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島津 美沙, 山本 ゆき, 鈴木 玲美, 村上 周一郎, 元木 悟2023 年 58 巻 1 号 p. 1-12
発行日: 2023/03/20
公開日: 2023/09/20
ジャーナル フリーミニトマトは，需要が増えているものの，栽培では，作業量が大玉トマトに比べて多く，省力化が求められている．近年，省力栽培が可能な露地夏秋どりミニトマトのネット誘引無整枝栽培（ソバージュ栽培）が開発され，全国に普及しつつある．ソバージュ栽培は，慣行に比べて収穫以外の作業時間の短縮や低コスト化などが見込めるものの，栽培終了後にネットから植物体（残渣）をはがす作業は重労働であり，多大な時間を要する．生分解性ネットは，土壌に埋設すると，有機物として植物体とともに分解されるため，植物体と分離して処分する手間が省けることから，作業効率の向上が期待できる．そこで本研究では，生分解性ネットを用いたときのソバージュ栽培における解体作業を作業時間とアクションカテゴリーから評価するとともに，生分解性ネットの特性を調べることにより有用性を評価した．その結果，生分解性ネットを用いることにより，ソバージュ栽培の解体作業時間を短縮することができた．生分解性ネットは，植物体とともに埋設処分することが可能であるため，生分解性ネットをソバージュ栽培へ取り入れることにより，解体作業の省力および軽作業化にもつながることが示された．
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野見山 綾介, 岡崎 泰裕, 松尾 直樹, 中野 恵子, 渡邊 修一, 深見 公一郎, 高橋 仁康2023 年 58 巻 1 号 p. 13-22
発行日: 2023/03/20
公開日: 2023/09/20
ジャーナル フリー本研究では作業可否決定条件としての降水基準（作業可能降水量）に関する今後の基準値のあり方について提言するため，稲麦大豆2年4作の大規模水田作経営（2020年夏作時点で総面積63.9 ha，計240筆）を事例に取り上げ，IoT気象センサやGPSロガー等で取得した降水量と作業履歴との関係を通年的に整理し，農林水産省によって公表された作業可能降水量の基準値（以下，農水省基準）との比較を通じて考察をおこなった．その結果，水稲作の施肥，耕起，代掻き，移植，病害虫防除，ならびにすべての作目の雑草防除と畦畔除草については基準値を超過した降水量のもとで実施可能と整理された．その理由として，降水リスクに備えた作業体系上の工夫，農水省基準の公表以後に普及した作業機やスマート農機の利用，降水の影響を受けにくい薬剤の普及など，各方面で栽培技術が向上したことを指摘できる．一方，収穫の作業可能降水量は水稲，大豆，麦の三作目とも基準値を下回ると整理された．収穫物の品質保持や共乾施設利用料の低減といった経営的な判断も，降水リスクへの対応に影響を及ぼすと考えられる．以上より，農水省基準については利便性向上のため，近年の状況に見合った数値への更新や，当日の降水量については作業前や作業中など区分の細分化が望まれる．さらに作業体系，作業機械の特性，土壌の特徴などを判断要素に加えることでより精度の高い基準値を設定できよう．
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オンファーム実験としての考察竹下 正哲, 久保 昌宏, 大野 和則, 五味 智治, 宇郷 将道, 益満 ひろみ, 後藤 元, 冨田 真宏, 金丸 洋一2023 年 58 巻 1 号 p. 23-34
発行日: 2023/03/20
公開日: 2023/09/20
ジャーナル フリー近年タマネギ直播栽培が北海道を中心に広まりつつある．直播には育苗の時間とコストを節約できるというメリットがあるが，移植栽培にない難しさがある．発芽率がよくないこと，移植栽培よりも雑草のコントロールが難しいこと，除草剤の被害を受けやすいことの3つである．これらの解決のためには，直播タマネギの初期成長を促進することが重要となる．本研究では，北海道の商業農地において2021年，衛星画像解析と連動した点滴灌漑（ドリップ・ファーティゲイション）を導入することにより，初期成長を促進させ，収量を向上させることができるかを検証した（オンファーム実験）．結果は，発芽率については，慣行区の75％に対し，点滴灌漑区は95％と向上した．葉長比較より点滴灌漑が初期成長を早めることを確認でき，最終的な収量も，慣行区の1.8倍となった．窒素肥料を16％減らすことができ，大玉比率も向上した．また蒸発散量を推定し，灌水量を決めるにあたって，衛星画像解析が有効であることも確認された．これらより，タマネギ直播栽培において，衛星画像解析＋点滴灌漑が有効な手段になり得ると考えられた．
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