背景:Skin-tears(STs)発症へのadvanced glycation end-products(AGEs:終末糖化産物)の影響の実態は不明である。本研究はSTs既往の有無で群分けしたSTsハイリスク高齢者のAGEsと皮膚特性を比較し、STsハイリスク高齢者のSTs発症において、AGEsが皮膚特性に及ぼす影響を検討することを目的とした。
方法:介護施設および病院で療養するSTsハイリスク高齢者を対象とし、前腕のAGEs量と生理学的・形態学的皮膚特性を測定した。総数での皮膚特性間の相関性およびSTs発症と非発症群の差を検定した。
結果:64名(年齢中央値92歳)が参加し、STs群23名、非STs群41名だった。皮膚AGEs量の中央値は3.2 AFだった。AGEs量はヤング率とintensity score(
ρ =0.34、
ρ =0.44)で正の関連性があった。STs群はskin thickness(
p < 0.01)とヤング率(
p = 0.04)が有意に高かったが、AGEs量に有意差はなかった(
p=0.46)。
考察:STsハイリスク高齢者の皮膚では、コラーゲン密度が上がるのに伴ってAGEs量が上昇しており、AGEsによる皮膚の形態学的変化がSTsの発生に関与している可能性がある。
結論:皮膚AGEs量の上昇はSTsの発症に直接影響することはないが、間接的にはSTsの発症に影響を及ぼす可能性がある。
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