秋田県由利本荘地域の在来作物であるカナカブは,主に焼畑で栽培されており,生産量を増加するため作業の省力軽労化が望まれている.本報では,粗耕起に歩行管理機を用いた新作業技術を提案し,その効果を生産現地で実証した.試験ほ場は,標高差が 10 m, 平均斜度が 14.0° であった.作業能率は,鍬を用いた慣行区が47 h/10a, 歩行管理機を用いた機械化区が 6 h/10a となり,省力化率が87%であった.生育と収量は,機械化区が慣行区と比較して発芽本数は 36本/m
2 増加したが,栽植密度の増加から一本当たりの根重が低下して収量が28%,可販化率が37%減少した.使用した歩行管理機の作業特性は,走行部がクローラ式の管理機2とホイール式の管理機1と比較し,管理機 2が車輪の接地面長さが長く重量転移が少ないため,重心が安定して 30° 以内までの傾斜地で作業可能であることが示唆された.労働負担は,機械化区の作業負担度が慣行区から 92%削減され,平地での作業以上に労働負担の軽減効果が大きかった.作業姿勢は機械化区で改善が不要とされる AC1 が 100%の発生率となり,慣行区で改善が必要と判定された作業姿勢が全て解消された.実証した新作業技術について生産者は,平地での歩行管理機と同様に使用可能で作業が楽になると評価したが,作業の安全性を考慮して新作業技術と慣行作業技術を併用した作業法の提案が必要である.
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