日本画像学会誌
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40 巻, 3 号
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論文
  • 久保 昌彦, 岩岡 一浩, 寺尾 和男
    2001 年 40 巻 3 号 p. 192-200
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    DTPプリンタ用の色変換処理においては,入出力における墨量の保存と測色的色再現の両立が課題であった.本論文では,墨量の保存と測色的色再現を両立する4入力4出力の色変換処理方法と,その色分解特性および色変換精度の評価結果について述べる.本論文で提案する新規色変換アルゴリズムは,(1)入力のYMCK色信号からL*a*b*色信号への変換を行なう部分,(2)入力の墨量K信号から明度の等しい出力の墨量K'信号への変換を行なう部分,(3)L*a*b*色信号とK'信号から出力のY'M'C'色信号を決定する部分,(4)入力のYMC色信号が全て零の場合に出力のY'M'C'色信号を零に修正する部分,より構成される.本アルゴリズムにより入出力における墨量の保存と測色的色再現の両立を実現することができ,入出力における墨量の保存を保証した従来方式に比べて色変換精度を大幅に改善することができた.
  • —時間分解観察に基づく染料転写機構の検討—
    木下 正兒, 星野 勝義, 北村 孝司
    2001 年 40 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    染料昇華型レーザー熱転写記録の特長である高解像度画像での濃度階調表現を理解するために,時間分解観察に基づいて染料の転写機構を検討した.まず,レーザー照射時のインク層の時間分解観察からインク層の物理変化開始時間を求めた.そして,層内の過渡温度分布の数値解析により,インク層溶融開始時の表面温度が染料の融点にほぼ一致することを示した.次に,インク層の物理的過渡挙動を表す指標となるリム径および穴径について,エネルギー密度分布の変化からその径を記述する予測式に,熱拡散およびエネルギー損失を考慮した補正を施すことにより,測定プロットに正確にフィッティングさせた.これら時間分解観察により明らかになったミクロな応答特性から染料転写量を予測する簡単なモデルを導入し,スポット径を変化させて濃度階調特性を計算した結果,実際の染料転写による濃度階調特性と定性的に一致させることができた.
  • 小泉 酉樹, 面谷 信, 高橋 恭介
    2001 年 40 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本研究は色彩計では判別できない金色と黄色,銀色と灰色の認識メカニズムの解明を目的としたひとつのアプローチとして,認識対象に対する視野を限定した時に起こる認識の変化に着目した実験的な検討を行った.金・銀領域を含む対象画像を,穴付きマスクで覆うことにより,見える面積を限定した状態で認識される色を答えさせる実験を被験者を用いて行い,金色・銀色が認識される必要面積を画像の中の部分領域別に求めた.その結果,金・銀領域の周辺部,特に4隅において中央部よりも小さい面積で金・銀が認識される結果が得られた.周辺部分では金銀領域のエッジ部の認識などにより対象画像の形状がわかりやすくなることから,金色・銀色の認識には同時に認識対象の形状が認識されていることが必要であると推論した.
解説
  • —技術委員会第7部会活動報告—
    面谷 信
    2001 年 40 巻 3 号 p. 214-220
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    日本画像学会では1999年に「画像学会」として改名再出発したのと前後して新しい領域に学会の新たな他の柱を求める動きを行っている.そのような活動の顕著な例として,この電子ペーパー・デジタルペーパーの分野に注目し,技術委員会第7部会で議論を続けている.本報告はその技術委員会の討論の結果をベースとしてまとめたものであり,コンセプトの整理などによりこの分野の研究開発の指針として役立つことをねらいとしている.本報告では,次のような内容が述べられている.まず,デジタルペーパー技術を含む書き換え記録技術全般についての適用分野のマップ整理を行った.ソフトコピーとハードコピーの両者の利点を兼ね備えることを狙い,従来のリライタブルペーパーとペーパーライクディスプレイの概念を統合する概念としてデジタルペーパーを定義した.デジタルぺーパーの主要メリットとして読みやすさ,使用場所の非拘束性,デジタル情報との結合を挙げた.実現の物理的形態としてプレート型,巻物型,ブック型,ペーパー型の4タイプを挙げた.紙に対する優位性の所在として情報と媒体の分離を指摘した.最後にデジタルペーパーを含む書き換え記録全般に対して,利用シーン集を提示した.
Imaging Today
『プリンタ画像品質の現状と課題』
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