目的:ドライスキンは、皮膚バリア機能が低下し炎症性皮膚疾患を発症するリスクがある。ドライスキンの評価は、看護師の経験や知識に左右され、質の保たれたケアを提供するためには客観的な評価指標が求められるが、先行研究では高齢者の前腕での調査に留まっている。この研究では、皮膚表面形態のデジタル画像解析を用いて、成人の前腕と下腿における皮膚の乾燥の程度を反映する定量的指標を検討した。
方法:東京の1 施設で横断研究を実施し(2014 年6 月から2015 年3 月)、基本情報は質問紙にて取得した。前腕および下腿の皮膚の乾燥状態を静電容量で評価し、皮膚の表面形態はデジタル画像解析で測定した。静電容量と皮膚表面形態の相関をSpearmanの順位相関係数を用いて解析した。
結果:成人11人の左右の前腕および下腿それぞれ22部位を調査対象とした。前腕と比較し、下腿の皮溝の間隔は広く、平行度は低かった。下腿の皮溝の平行度の値は、先行研究で報告された高齢者の前腕における値に近かった。皮溝の平行度は、下肢の静電容量と負の相関があった(
rho = -0.48、
p = 0.025)。前腕ではいずれにも相関関係が認められなかった。
結論:デジタル画像解析による皮膚表面形態の評価が、成人の下腿のドライスキンの有効な評価指標であることが示唆され、スキンケアが必要なドライスキンをもつ患者の同定に寄与することが期待される。
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