日本血管外科学会雑誌
Online ISSN : 1881-767X
Print ISSN : 0918-6778
24 巻, 6 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
原著
  • 丸田 一人, 青木 淳, 尾本 正, 飯塚 弘文, 川浦 洋征
    2015 年 24 巻 6 号 p. 861-865
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:【目的】腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)後には,頻繁に高熱や炎症反応の上昇を認める.われわれはEVAR 術後の炎症に対するステロイドの有用性を検討した.【方法】2009 年8月より2014 年8 月まで当院で腹部大動脈瘤に対して待期的に施行したEVAR 90 例を対象とし,メチルプレドニゾロン1000 mg を麻酔導入時に投与したS 群と,投与しなかったC 群に分けて,患者背景(年齢,性別,瘤径,手術時間)と経過(白血球数,CRP,体温)および食事摂取量について比較検討した.【結果】年齢,性別,瘤径,手術時間に有意な差はなく,全例で術後感染症は認めなかった.白血球数はいずれの時期でも有意な差は認めなかったが,CRP は第1,3,5 病日で有意にS 群が低値であった.体温も第1,2,3 病日で有意にS 群が低くかった.【結論】ステロイドの使用は術後感染症を生じることなく使用しなかった群と比較して術後の早期炎症を抑制することができた.
症例
  • 林 奈宜, 古川 浩二郎, 諸隈 宏之, 伊藤 学, 蒲原 啓司, 森田 茂樹
    2015 年 24 巻 6 号 p. 867-870
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:外傷性膝窩動脈損傷は稀な病態であるが,迅速かつ適切な治療を行わなければ下肢切断に至る可能性が高い.今回われわれは2 例の外傷性膝窩動脈損傷を経験し,救肢し得た.症例1 は55 歳男性,側溝に転落し受傷した.左膝窩部に12 cm 長の切創があり,末梢冷感を認め,足背動脈は触知不可能であった.CT で膝窩動脈の完全閉塞を認めた.症例2 は53 歳男性,交通事故で受傷した.右足下腿の腫脹を認め,蒼白であり足背動脈の触知不良であった.CT にて膝窩動脈の完全閉塞を認め,脛腓骨の骨折も認めた.2 例とも仰臥位で大伏在静脈を採取後,腹臥位とし,後方アプローチで大伏在静脈を用いた血行再建を行った.症例1 は完全断裂であり,受傷から約7 時間,症例2 は動脈解離に伴う閉塞であり,約10 時間で血流再開した.2 例とも術後の下肢血流は改善した.膝窩動脈損傷に対して,仰臥位にて大伏在静脈を採取後,後方アプローチでの血行再建が有用であった.
  • 山本 剛, 大谷 悟, 錦 みちる, 山田 有紀, 松本 泰一郎
    2015 年 24 巻 6 号 p. 871-874
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:症例は67 歳男性.50 歳時に両下肢血流障害の精査で発症時期不明の偽腔開存型B 型大動脈解離および腹部大動脈-両側腸骨動脈閉塞を認めた.primary entry は遠位弓部にあり上腸間膜動脈・右腎動脈は真腔,左腎動脈は偽腔から灌流され,腹腔動脈は起始部で閉塞し,真腔・偽腔とも腎動脈が終末枝であった.下肢血流障害に対して右腋窩動脈-両側大腿動脈人工血管バイパス術を施行.術後17 年目のCTで遠位弓部の偽腔拡大と下行大動脈の偽腔に囊状瘤を認め,ステントグラフトでprimary entry 閉鎖を行う方針とした.アクセスルートは腋窩動脈で,18Fr シースで留置可能なAorta Extender を選択.全身麻酔下に左腋窩動脈からシースを挿入,Aorta Extender を4 本積み上げてprimary entry 閉鎖を行った.術後造影CT では偽腔内に造影剤の流入を認めず.術後28 日目に独歩退院となった.
  • 鈴木 伸章, 伊東 和雄, 福井 康三
    2015 年 24 巻 6 号 p. 875-878
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:症例は62 歳男性,20 年前に腹部大動脈瘤に対し人工血管置換術を施行された.人工血管の中枢側は腹部大動脈に,人工血管の左脚は左総腸骨動脈にそれぞれ端々で吻合され,右総腸骨動脈は閉鎖されており,右総大腿動脈に人工血管の右脚が端側で吻合されていた.外傷の既往はなく,自覚症状もなかった.2 年前から人工血管右脚の非吻合部に仮性瘤を生じ,拡大傾向にあるため人工血管置換術を施行した.まれではあるが,鼠径部などの可動領域に人工血管が留置され,術後,長期間が経過した症例では非吻合部でも仮性瘤を形成することがあり,注意を要する.
