日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
1 巻, 1 号
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巻頭言
創刊にあたって
総説
  • -オストメイトの対処行動を考える-
    佐藤 エキ子
    原稿種別: 総説
    1997 年 1 巻 1 号 p. 3-11
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル 認証あり
     Coping is a complex process.
    A review of the literature focused on a theory of stress and coping. According to Lazarus and Folkman (1984), the theory identifies two processes, cognitive appraisal and coping, as critical mediators of stressful person-environment relations, and problem-focused and emotion-focused coping strategies affect patients'outcomes.
     No research has been conducted evaluating of coping in patients with ostomy. However, it would seem likely, that the hospitalized patients whose coping strategies were measured in the studies by Jalowiec and others did experienced by ostomy patients, as well as coping strategies employed. Then, it may be that particuler nursing interventions could be developed and tested which facilitate coping appropriate for the individual's resources and perceived threat.
  • 永野 みどり, 前川 厚子, 佐藤 エキ子, 伊藤 美智子, 南 由起子, 上加世田 豊美, 井口 美奈枝
    原稿種別: 総説
    1997 年 1 巻 1 号 p. 12-18
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
     日本で活躍しているETナースとWOC看護認定看護師の背景、ならびに国内の教育機関であった聖路加国際病院ETスクールと現在行われている日本看護協会 認定看護師教育課程WOC看護コースの概要を始め専門教育についてJAETの調査や文献をもとに述べた。その結果次の課題が挙げられた。
    1.日本のWOC看護認定看護師の養成課程でも近い将来、教育機関への入学要件の中に看護学学士以上とすることを検討する必要性がある。
    2.WOCコースのカリキュラムの中に、専門家として発展するための知識と技術について加える事が必要と考えられる。また、研修生の時間と経費の負担を軽減させる研修方法の検討が必要である。
    3.ETナースの自己研鑽の場は充分とは言えない。WOE看護認定看護師の5年後毎の認定更新のためにも主体的な学術活動を強化する必要性がある。
原著
  • 田村 泰三
    原稿種別: 原著
    1997 年 1 巻 1 号 p. 19-21
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
     マイルス手術に伴うS状結腸ストーマの造設に関して、合併症の少ないストーマを造設するための基本的な考え方および手術手技について検討した。この問題に関してターンバルが提唱している項目を検証した。結腸断端の生命力を確保するために十分な動脈血流が温存される必要がある。とくに下腸間動脈根部結紮の可否について、および下腸間動脈根部結紮が行なわれた場合のストーマ造設位置について検討した。
  • 前川 厚子, 永野 みどり, 伊藤 美智子, 井口 美奈枝, 上加世田 豊美, 佐藤 エキ子, 南 由起子
    原稿種別: 原著
    1997 年 1 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
     わが国における看護婦の役割発展形態の中で、ET看護婦(Enterostomal Therapy Nurse)は独自の変化を成し遂げてきている。それは中堅看護婦として臨床実践能力を保有した上でET研修を受ける教育体系と資格取得後に継続ケアのリソースとして能力を発揮してきた結果により産出されてきた。1981年にJAET (Japanese Association of Enterostomal Therapy Nurses;日本ET協会)が結成され、ストーマケアの推進ならびに学術活動の向上を目的に活動を推進している。1976年から97年 6月までに120余人が内外のETスクールでET資格を取得し、多種多様な職域で働いている。1996年に、日本看護協会は、WOCN (Wound,Ostomy and Continence Nurse)認定看護師制度を発足した。本委員会では、JAETメンバーに対して、WOCN認定看護師資格取得の希望の有無を調査した結果、78.3%のメンバーが移行措置を要望していた。この背景には、専門的教育を受けた看護婦によるヘルスケアデマンドの顕在化と高齢化社会における制度の変化があげられる。今後はET看護婦が WOCN認定看護師へ移行し、制度的に擁護された看護職として本領域を発展させて行くことが重要な課題となる。
  • 高見沢 恵美子
    原稿種別: 原著
    1997 年 1 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
     人工肛門造設患者の生活の主観的評価に関連するQuality of life (QOL)の認識の低下を予防するために、人工肛門造設術によって低下する認識、および低下する可能性のある患者を予測できる要因を明らかにした。
     人工肛門造設患者、前方切除患者、健康老人を対象に、主観的なQOLの認識に対する手術およびデモグラフィックデータの影響を、数量化 I 類、および分散分析を行い検討した。
     人工肛門造設術は、生活上の苦痛、排便の負担感の増加と自己価値観の低下に影響し、手術の落胆が大きい手術であるが、人工肛門造設患者は積極的生活姿勢を高め、ソーシャルサポートを強く認識していた。QOLに関する認識に影響する手術以外の要因は、性別、婚姻状況、学歴の3要因であり、男性、既婚、中学卒業程度の最終学歴を有する人工肛門造設患者には、術前から特に慎重に看護を検討していく必要があると考えられた。
  • 真田 弘美, 永川 宅和, 須釜 淳子, 平松 知子, 稲垣 美智子, 泉 加奈子, 太田 久美子, 北村 志乃婦, 能登 真里子, 森田 ...
