夏作カバークロップとしてイネ科やマメ科の作物が単独に用いられる場面が多いが,これらの混作による効果はほとんど検討されていない.本研究は茨城大学農学部附属フィールドサイエンス教育研究センター内圃場において,夏作カバークロップの混作を行いバイオマス生産と窒素溶脱への効果の比較を行った.試験区はギニアグラス(
Panicum maximum Jacq. 品種:ナツカゼ)とクロタラリア・スペクタビリス(
Crotalaria spectabilis Roth. 品種:ネマクリーン)をそれぞれの慣行の播種量を100 として,ギニアグラス:クロタラリアの比率を変え設計を行った.処理区は「100:0(ギニアグラス単作区)」・「75:25」・「50:50」・「25:75」・「0:100(クロタラリア単作区)」・「0:0(裸地区)」の6 処理を3 反復とし乱塊法により設置した.2016 年はカバークロップの地上部バイオマスやC / N 比,地上部炭素含有量はギニアグラス単作区で最も高くなり,混作ではやや低下した.2017 年ではカバークロップの地上部バイオマスはギニアグラス単作区と混作区の75:25 区は同等でありC / N 比は単作区より混作で低下することが認められた.また土壌硝酸態窒素濃度において,両年ともにカバークロップの作付により有意な減少が認められた.2年間の結果から,夏作カバークロップの混作により単作に比べて同等の圃場に還元できるバイオマス生産量を確保し,かつC / N 比を低減させて,良質な有機物供給が可能であることが明らかとなった.
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