日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌
Online ISSN : 1884-2321
Print ISSN : 1884-233X
11 巻, 2 号
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第16回日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会特別講演
第16回日本創傷・オストミー・失禁ケア研究会教育講演
原著
  • -Health Action Process Approachによる分析-
    木下 幸子, 菅井 亜由美, 須釜 淳子, 真田 弘美, 紺家 千津子
    原稿種別: 原著
    2007 年 11 巻 2 号 p. 21-29
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は、車椅子座位を中心に生活を送る脊髄損傷者(脊損者)の褥瘡の深さに関係する要因を健康行動の概念から抽出することにより必要なケアを見い出すことにある。方法は褥瘡を保有する脊損者、発生経験のない脊損者を対象に健康行動を捉えるためにインタビューを行い、Health Action Process Approach(HAPA)モデルを用い、脊髄損傷や褥瘡に影響を及ぼす要因と健康行動との関係をみた。
     対象者23名のうち褥瘡を保有する脊損者は18名(20部位)で、その深さは真皮までの欠損を特徴とする浅い創(8名8部位)と骨膜まで露出する欠損を特徴とする深い創(10名12部位)に大別できた。褥瘡発生経験のない脊損者は5名であった。
     HAPAの比較において、深い褥瘡を保有する脊損者は、褥瘡について危険性の認知ができず、外力や感染を予防するための行動、創治癒を促進するための積極的な行動をとらない過程をたどっていた。発生経験のない脊損者は、褥瘡に対して経験のないことから動機/決断フェーズの危険性の認知は、漠然とした恐れであった。しかしつくりたくないという認識はもっていた。またなんらかの社会的な参加やスポーツを全員が行っており心身の良好な状態の影響があると考えられた。
  • 宮﨑 啓子, 赤井澤 淳子, 高橋 純, 品田 ひとみ
    原稿種別: 原著
    2007 年 11 巻 2 号 p. 30-40
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル フリー
      オストメイトのQOL向上のために、ストーマ造設術前後のケアに関する説明・指導は重要な要因と考える。そこで、オストメイトが手術前後に受けたストーマケアに関する説明・指導における満足度、不満内容について調査、検討することで、患者満足度を向上する指導要因を見い出した。また看護師あるいはET/WOC看護認定看護師(現皮膚・排泄ケア認定看護師)の2群間で満足度に差があるか分析した。その結果、手術前、手術後、退院前、退院後外来を通じて、説明・指導への満足度は70%以上と高かった。不満内容に着眼すると手術前にストーマのある生活、装具、ストーマサイトマーキングについて十分な説明を受けなかったとの不満点があがり、手術後や退院前は、社会生活における情報、種々の装具紹介が不十分との不満点があげられた。ET/WOC看護認定看護師の説明・指導は看護師からのものよりも評価が有意に高く、特に手術後のオストメイトからの具体的質問に対する回答が評価されていた。しかし、一方で看護師・ET/WOC看護認定看護師ともに、忙しそうで話しかけられない、質問への的確な回答が得られないとの評価もあった。調査の結果から、ストーマケアの説明・指導には個別性をとらえた的確な対応が手術前から重要となり、説明・指導後にはオストメイトの理解度を確認しながら行うことが、満足度を高め、ストーマリハビリテーションを円滑に進める鍵となることが明らかとなった。
  • 祖父江 正代, 前川 厚子, 竹井 留美
    原稿種別: 原著
    2007 年 11 巻 2 号 p. 41-51
    発行日: 2007年
    公開日: 2023/01/26
    ジャーナル 認証あり
     【目的】ストーマ保有者の自己適応の過程とそのパターンを明らかにする。
     【対象と方法】対象者は術後3年未満の大腸がんによる結腸ストーマ保有者15名とする。Ostomate’s Self Adjustment Scale ver.2(以下、OSAS 23)を含む質問紙調査および①術前、術後、退院後に感じていたこと、②現在の心境などについて半構造化面接を行い量的・質的デザインで調査した。
     【結果】ストーマ保有者の自己適応の過程を表すデータから、10のカテゴリと1の概念が抽出された。【日常生活やストーマ局所管理に対する不安】,【日常生活やストーマ局所管理の経験と新たな生活パターンの取り入れ】,【ストーマを保有した状態での生活への自信】の段階で、自己適応パターンは異なり、便の漏れなどに対する不安が続き、生活への自信が生まれない場合には、生活を著しく制限して生活の再構築を図っていた。さらに、日常生活制限している群は、していない群にくらべてOSAS 23得点が有意に低かった。
     【結論】結腸ストーマ保有者の自己適応には、手術前後の不安やストーマ造設後の生活体験とその取り込み、前向きに考えようとする努力などの過程を経て自己適応していることが明らかとなった。また、自己適応として4つのパターンが抽出され、これまでの便の漏れ体験が影響して日常生活を制限している群は、していない群にくらべてOSAS 23得点が有意に低かった。
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