農作業研究
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46 巻, 1 号
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研究論文
  • 杉下 悠, 山下 淳
    2011 年46 巻1 号 p. 3-13
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    本研究は,操作性に優れ,かつ身体負担が小さく,さらに作業能率に優れたエンジンチェンソーの開発を目的とした.先ず,その手始めとして剪定・枝払い作業に用いる小型軽量(排気量18.3ml, 最大出力0.65kW, 全装備質量2.5kg)チェンソーを開発した(A機).この設計に当たっては,エンジン単体の軽量化,機械の構造,部品配置も考慮した.その結果,標準装備の既存のB機に比して全装備質量で約500g軽量化できた.製品化に当たっては,モニター機調査や鋸断時間等について調査し,B機に比して遜色ない性能を有することを確かめた.また,小型軽量の効果を明らかにするため,スギ材を用いて作業高さ100, 150cmと2段階においてA機の枝払い性能を詳細に調べた.被験者の局所的負担として表面筋電図を測定した結果,A機はB機に比して上肢各筋群にかかる負担が軽減できることが示された.作業能率に関しては,機体質量,被験者毎の作業動作および作業姿勢や,エンジン性能が関与することが実験的に検証できた.また,全身的負担として酸素摂取量を測定した結果,150cm程度の作業高さになると機体質量小のA機の軽量化の効果が高くなると考えられた.
  • 杉本 光穗, 深見 公一郎, 今園 支和, 井上 英二
    2011 年46 巻1 号 p. 15-25
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    1) 20kW級のトラクタに装着しサトイモの畝溝を走行しながら培土作業を行うトラクタ直装型培土機を開発し,培土作業の省力化を図った.
    2)培土機は溝掘ロータリ成形機をベースとして,ロータリづめの形状と配置,ロータリカバー,分草桿の開発改良を行った.
    3)土壌含水比52.3%および57.7%の圃場を22kWのトラクタで作業速度0.20m/s, ロータリ回転数316rpmの条件で培土作業した場合,理論作業量は0.16ha/hであった.
    4)培土機の耕深と培土高さの関係は,土壌含水比35~59%かつ耕深51~166mmで培土高さは34~170mmと直線的に変化し相関係数0.95であった.また,ベース機と比較して約2倍の培土高さを得ることができた.
    5)培土高さ100mmを得るためには変化量を考慮し耕深149mmが必要であったが,培土機で十分対応でき所期の目標を達成した.
    6)新栽植様式による栽培の収量は慣行栽培より少なく無培土栽培と同等であった.しかし,市場の需要が高いMサイズ以上のいもや丸いもの重量割合が無培土栽培より高く,慣行栽培と同等であった.
    7)乗用トラクタでの追肥・培土作業が可能となり担い手の高齢化への対応した軽労化作業の見通しを得た.
  • 国本 佳範, 廣野 公志, 平 浩一郎, 谷川 元一
    2011 年46 巻1 号 p. 27-33
    発行日: 2011/03/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    両端を螺旋杭に固定した高張力プラスチック線に下垂させた防虫ネットを,鉄パイプで持ち上げ,ネット下端を鉄パイプに固定することで,簡単に,安い経費で脚立などを使わずに設置できる簡易なドリフト防止障壁(簡易型障壁)を開発した.6名の被験者によりそのドリフト防止効果,設置作業時間について,露地ナスの防風ネットで利用されている設置法(従来型障壁)と比較した.併せて,資材経費を算出した.
    1. 簡易型障壁の20mあたりの設置作業時間は607秒で,従来型障壁の938秒に比べ有意に短くなった.また,撤去時間も短くなった.
    2. 設置・撤去作業中の心拍数は,両障壁間で有意差はなかった.
    3. ドリフト防止効果は両障壁で有意差はなかった.
    4. 資材経費は20mあたり,従来型障壁が17,320円であったが,簡易型障壁は12,912円と25%程度低くなった.
    5. 簡易型障壁設置時に,ネットを固定する器具の強度が弱い,高張力プラスチック線が巻き取りにくい等の問題点があった.
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