日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
2 巻, 1 号
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巻頭言
追悼記
特別講演
  • -アセスメントを中心に-
    稲垣 美智子
    原稿種別: 特別講演
    1998 年 2 巻 1 号 p. 4-10
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
     看護過程におけるクリティカル・シンキングの重要性と導入について、アセスメントを中心に下記の内容から説明した。
    1)看護過程へのクリティカル・シンキングの導入は、看護ケアが看護者個人の思考や能力により提供されるアートを支持し、患者個々のニーズ達成に大きく貢献する上で不可欠である。
    2)看護過程展開に重要である看護者の思考は、5つのモードに概念化される。この5つの思考モードがクリティカル・シンキングを実施する上で重要である。5つの思考モードとは「想起」「習性」「探求」「新しいアイデアや創造性」「自分の考え方について知る」である。
    3)さらに本稿では、排泄に関する事例を提示し、思考方法をどのように活用するのか、その具体例を示し違いを比較することを試みた。
原著
  • 真田 弘美, 須釜 淳子, 紺家 千津子, 大桑 麻由美, 小西 千枝, 北川 敦子, 永川 宅和
    原稿種別: 原著
    1998 年 2 巻 1 号 p. 11-18
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
     筆者らが考案した褥創発生予測試作スケール(K式スケール)は普段危険度項目と引き金項目の2段階評価方式となっている。このスケールの信頼性と妥当性について、看護力強化型病棟に入院している高齢者で検討した。信頼性は、評定者間の一致率をみるために、看護者2名を対象に患者10名でのK式スケールとブレーデンスケールでの採点の一致率を比較した。予測妥当性をみるために患者107名を対象として、その感度と特異度を算出し、ブレーデンスケールのそれと比較した。その結果、K式スケールでは評定者間一致率は0.93 ± 0.07、ブレーデンスケールでは0.73 ± 0.14であり、有意にK式スケールの方が一致率が高かった。また、K式スケールの前段階得点の感度と特異度は88%、73%、引き金項目では100%、91%でありK式スケールの方がブレーデンスケールの71%と49%より高く、その予測妥当性が指示された。以上より、K式スケールは今回対象とした高齢寝たきり患者には臨床適応の可能性が高い。今後は対象を異なえた場合の妥当性を評価し、スケールの精選が課題となる。
  • 前川 厚子, 伊藤 美智子, 小長谷 百絵
    原稿種別: 原著
    1998 年 2 巻 1 号 p. 19-23
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
     1988年から98年5月までの10年間に医学中央雑誌に取り上げられたJAETメンバーの業績を“著者名”により検索し、そのキーワードと内容から①創傷、②オストミー、③コンチネンス、④その他の領域に分類し、研究活動の動向を分析した。対象としたJAETメンバー数は139人(97年度会員)であり、1988年度から98年度までの名簿から名前と所属施設を確認し、コーディングした。
     検索文献の総数は833件であり、JAETメンバー94人(67.6%)による1件から最大82件までの業績を確認した。領域別ではオストミーが536件と最も多く、次に褥創と離開創のケアを含む創傷が152件(18%)を占めた。コンチネンスは12件(1%)で少なかった。そして、これら専門の3領域を含まないものは133件(16%)であった。高齢社会において失禁と褥創予防は専門看護職に課せられた二大テーマであることから、目的意識的に本領域の研究に重点をおく必要性が高い。
     医学中央雑誌に収録される文献は収集範囲が限定されているため、JAETメンバーの実績を全数網羅したものではない。しかし、CD-ROM情報は医療従者のみならず、他領域のコンピュータユーザーのアクセスを容易にしている。JAETメンバーは情報の発信源になるよう業績の蓄積をすると同時に、既存の業績を効果的に活用することが求められる。
  • -フォースセンサーによる測定結果より-
    小長谷 百絵, 大久保 祐子, 小川 鑛一, 前川 厚子
    原稿種別: 原著
    1998 年 2 巻 1 号 p. 24-30
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は、45度ファウラー位の姿勢をとる過程で、足元にずり落ちようとする力が、臀部の褥創の発生に影響するか検討することである。方法として、健康な男女4人の臀部にかかる、水平に向かう力(以下水平力)と、垂直に向かう力(以下垂直力)のそれぞれの荷重(Kg)をフォースセンサによって測定した。ファウラー位の体位として、膝を挙げない場合と、ずり落ち防止のために膝をあげた場合の二通りを測定した。
     結果として、膝を挙げた場合も挙げない場合も、ベッド角が上昇すると、水平力・垂直力の荷重は上昇してゆき、その後急激に荷重が減り、値が安定した。水平力を示す軌線は、上昇した後、急激に下降する鋭角の波を示した。この波は、静止摩擦力から解放され、体がずれた様子をあらわしていると考えられた。
     膝を挙げた場合と、挙げない場合の水平力の比較では、膝を挙げないで頭部を挙上すると、ずり落ちようとする力が大きい。ずり落ち防止のために膝を挙げると水平力は減るが、その反面、垂直力が増加することが示唆された。
     以上のことから褥創発生危険度が高い人は、ファウラー位をとらない方がよい。やむおえない場合は、ベッドなどに背部が触れながら上体を挙上させるのではなく、看護者2名によって上体を挙上させた上で、個人の体形に合わせたバックレストの形を工夫したほうがよい。
  • -自己成長エゴグラム(SGE)を用いた-考察-
    西出 薫
    原稿種別: 原著
    1998 年 2 巻 1 号 p. 31-37
    発行日: 1998年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
     5施設のオストメイト40名を対象に交流分析の自己成長型エゴグラム(以下SGE)を用いて分析し、臨床における患者指導に取り入れる可能性を検討した。分析に際しては各自我状態ごとの平均値と標準偏差を求め、それぞれの得点の高低を考察する際に、芦原によるSGEのパターン分析に準じて3群にわけた。SGE平均値はCP16.0 ± 2.85、NP14.6 ± 3.93、A12.5 ± 4.38、FC12.1 ± 4.61、AC10.9 ± 3.77であり、同じSGEを用いた陶山らの研究による肺癌患者や健常者の平均値と比較するとCP、ACが高く、NPが低値であった。また、今回対象とした40名では術後経過年数や年齢によってACに有意差が見られたが、男女別に有意差がなかった。今後はSGEを術前、術後、退院後など機会がある毎に施行し、患者の心理的傾向を横断的に把握し、生活指導の一手段として活用すべきである。
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