    原稿種別: 原著
    1997 年 1 巻 1 号 p. 34-41
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
    高齢者の褥創発生の予測方法を開発するために、仙骨部における骨突起と褥創との関係、骨突起に影響を及ぽす要因を検討した。対象は、特別養護老人ホームの67~96歳の高齢者であった。方法は体圧測定から得た最大体圧値と臀部接触圧値を用いて、骨突起の程度を数量化し、褥創発生の有無との関係をみた。また、骨突起率に及ぼす影響を形態的特徴、拘縮、日常生活動作、姿勢の面から検討した。その結果、骨突起率と褥創発生の有無には有意な差がみられた。また骨突起率には、高齢者の肥満度、活動性が影響を及ぼしていた。このことより、肥満度と活動性を用いた骨突起度の算出から、褥創発生の有無を予測した場合、感度86%、特異度66%であり妥当性があることも示唆された。以上のことから、骨突起を指標する際には最大体圧値のみではなく、臀部接触圧値も必要であること、姿勢や拘縮は骨突起に影響を及ぽさず、体格や活動性の低下による臀部の筋肉の萎縮が関わってくることが考えられた。また、骨突起は、褥創発生の要因の1つとして、臨床においても予測可能な変数であると言えた。
症例研究
  • 大村 裕子
    原稿種別: 症例研究
    1997 年 1 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル 認証あり
  • -装具による皮膚障害が生じた3例のケアを通して-
    貝谷 敏子
    原稿種別: 症例研究
    1997 年 1 巻 1 号 p. 47-51
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル フリー
     凸型装具の使用により、皮膚との密着性が高まり、装着期間の延長がはかれる。しかし、これらの凸型装具も適切に選択使用されなければ、皮膚障害の原因となる。
     今回ストーマ外来において、凸型装具の選択が不適切であり、皮膚障害が生じた3症例において、凸型装具の深さの選択と使用を検討した。選択にあたっては、凸面の深さで装具を浅型、中間型、深型の3種類に分類した。症例を検討するにあたり、①腹壁の状態と変化 ②凸型装具が選択された経過 ③皮膚障害の原因と装具の関係 ④装具変更後の皮膚の状態の4項目を検討した。
     その結果、凸型装具選択の際は以下のことを考慮することが大切であると考える。
      ①各装具の凸面の深さ(浅い、中間、深い)を意識して選択する。
      ②平坦型ストーマ全てに凸型装具が選択可能でなく、腹壁の形状、弾力性を考慮する。
      ③体重の増減や、退院後の日常生活に伴うストーマ周囲皮膚と、ストーマの変化に対応できるよう長期的視点での評価を行う。
  • 宮崎 啓子, 判澤 恵
    原稿種別: 症例研究
    1997 年 1 巻 1 号 p. 52-56
    発行日: 1997年
    公開日: 2023/02/15
    ジャーナル 認証あり
     瘍孔は排液の性状、量、形成部位などからその管理には難渋することが多い。そこで、ナーシングスタッフが使用しやすいある程度のガイドラインを作成することを目的に、複数例の痕孔ケアの経験から、皮膚障害程度と排液量を中心とした局所のアセスメント、パウチング法を検討したところ、いくつかの共通項目が見い出せた。
     瘍孔周囲に潰瘍を認める場合、ハイドロコロイドドレッシング材を第一貼付とし、凸面型面板を貼付することで、排液の確実な収集と潰瘍部の上皮化がはかれた。軽度びらんの場合は、ハイドロコロイドドレッシング材か、それに準じたフィルム材と平型ワンピース装具にて同様の結果が得られ、また患者のQuality Of Life向上にもつながった。
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