アクションリサーチ(Action Research;AR)の方法論を用いて、多職種チームで取り組んだストーマ周術期ケア改善のプロセスを明らかにした。調査期間は2009年8月~2010年3月で、研究フィールドはA大学病院、ARチーム(以下チーム)の構成メンバーは、多職種からなる実践者7名と研究者2名であった。方法は、チームで毎月定例会を開催し、ストーマ周術期ケアにおける問題点と改善策について対話した。チーム以外の意見を聴取しながら問題点を明確化し、改善策を実践するために必要な協力者、環境整備、スケジュールなどを検討した。チーム全体で具体的な計画を立て実施前にチームメンバーが同職種に説明し、現場の状況をみながら実施の可能性を判断した。定例会では毎回、実施後の評価と改善策の修正を行い、お互いに内省する時間を設けた。その結果、ケア改善のプロセスは、問題の明確化、計画と実施、評価と内省を繰り返しながら、1)現状の問題点と実現可能な改善策の探索、2)環境整備とスタッフの協力、3)外来での術前教育実施と関連部門との調整という、3つのサイクルをたどった。改善策を実施する過程において、チームの取り組みは組織全体へと波及していった。AR法を用いたプロセスを通して、チームの問題解決への意識は高まり、相互の理解が深められ、チーム医療の推進にもつながることが示唆された。
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