農作業研究
Online ISSN : 1883-2261
Print ISSN : 0389-1763
ISSN-L : 0389-1763
51 巻, 1 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究論文
  • 谷尾 昌彦, 建石 邦夫, 中園 江, 渡邊 和洋
    2016 年51 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
    日本温暖地における小麦の節間伸長開始期の指標を開発するため,東海地域において春播性および秋播性の計5 品種の茎頂発育ステージ,茎長および偽茎長( 地面から最上位展開葉の葉節までの長さ) の関係を解析した.茎頂発育の経時推移は品種によって異なり,早播栽培において秋播性品種は春播性品種に比べて二重隆起形成期( 栄養生長から生殖生長への転換期) およびその後の小花分化期が遅かった.茎頂発育ステージは茎長および偽茎長と密接に関係し,すべての品種において,節間伸長開始は小花分化期に起こり,その時の偽茎長は約5 cm であった.したがって,日本温暖地の小麦栽培において,偽茎長は節間伸長開始期の指標として有用であると考えられた.
研究報文
  • 清水 佑, 松永 邦則, 浦上 敦子, 柘植 一希, 山口 貴之, 元木 悟
    2016 年51 巻1 号 p. 11-22
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
    著者らは,アスパラガスの定植において,セル成型苗からポット苗への鉢上げせずに,セル成型苗を直接圃場に定植する新たなホーラーを開発した.アスパラガスの伏せ込み促成栽培において,そのホーラーを用いてセル成型苗のまま直接圃場に定植する新規法と,慣行のホーラーを用いてポット苗を定植する慣行法とを比較し,定植作業の改善効果とアスパラガスの収量の指標となる株養成量を調査した.その結果,新規法は,慣行法に比べて,初心者,習熟者ともに,アスパラガスの定植作業時間が有意に短縮された.OWAS法を用いた作業姿勢の評価では,AC(アクションカテゴリー)の発生回数および発生割合の結果から,習熟者においては,新規法が慣行法に比べてアスパラガスの定植作業姿勢を改善できた.一方,初心者においては,ACの発生割合で定植作業姿勢の改善効果が見られなかったものの,ACの発生回数では改善効果が見られた.アスパラガスの定植作業時間が短縮されたことを考慮すると,初心者においても,新規法が慣行法に比べて作業負担は低いものと考えられる.また,株養成量では,新規法は,慣行法に比べて,育苗日数が短く,小さなセル成型苗を定植したにも関わらず,新規法と慣行法との間に有意差がなかったことから,ポット苗を定植する慣行法と同等の収量が得られるものと考えられた.
  • 畠中 洸, 岡部 繭子, 春日 重光
    2016 年51 巻1 号 p. 23-30
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル フリー
    長野県の高冷地に位置する野辺山地域では葉物野菜の連作障害が問題となっており,耕種的対策が課題である.本試験では連作障害回避を目的としたソルガムの緑肥利用におけるすき込み適期について,作業性,ソルガムの乾物収量,すき込み後の分解程度および後作のキャベツの栽培・収量性の観点から検討した.すき込み時の作業性は播種後46日目にすき込んだ区(46日区)に比べ,78日目にすき込んだ区(78日区)および122日目にすき込んだ区(122日区)が大きく劣り,さらに,翌年のキャベツ栽培におけるマルチ敷設時の作業性は122日区が他の試験区より劣った.ソルガムの乾物収量は78日区および122日区が同程度であったが,すき込み後の分解は122日区が他の試験区より大きく遅れた.これは122日区のソルガムの乾物率が他の試験区より有意に高かったことが要因の一つと推察された.後作のキャベツの収量では46日区が全作期において最も多収を示した.78日区は品種「信州868」を使用した作期では生育遅延が認められたものの平均結球重は出荷の基準重量に達した.しかし品種「輝吉」を使用した作期では減収した.122日区は全ての作期で基準重量に達しなかった.以上の結果から,高冷地における緑肥用ソルガムの播種後78日目および122日目のすき込みは,作業性,キャベツの収量性の両面から46日目のすき込みに劣ることが明らかとなった.
資料
feedback
Top