日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
18 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
第22回日本創傷・オストミー・失禁管理学会学術集会理事会企画4(学術教育委員会創傷担当)パネルディスカッション報告
原著
  • -移植直後からの皮膚の経時的変化の特徴-
    西尾 奈緒美, 松井 優子, 北川 敦子, 須釜 淳子, 真田 弘美
    原稿種別: 原著
    2014 年18 巻1 号 p. 9-19
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     急性GVHDの皮疹(以下、皮膚急性GVHD)の特徴とスキンケア方法の示唆を得るため、同種造血幹細胞移植後の皮膚をプロスペクティブに追跡し、皮膚急性GVHDの発生のプロセスを明らかにすることを目的とした。
     同種造血幹細胞移植を行った患者16名の肉眼的皮膚所見と皮膚表面の微細構造、皮膚生理機能について帰納的記述的研究を行い皮膚の特徴を抽出した。
     分析の結果、皮膚急性GVHDの皮膚の特徴として同種造血幹細胞移植後肉眼的に皮疹を認める以前に、表皮下での細胞の変性、皮膚pHの低下、表皮の皮脂量低下の3項目と身体的特徴としてリンパ球の上昇の1項目が抽出された。また、5日目の皮膚pH(p=0.05)と7日目の皮脂量(p=0.02)、リンパ球(p<0.01)では皮膚急性GVHD発生あり群となし群では有意な差がみられた。皮疹の経過については、手掌に発生した場合は上半身へ、手掌と足底の両方に皮疹を発生した場合は、全身へと拡大していた。
     以上より、同種造血幹細胞移植後に発生する皮膚急性GVHDの発生のプロセスと拡大の範囲から、同種造血細胞幹移植後のスキンケア方法についての示唆を得ることができた。

  • 藤原 恵美子, 齊藤 奈緒, 多留 ちえみ, 田村 由美, 宮脇 郁子
    原稿種別: 原著
    2014 年18 巻1 号 p. 20-28
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     本研究は、褥瘡管理において中心的役割を担う皮膚・排泄ケア認定看護師(WOCN)が行う協働の実相を明らかにした。WOCN 21名を対象に、褥瘡管理における協働の実践内容とそこで体験したことに関する半構成的面接調査を行い、質的帰納的に分析した。なお、研究者所属施設の保健学倫理委員会の許可を得て実施した。WOCNの協働における実相として、6つのカテゴリーと27個のサブカテゴリーが生成された。WOCNは、褥瘡管理チームにおいて、【褥瘡ケアを徹底する】実践を基軸に、【看護師にも他職種にも分かってもらえない】課題に向き合いながら、【互いの専門性を活かす】【チームメンバー皆が気持ちよく円滑に活動できるように調整する】【成果を分かち合い、自信とやる気を引き出す】ことを通して【褥瘡ケアチーム体制を広げる】働きかけを行い、『褥瘡を治す・予防するためのよいチームを作る』ための協働を推進していた。今後、WOCNへの協働に関する継続的な養成・継続プログラムの構築に活かすことができる。

  • 小髙 亜由美, 松田 友美, 石田 陽子
    原稿種別: 原著
    2014 年18 巻1 号 p. 29-36
    発行日: 2014年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     抗がん剤は血管外漏出時の皮膚組織傷害の程度によって3つに分類されており、そのなかでも刺激性薬剤は血管外漏出時に、放置していても皮膚組織傷害は改善するといわれている。臨床では、血管外漏出時のケアとして罨法を施行することが多い。本研究では刺激性薬剤が血管外に漏出した際の組織変化と、それに対する罨法の作用を明らかにすることを目的としてマウスを用いて実験を行った。刺激性薬剤(シクロホスファミド)の血管外漏出時、肉眼的には発赤や潰瘍などの顕著な病変は認めなかった。組織学的には皮筋層において、血管外漏出後に何の処置も施していない群は1、3日目に皮筋の無構造化、炎症性細胞の集積がみられた。5、7日目には皮筋の再生像がみられた。漏出後冷罨法を行った群でも1、3日目は同様の変化であったが、5日目にも炎症性細胞がみられ、皮筋の再生は認めなかった。漏出後温罨法を行った群では1、3、5日目に皮筋の無構造化がみられたものの、炎症性細胞の集積はみられなかった。また7日目には皮筋の無構造化はみられなかった。以上より、刺激性薬剤が血管外漏出した場合には、肉眼的に変化が確認できない場合であっても、皮下組織において組織傷害が発生していることが明らかになった。また、本実験条件下では刺激性薬剤(シクロホスファミド)の血管外漏出に対するケアとして冷罨法は適切ではなく、温罨法が有効である可能性が示唆された。

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