日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
21 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
原著
  • 小谷野 結衣子, 仲上 豪二朗, 真田 弘美
    2017 年 21 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル 認証あり

     日本語版IADS の信頼性と妥当性を原版4 症例と日本人高齢者12 症例を用いて検討した。経験年数の異なる看護師18 名と医師2 名を対象に、信頼性は評定者間信頼性と評定者内信頼性の相関係数を算出した。妥当性は皮膚・排泄ケア認定看護師を基準者とし、全症例における基準者と評定者19 名の重症度一致率とIAD 臨床所見の採点一致率を算出した。原版症例の評定者間級内相関係数は0.724、評定者内級内相関係数は0.868 であり、日本人高齢者症例の評定者間級内相関係数は0.359、評定者内級内相関係数は0.403 であった。原版症例の重症度一致率は0.400 - 1.000、IAD臨床所見の採点一致率は「なし80.0%」、「赤55.4%」、「発疹36.9%」、「皮膚欠損51.7%」であった。日本人高齢者症例の重症度一致率は- 0.016-0.66、IAD 臨床所見の採点一致率は「なし60.0%」、「ピンク56.8%」、「赤33.1%」、「発疹45.5%」、「皮膚欠損40.3%」であった。原版症例では信頼性・妥当性が認められたが、日本人高齢者を対象とした採点にあたっては、色調変化の範囲に関し採点の再現性が低くかつ異なる評価をする可能性が信頼性・妥当性が得られなかった理由として考えられた。

  • 野沢 恭介, 玉井 奈緒, 峰松 健夫, 北村 言, 三枝 真心, 天池 光, 真田 弘美
    2017 年 21 巻 1 号 p. 10-24
    発行日: 2017年
    公開日: 2021/04/30
    ジャーナル フリー

     目的:精神疾患を有する患者における褥瘡発生の問題解決には、褥瘡の特徴を理解し、発生要因を検討することが重要である。本研究では、精神疾患を有する患者の褥瘡の実態を調査するとともに、質的スケッチ技法により、褥瘡の形態とその発生状況の関係を検討した。方法:まず後ろ向き研究として褥瘡回診のデータから精神疾患を有する患者とその他の患者の比較(研究1)を行い、精神疾患を有する患者の褥瘡の形態的特徴と褥瘡発生状況を質的記述的に分析(研究2)した。結果:対象は精神疾患を有する患者15 名、その他の患者262 名であった。精神疾患を有する患者は、その他の患者と比較し、年齢が低く、歩行可能であった。さらに褥瘡の保有個数が多く、院外発生が有意に多かった。また座位で発生する褥瘡がみられなかった。精神疾患を有する患者の褥瘡に特有な形態的特徴として、形は<雲状形>と<シャープ形>、色は<まだら>のカテゴリーが抽出された。褥瘡発生状況における褥瘡部位へかかる外力は<小刻みに動く>、<大きく動く>、<まったく動かない>、<自傷行為>、発生要因は、<精神科治療薬の過剰投与>、<過量服薬>、<身体拘束>、<循環不全>があげられた。結論:精神疾患を有する患者は自立度が高く、比較的若年であるにもかかわらず、褥瘡が多発していた。発生状況としては、動きや自傷行為による外力と、精神科治療薬の服用量や身体拘束といったケアによる要因が関係していた。

報告
症例報告
feedback
Top