日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
28 巻, 1 号
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シンポジウム2 デブリードメントを極める!特定行為をする人・しない人必見 -外科的デブリ・機械的デブリ等のポイント-
総説
原著
  • 長谷川 毅
    原稿種別: 原著
    2024 年28 巻1 号 p. 38-48
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/07/31
    ジャーナル フリー
     背景:Skin-tears(STs)発症へのadvanced glycation end-products(AGEs:終末糖化産物)の影響の実態は不明である。本研究はSTs既往の有無で群分けしたSTsハイリスク高齢者のAGEsと皮膚特性を比較し、STsハイリスク高齢者のSTs発症において、AGEsが皮膚特性に及ぼす影響を検討することを目的とした。
     方法:介護施設および病院で療養するSTsハイリスク高齢者を対象とし、前腕のAGEs量と生理学的・形態学的皮膚特性を測定した。総数での皮膚特性間の相関性およびSTs発症と非発症群の差を検定した。
     結果:64名(年齢中央値92歳)が参加し、STs群23名、非STs群41名だった。皮膚AGEs量の中央値は3.2 AFだった。AGEs量はヤング率とintensity score(ρ =0.34、ρ =0.44)で正の関連性があった。STs群はskin thickness(p < 0.01)とヤング率(p = 0.04)が有意に高かったが、AGEs量に有意差はなかった(p=0.46)。
     考察:STsハイリスク高齢者の皮膚では、コラーゲン密度が上がるのに伴ってAGEs量が上昇しており、AGEsによる皮膚の形態学的変化がSTsの発生に関与している可能性がある。
     結論:皮膚AGEs量の上昇はSTsの発症に直接影響することはないが、間接的にはSTsの発症に影響を及ぼす可能性がある。
  • 小栁 礼恵, 松浦 俊博, 竹内 さやか, 山田 理, 石原 拓磨, 須釜 淳子
    原稿種別: 原著
    2024 年28 巻1 号 p. 49-56
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/09/30
    ジャーナル フリー
     目的:本研究は、便秘を有する認知症患者に対するUS(超音波)による便秘評価とチーム医療による便秘の治療・ケアの有効性を検討することを目的とした。
     方法:本研究は後ろ向き観察研究であり、便秘を有する認知症高齢者55 名を対象とした。便秘の評価はUS 画像所見により直腸内の便の有無を確認した。主要アウトカムは、Bristol Stool Form Scale(BSFS)と自然排便の達成とし、BSFS 3-5点(正常便)の達成における支援チーム介入の有効性を一般化線形混合効果モデルにより評価した。
     結果:本研究の結果、BSFS 3-5 点(正常便)を達成する確率は、チーム介入群ではチーム介入無群の2 倍であった(オッズ比[OR]:2.03、95%信頼区間:[1.23,3.33]、p=0.005)。
     結論:便秘を伴う認知症高齢者への介入には、US 画像所見の解析、認知症と便秘に関する知識を有し、効果的な治療とケアを計画できる専門家チームが必要であることが示された。
  • 竹差 美紗子, 光田 益士, 石亀 敬子, 三浦 由佳, 須釜 淳子
    原稿種別: 原著
    2024 年28 巻1 号 p. 79-93
    発行日: 2024年
    公開日: 2024/11/29
    ジャーナル フリー
     目的:軽尿失禁を有する地域在住の成人女性におけるIAD保有率とIADに関連する因子、IADの症状がQOLに与える影響を明らかにする。
     方法:過去1年以内に軽尿失禁の経験がある20歳以上の女性に対し、アンケート調査を実施し分析した。
     結果:対象者114人のうち、IAD保有者は36人(31.6%)であった。IAD保有者は、IADを保有していない者にくらべ、半日および長期間の外出時にパッドを使用することが有意に多かった(p = 0.03, p = 0.01)。IADの症状の程度別に比較したところ、かゆみやほてりが強いほどQOL低下への影響が深刻であった。
     考察・結論:地域在住の軽尿失禁パッドを使用している成人女性の3分の1にIADが存在した。IADの症状の程度が強いとQOLが低下していた。
  • 前澤 美佳, 福田 真佑, 中村 光浩, 赤瀬 智子
    原稿種別: 原著
    2025 年28 巻1 号 p. 145-155
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/01/31
    ジャーナル フリー
     目的:注射薬の血管外漏出は多様な皮膚傷害を惹起し、患者のQuality of Lifeを低下させる。本研究は、血管外漏出が発生した症例の特徴を明らかにすることを目的とした。
     方法:日本の1大学病院において2018年から2023年に入院し点滴治療を受けた診断群分類別包括支払い制度対象患者のうち、電子カルテシステムにて注射薬の血管外漏出が報告された患者を対象とした。血管外漏出が生じた症例の特徴を、患者背景、薬剤、手技の3つの観点から記述的に分析した。
     結果:830名の患者において、同一患者での複数回の発生報告を含む1,045例の血管外漏出が報告された。血管外漏出の発生が報告された患者背景に着目すると、年齢層は70歳台(32.34%)が最も多く、ついで60歳台(18.12%)、80歳台(17.55%)であった。漏出した薬剤で最も報告が多かったのは、アミノ酸・水溶性ビタミン加総合電解質液(26.51%)であった。61.44%の患者で輸液ポンプが使用されていた。
     結論:本研究において、血管外漏出が発生した症例の特徴は、加齢、末梢静脈栄養輸液の使用、輸液ポンプの使用であった。今後は、各要因と血管外漏出との因果関係の検証が必要である。
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