1)水稲乾田直播栽培の場合,出芽率はDS強鎮圧区が最も高くなるが,収量は全ての試験区で有意差を出現しなかった.コムギ栽培の場合,2008年から2010年の3年間の収量はDS弱鎮圧区がいずれの年度で最も高い.ダイズ栽培の場合,2009と2010年での出芽率と収量は,DS弱鎮圧区とDS強鎮圧区の比較で有意差を出現しなかった.
2)水稲乾田直播,コムギ,ダイズの栽培において,深さ0∼5cm層の土壌体積含水率はいずれもDS強鎮圧区が最も高く,次いでDS弱鎮圧区,DS無鎮圧区の順番となり,播種層鎮圧の強さの順番と一致した.
3)イネ,コムギ,ダイズの出芽率と土壌体積含水率の関係は,いずれの作物とも土壌体積含水率16%付近で出芽率を最も高くする予測となった.水稲乾田直播栽培において,DS強鎮圧は出芽率を高くする.コムギ栽培における播種層の土壌体積含水率は,14∼26%の範囲になるため,土壌体積含水率が16%よりも低ければ鎮圧を強くし,高ければ弱くする判断が必要となる.2010年と2011年での調査結果より,ダイズ栽培も,土壌水分に合わせて播種層の鎮圧の強弱判断をする必要がある.
4)小明渠浅耕鎮圧播種の鎮圧は,深さ約6∼8cmまで土壌をち密にし,毛細管現象により土壌水分を高くすることが,土壌硬度の調査から明らかになった.播種層の鎮圧は実施してから約3ヶ月後まで土壌水分を高くする効果を保持する.
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