本研究の目的は、スキン- テア発生患者の創の特徴と発生および治療に伴うアウトカムの実態を明らかにすることである。
スキン- テア発生から治癒、または退院までの前向き縦断調査を実施した。皮膚・排泄ケア認定看護師が在籍する25病院に入院中のスキン- テアを保有する患者を対象とした。調査項目はスキン- テアの発生状況、スキン- テア発生による患者の変化(疼痛・QOL)、アウトカム(治癒期間・医療コスト)である。
対象患者96 名の平均年齢は81.3(11.9)歳、発生部位は上肢が83.1%であった。スキン- テア発生時のSTAR 分類は2b が49.0%で最も多かった。スキン- テア発生時の疼痛はNumeric Rating Scale で平均1.9(2.1)であった。これは、高齢者は感覚的表現が困難なため、疼痛の評価が低かった可能性が考えられる。Euro-QOL-5D-5L を用いて算出した効用値は、スキン- テア発生時の平均が.42(.23)で、ほかの創傷の効用値とほぼ同等であった。
平均治癒期間は12.0(6.2)日、医療コストは平均3,052(3,240)円であった。創サイズの大きさに伴い医療コストが上昇した(p<.05)。創サイズの縮小率を算出した結果、STAR分類1bは2bと比較し縮小率が有意に高かった(p<.05)。皮弁を正常な位置に戻し、創を被覆できる1bは2bよりも皮弁の生着がよいと考えられる。
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