佐藤 文生, 徳田 進一, 東尾 久雄
    2005 年 4 巻 2 号 p. 219-223
    発行日: 2005年
    公開日: 2005/10/28
    ジャーナル フリー
    高地温と抵抗性ダイズ‘Peking’がエダマメ圃場のダイズシストセンチュウ増殖に与える効果を検討した. 恒温器試験では, 地温が33℃の場合, 観音台圃場産のダイズシストセンチュウは増殖能力が著しく低かった. 圃場ではエダマメ品種‘富貴’と抵抗性大豆品種‘Peking’を用い2000年から2003年まで黒, 白黒ダブル, 透明のマルチ区および無マルチ区を設け試験を行なった. 2002年透明マルチ区で地温33℃以上の積算時間が207時間, 白黒ダブルマルチ区が95時間で, この時透明マルチ区の線虫増殖率は有意に低く, 翌年同じ試験区に栽培されたエダマメの莢重は透明マルチ区で有意に高かった. 地温33℃以上の積算時間が200時間を超す場合, 圃場での増殖率が抑制されると考えられた. 積算時間が短い場合の効果は明確には認められなかった. ‘Peking’を作付けすると増殖率が‘富貴’作付けに比べ低下し, 密度抑制効果が増殖率の低下と次年度のエダマメの莢重増加によって確認された.
普及・教育・利用
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