熱測定
Online ISSN : 1884-1899
Print ISSN : 0386-2615
ISSN-L : 0386-2615
31 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 山口 勉功
    2004 年 31 巻 3 号 p. 100-107
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    ZnTe化合物の熱含量を落下型熱量計を用いて,750~1600Kの温度範囲で測定した。
    熱含量-温度プロットからZnTe化合物の融点は1573±3K,融解熱は51.1±0.3kJ mol-1と決定された。得られた熱含量値にShomate関数を適用して,固体領域の熱含量ならびに比熱の温度依存性を決定した。ZnTe化合物の生成熱および溶融Zn-Te2元系の混合熱を高温双子型熱量計を用いて測定した。溶融Zn-Te2元系合金の混合エンタルピーは化合物組成付近に近づくにつれ負の大きな値を示し,融体中に化学的な短範囲規則性が存在することが予想される。得られたZn-Te2元系合金の熱力学および従来の状態図データにAssociated Solutionモデルを適応し,モデルのパラメータを導出した。決定されたモデルのパラメータを用いて算出された熱力学諸量および状態図は,実験結果を良く再現できる。
  • 亜鉛塩の沈殿生成反応とその熱分解反応を例として
    田中 春彦, 松田 善信, 古賀 信吉, 古川 義宏
    2004 年 31 巻 3 号 p. 108-116
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    教材開発を目的とした基礎的研究における熱分析の活用の事例として,塩基性亜鉛塩の関与する化学反応についての研究の概要を紹介した。このような基礎研究を基にして,種々の塩基性亜鉛塩の沈殿生成反応や熱分解反応を素材とした中等化学教育における探究的な実験教材の開発が可能であることを示した。教材開発のための基礎的研究に応用した塩基性亜鉛塩の熱分析は,高等教育における熱測定の教育における実験教材としても適用可能であることを提案した。
  • 古賀 邦正
    2004 年 31 巻 3 号 p. 117-124
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    微生物は多くの場合,固形物に付着して存在し,コロニー状に増殖する。液体培地での増殖と固体培地でのコロニー増殖では,微生物の増殖特性が相当違うことが知られている。液体培地に比べて固体培地では微生物が増殖に必要な栄養物の取得が難しいこと,微生物がコロニー状に集積しているためコロニー内部と外の環境が相当異なっており,その環境の違いが微生物の増殖と代謝に影響を及ぼすことなどがその違いの要因であろうと考えられている。
    食品の腐敗の予防,土壌微生物の挙動の把握,さらには生体への微生物の付着や感染メカニズムの把握などを知るには,固体培地での微生物の増殖挙動に関する情報が必要である。しかし,液体培地に比べて固体培地での増殖に関する情報はきわめて少ない。また,微生物の増殖を把握する方法として主に四つの方法があるが,そのいずれも固体培地で増殖する微生物の増殖を定量的に把握するのには適していない。
    本講座では,微生物熱量計を用いて固体培地での細菌の増殖に伴って発生する代謝熱の経時変化(g(t)カーブ)を測定し,そのg(t)カーブから得られるf(t)カーブがコロニー増殖する細菌の増殖曲線と対応していること,また,f(t)カーブを用いると細菌数が急激に増殖する対数増殖期の把握が可能であること,その時期はコロニーがまだ観察されないきわめて増殖初期の時期であること,などについて紹介し,そのことはどういう意義があるかを述べる。また,微生物用熱量計を用いて得た結果を速度論的に解析することによって,固形食品の腐敗などの複雑な現象が定量的に評価可能であること,微生物のコロニー増殖を抑制する静菌剤の効果を定量的に評価可能であることなどを述べ,微生物熱量計の有用性を紹介する。
  • 小澤 丈夫
    2004 年 31 巻 3 号 p. 125-132
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    “一般化時間”と“一般化速度”の概念を用い,単一素過程の基本的関係式を導いた。これらの概念は,単一の素過程のみが関与している反応を記述するのに有用であり,これらの有用な関係を利用することにより速度論解析のための積分法と微分法の等変化率法が導かれ,その応用がいくつかの例を用いて説明されている。これらの速度論解析法と本文中の他の記述は,拡散や熱刺激電流のような単一素過程の物理変化にも応用できる。
  • 水素原子核の波動性と結晶の物性
    松尾 隆祐
    2004 年 31 巻 3 号 p. 133-145
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    原子核の運動の量子論的性質がもたらす構造と物性を主として筆者の研究にもとづいてレビューする。始めに調和振動子と自由回転子の量子力学による記述法を述べ,次にトンネル状態が核の波動性の表れであることを示す。そのような状態を表現する用語として「陽子雲」を導入する。ブロモヒドロキシフェナレノン結晶の重水素誘起相転移が水素結合上の陽子トンネル運動に由来することを,熱容量測定と遠赤外吸収スペクトルの実験にもとづいて論じ,トンネル準位をもたらす2極小ポテンシャルを実験データから導く。その結果が構造解析とよく対応することを示す。
    次に酸性硫酸(セレン酸)アルカリ塩結晶の重水素誘起相転移を熱測定と中性子回折の実験にしたがって論じ,極低温における構造が基底トンネル準位の陽子波動関数を反映すると解されることを示す。最も顕著な重水素効果を示す結晶として亜クロム酸の同位体誘起相転移について述べる。ヘキサクロロ金属酸アンモニウム結晶においては,トンネル回転準位の関係する重水素効果が現われる。熱測定と中性子回折によって,これらの結晶の基底状態において水素核が直径0.8オングストロームの円環状をなすことを示す。最後に核の波動性と,化学反応におけるトンネル効果及びプロトン分極率の関連に触れる。
  • 長野 八久
    2004 年 31 巻 3 号 p. 146-150
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
    大気圧の認識から標準状態圧力(SSP)の成立にいたる歴史が解説される。もともとSSPは1気圧と定義されていたが,1981年にIUPACは新しいSSPとして100kPaを推奨した。しかし,気圧という単位の元になった標準大気圧は,単なる圧力単位標準ではなく,大気圧の認識と物質の通常沸点に関わる歴史的概念である。このために,化学においてさえ今日に至るまでIUPACの推奨値は完全には受け入れられていない。
  • 有井 忠, 岸 證
    2004 年 31 巻 3 号 p. 151-152
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
  • Luc Benoist, Lionel Rousseau, Christine Dalmazzone, Benjamin Herzhaft
    2004 年 31 巻 3 号 p. 153
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
  • 入舩 徹男, 一色 麻衣子
    2004 年 31 巻 3 号 p. 154-155
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 31 巻 3 号 p. 155
    発行日: 2004/06/30
    公開日: 2009/09/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top