日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
27 巻, 3 号
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会長講演
総説
原著
  • 真島 知美, 只浦 寛子, 内田 治
    原稿種別: 原著
    2023 年 27 巻 3 号 p. 478-495
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/24
    ジャーナル フリー
     目的:本研究は、新学制以降、継続して出版された看護の教科書における褥瘡に関する記述内容と変遷を明らかにすることを目的とした。
     方法:看護の教科書の蔵書と電子データが最多の国内図書館から、新学制以降、初めて褥瘡の記述がみとめられ、現代まで体系的シリーズとして最長期間、継続して教科書を出版していた出版社の全書を選択した。マルチメソッド・リサーチデザインを用い、テキストマイニング、帰納的解析、Jonckheere-Terpstra 検定、コレスポンデンス分析を行った。
     結果:日本看護協会図書館の蔵書約5万冊より1951 ~ 2019 年に1 社が出版した1,374 冊の看護の教科書のうち基礎看護学に関する48 冊が分析対象となった。量、評価、創面、リハビリテーション、壊死組織、能力、火傷のカテゴリ数量に年代別・傾向的変化に有意差があった。大分類カテゴリと割合は[動きの支援51.4%][皮膚・創傷管理18.7%][看護10.7%][全身管理9.8%][環境整備9.4%]であった。コレスポンデンス分析では、1950 ~ 1960 年代は褥瘡の観察と局所刺激で、1950 年代近位に乾燥が布置された。1970 ~ 1980 年代は身体部位、体位や体位変換、寝具、1990 ~2010年代は創傷治癒過程、発生が布置された。
     結語:看護の教科書における褥瘡に関する記述は、動きの支援が5 割を超えており、近年は評価を重点に、多面的・総合的な内容に変遷していた。
  • 畑 千尋, 加藤 早紀, 片野 莉里花, 宮澤 芽生, 若林 未来也, 加納 恭子, 高野 智早, 野々山 忠芳, 高山 裕喜枝
    原稿種別: 原著
    2023 年 27 巻 3 号 p. 496-502
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/24
    ジャーナル フリー
    【目的】ストーマ保有患者のストーマケア自立に関連する要因を多角的に検討する。
    【方法】人工肛門造設を施行した患者を対象とし、患者属性とストーマ属性について後ろ向きに調査した。退院時のストーマケア自立度が高い順から「自立群」、「便廃棄のみ自立群」、「全介助群」の3群に分類し、統計解析を行った。
    【結果】対象者は136例であった。ストーマケアが自立しないケースの特徴として、高齢、せん妄の発症、認知症、単孔式、永久ストーマ、しわ/ くぼみによるストーマ装具からの便漏れの経験がないことがあげられた。多項ロジスティック回帰分析では、家族や医療者のサポート状況が抽出された。
    【結論】せん妄予防や早期リハビリ、個別性のある人工肛門管理目標を設定することに加えて、手術が決定した外来の段階からキーパーソンや主介護者選定などのサポート体制を充実させることがストーマケア自立への支援となる可能性がある。
  • 佐竹 陽子, 石澤 美保子, 森脇 裕美, 升田 茂章, 土田 敏恵, 貝谷 敏子, 田中 結華
    原稿種別: 原著
    2023 年 27 巻 3 号 p. 503-514
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/24
    ジャーナル フリー
     本研究は在宅療養者の医療関連機器圧迫創傷(以下、MDRPU)有病状況とケアの現状を明らかにすることを目的とした。
     全国指定訪問看護ステーションから単純無作為抽出した1,800施設のMDRPU有病症例を対象に実態調査を行った。
     338 施設(回収率18.8%)から252 症例の回答を得た。男性115 名(45.6%)、69.0 ± 25.3 歳(範囲;0-101)、233 件(79.8%)が在宅で発症していた。関与した機器は尿道留置カテーテル68 件、経ろう管法用チューブ56 件、経鼻酸素カニューレ30 件が上位であった。DESIGN-R®の深達度評価はd1が163(55.8%)、d2が85(29.1%)、D3 が18(6.2%)、D4が9(3.1%)、D5 が1(0.3%)であった。在宅で入手可能な物品で試行錯誤しながらスキンケア、接触部位の保護、除圧の外力低減ケアを実施していた。
     ケアは訪問看護師のもつ創傷管理の知識で適切にされていると評価できる一方で、医療機関と異なる背景にも留意しなければならない。訪問看護師と皮膚・排泄ケア認定看護師の専門的知見を融合し地域の医療者や介護福祉専門職、在宅療養者や家族に対し従来の褥瘡との違い、重症化予防の観察やケアを教育する必要がある。また在宅療養者や家族の生活状況と変化に応じセルフケアや介護能力を見極め、MDRPU 予防と管理の方法を具体的に検討する必要性が示唆された。
  • 沖田 翔平, 高田 千嘉, 大江 真琴, 須釜 淳子, 大桑 麻由美
    原稿種別: 原著
    2023 年 27 巻 3 号 p. 515-524
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/10/24
    ジャーナル フリー
    背景
     非がんのエンドオブライフ期の寝たきり高齢者が保有する褥瘡については、がん患者と比較して経過が長く不明な点が多い。本研究の目的は、非がんのエンドオブライフ期の寝たきり高齢者が保有した褥瘡がどのような特徴を有し、どのような経過を辿ったのかを明らかにすることである。
    方法
     研究デザインは後ろ向き実態調査研究とした。対象は、2015 年4 月からの6 年間に長期療養型病床を有する一般病院1 施設に入院し、仙骨部褥瘡を有するエンドオブライフ期にある75 歳以上の者とした。褥瘡の状態はDESING-R®の項目と、褥瘡回診時の写真を基に質的スケッチ技法にて質的記述的に褥瘡の形態的特徴と経過を分析した。さらに、治癒過程に影響する要因について、治癒群と未治癒群の比較により明らかにした。
    結果
     対象者は45 名(褥瘡46個)であった。褥瘡の形態は19が抽出され、治癒群は14 名(褥瘡14個)、未治癒群31名(褥瘡32個)であった。治癒群ではポケット形成後肉芽組織の盛り上がりによる表皮化または収縮によって創閉鎖する経過を辿っており、未治癒群ではポケット形成後も壊死組織を保有し、創面積拡大または拡大縮小を繰り返す経過を辿っていた。壊死組織に対する治療ケアに両群違いはなかった。
    考察・結論
     壊死組織の早期除去を目的とした治療やケアの選択肢は限られていたが、感染も考慮した予防・早期除去が重要であると示唆された。
短報
症例報告
報告
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資料
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