日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
3 巻, 1 号
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第8回日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会特別講演
第8回日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会教育講演
原著
  • 積 美保子, 伊藤 美智子
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 1 号 p. 16-22
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
    クローン病でイレオストミーを受けた患者40人を対象とし、全身状態とストーマ周囲早期合併症について検討した。方法は排便重量と性状、血清総蛋白値、血清アルブミン値、ストーマ周囲皮膚障害の有無と程度を入院診療録と看護記録に基づき調査した。血清総蛋白値、血清アルブミン値は術直後に共に減少したが術後3週間目には改善した。イレオストミーの排便は、術後1日目より4日目までにみられ、水様性から泥状の便で、平均排便重量は術後1日目339gから術後2週間目1202gと増加を示した。ストーマ周囲皮膚障害の出現は26人に見られ、その原因は、便の付着によるビランが最も多く、61.5%であった。本調査ではストーマ周囲皮膚障害は術後早期に出現し、その原因は排泄物や装具の刺激であった。皮膚障害の出現と排便重量、血清総蛋白値、血清アルブミン値には相関関係は認められなかった。皮膚障害を予防するためには術直後から、排泄物の皮膚付着を防ぐ工夫や緩衝作用の高い皮膚保護剤の使用を行い、排泄物や皮膚の状態に合わせた装具交換を行うことが必要と示唆された。
  • -済生会訪問看護ステーション利用者の介護者の実態-
    藤原 泰子, 大塚 邦子, 菊地 よしこ
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 1 号 p. 23-28
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
     在宅療養者の褥瘡予防は、訪問看護婦のみでできるものではなく介護者の協力が必要である。介護者の褥瘡に対する知識・予防方法を知るために、全国済生会訪問看護ステーション利用者の介護者を対象にアンケート調査を行なった。対象523名中褥瘡保有者は18.5%であった。介護者で床ずれ(褥瘡)という言葉を知っている者は89.9%であったが、原因を知らない者21.2%、褥瘡予防の指導を受けていない者40.3%、褥瘡予防のための介護用品を使用していない者が22.8%あった。褥瘡予防教育を受けた者の14.0%は指導された内容を実施していなかった。また、介護者に教育をしている看護婦、医師などの医療従事者が褥瘡やその予防について正しい知識を持っているとは言い難い状況であることも明らかになった。在宅療養者の褥瘡予防には、高齢の介護者が理解しやすい内容・方法での技術指導とともに、医療従事者への褥瘡ケア教育が必要である。
  • 竹内 佐智恵
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル 認証あり
     神奈川県に在住する日本人女性で、健診センターを受診した25歳から79歳の女性1000人を対象に、尿漏れの有無または持続状況に関するアンケート調査を実施した。有効回答806人のうち41%の人が尿漏れを経験したことがあり、そのうち65%の人が改善していた。尿漏れを有意に起こしやすい要因として経膣分娩の経験(p<0.01)と高値のBMI(Body Mass Index)(p<0.01)が認められた。また、尿漏れが改善しにくい要因としては、腹部手術の既往が認められた。尿漏れの持続期間の比較から、腹部手術の既往がある場合は妊娠/出産の経験のある場合と同程度の持続期間を示し、骨盤底筋へのダメージをきたすことが示唆された。
  • -アンケートによる本人から見た業務内容および成果と婦長からの評価-
    永野 みどり, 田中 秀子, 宮嶋 正子, 富 律子
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
      認定後半年経過したWOC看護認定看護師とその上司に、調査用紙と事例報告によって、WOC看護認定看護師の活動の特徴と成果について調査した。その結果、直接的なケアは事例報告の94%が局所的なケアを行い、全員がスタッフへの指導や相談対応を行っていた。また、53%が医師から相談を受けていた。上司である婦長に対する調査では、70%以上は、「適切なケア選択」の他に、「ケアを評価し次に生かす」などと認定看護師を肯定的に評価していた。67%の婦長は「看護スタッフの士気の向上」など認定看護師が施設の看護部全体ならびに経営への貢献をすることを認めていると推測できた。以上は、今後のWOC看護の知識・技術の開発、認定看護師制度の評価、認定看護師の処遇などに、その根拠として利用できると考えられた。
  • 真田 弘美, 須釜 淳子, 永川 宅和, 宇波 順子, 川合 由香, 小西 真希子, 室川 真澄, 山田 美紀
    原稿種別: 原著
    1999 年 3 巻 1 号 p. 40-47
    発行日: 1999年
    公開日: 2023/03/01
    ジャーナル フリー
     褥瘡を有する高齢者における入浴の有効性を明らかにするため、皮膚の血流量、細菌叢、pHの変化を入浴および洗浄前後で測定した。対象は介護力強化型の病院に入院する61~90歳の褥瘡を有する患者9名であった。血流量は非接触型レーザー血流計で創部、創周囲1.5cmにおいて入浴前60分間、入浴後120分間を10分毎に測定し、入浴前後を測定した。細菌叢はスワブ法で創部、創周囲1.5cmにおいて入浴時の局所へのシャワー前後およびドレッシングチェンジ時の洗浄前後を採取し、シャワーと洗浄を比較した。pHは皮膚pH計で創周囲1.5cm、創周囲10cm、肩甲部において入浴1.5時間前、直後、2時間後、5時間後を測定し、入浴前後を比較した。その結果、血流量は創部、創周囲1.5cmの瘢痕皮膚で入浴後に有意に増加した。細菌叢では各部位で入浴時のシャワーの方が洗浄より菌数が減少した。pHでは各部位で入浴前後の変動は正常範囲内であった。以上より、褥瘡を有する高齢者における入浴の有効性が血流量の増加と創の清浄化により示唆された。
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