  • 石井 廣人, 中村 都英, 長濱 博幸, 松山 正和, 遠藤 穣治, 西村 征憲
    2015 年 24 巻 6 号 p. 879-882
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:症例は78 歳,男性.意識障害・腹痛で発症し,当院搬送後に造影CT にて破裂性腹部大動脈瘤の診断となり緊急でステントグラフト内挿術(EVAR)を施行した.術中に腹腔内への再破裂を呈したが急速輸液と大動脈閉塞バルーンの使用で重篤なショック状態は回避できた.EVAR 後,腹部コンパートメント症候群を呈していたため速やかに開腹して減圧を行った.また最終造影ではエンドリークを認めなかったが腹腔内の持続的出血を認め根治的止血は困難であったためガーゼパッキングを施行して一時閉腹を行った.術後2 日目にガーゼ除去および閉腹術を施行した.その際に後腹膜の穿破部の止血も確認できた.術後は管理に難渋したが,ほぼ術前のADL まで回復し術後96 日目に近医へリハビリ転院となった.術中に腹腔内穿破を認めた破裂性腹部大動脈瘤に対してEVAR およびダメージコントロールサージェリーを施行し良好な結果を得たので報告する.
  • 山尾 順, 駒井 宏好
    2015 年 24 巻 6 号 p. 883-886
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:一般に上肢の急性動脈閉塞による手指の壊死はまれだが,閉塞後に虚血が残存し壊死が進行する例がある.症例は73 歳男性.既往症に脳梗塞,心房細動があった.自宅で倒れているところを発見され,近医へ脳梗塞の診断にて入院となった.左第1,2 指に広範囲な組織壊死を認め,近医にて壊死部の切断術とデブリドマンが行われた.皮膚欠損部に対しては皮膚移植が行われたが,植皮片は生着せず壊死が進行したため,血行再建目的に当科へ転院となった.血管造影検査では左上腕動脈の途絶を認めた.手掌部でのSPP は42 mmHg であった.心房細動由来の塞栓が原因の上肢虚血と転倒での左上肢の物理的圧迫による壊死と診断した.手術は上腕-尺骨動脈バイパス術と壊死部のデブリドマンを行った.術後約5カ月後には良好な肉芽形成と上皮化が得られた.重症の上肢虚血は下肢に比してまれだが適応を考慮すれば大切断を回避できると考えられた.
  • 吉良 浩勝, 浅田 秀典, 片岡 剛, 白神 幸太郎
    2015 年 24 巻 6 号 p. 887-891
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:抗リン脂質抗体症候群は動静脈の両方に血栓症を引き起こし,全身性エリテマトーデスは時に血管炎を来たす.両者はしばしば合併するが,四肢が虚血壊死に至ることは稀である.症例は全身性エリテマトーデスでステロイド治療中であった60 歳女性.両側足趾の疼痛と色調不良が出現し,当科外来で抗血小板剤を開始したが,その後急速に左前足部全体と右第1,3,4 趾に虚血壊死が進行した.検査結果より抗リン脂質抗体症候群の合併を確認.下肢動脈造影で両側の前脛骨,後脛骨,足背動脈の閉塞を認め,右足部は腓骨動脈から足底動脈への交通枝によって灌流は維持されていたが,左足部は側副枝が細く著明な虚血状態であった.手術は左膝下膝窩動脈-後脛骨動脈バイパスと,同時に左全中足骨切断,右第1,3,4 趾切断を施行した.術後経過は良好で,術後2 年が経過してグラフトは開存し,下肢虚血症状の再燃を認めない.
  • 山尾 順, 駒井 宏好
    2015 年 24 巻 6 号 p. 893-897
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:症例は60 歳男性.右足部広範囲皮膚潰瘍を主訴に近医を受診した.未治療の糖尿病により発症した足壊疽の診断で,抗菌薬投与とデブリドメントが繰り返されたが,病変増悪のため当科へ紹介された.糖尿性足病変には通常保存的な創の治療が行われるが,感染の完全制御が第一であり,軽度の虚血を合併する場合にはバイパス術が有効なこともある.今回,SPP 47 mmHg と局所循環動態からは治癒能力ありと考えられた難治性糖尿病性足病変に対して,感染処置を十分に行うことに加え,下腿バイパス術を行い救肢しえたので報告する.
  • 中村 政宏, 工藤 敏文, 落合 高徳, 児玉 真, 明石 巧, 井上 芳徳
    2015 年 24 巻 6 号 p. 899-903
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:肝動脈瘤は比較的まれであり,後腹膜や胆道への出血を契機に見つかることが多い.近年,仮性動脈瘤からの胆道出血や肝内肝内肝動脈からの出血に関する報告が散見される.しかし総肝動脈の真性瘤が総胆管へ直接穿破した症例の報告は乏しく,本邦での治療報告はみられない.今回われわれは,吐下血を主訴とした59 歳,男性で固有肝動脈まで進展した総肝動脈瘤が総胆管に穿破した症例を経験した.総肝動脈から固有肝動脈にかけて最大短径3 cm の動脈瘤を認め,瘤から左右肝動脈,胃十二指腸動脈が分枝していた.肝動脈血流を保つために動脈瘤切除に加え右肝動脈再建術を行った.肝動脈瘤と総胆管の癒着が強かったため総胆管切除および胆道再建術も施行した.術後経過は良好であった.肝動脈瘤の治療に際しては,固有肝動脈へ進展を認める場合には血行再建を行う必要があり,本症例は血行再建に加えて胆道再建も要した極めてまれな病態であったため報告する.
  • 綿貫 博隆, 磯部 文隆, 二村 泰弘, 村山 公, 石橋 宏之
    2015 年 24 巻 6 号 p. 905-909
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:巨細胞性動脈炎(Giant cell artiritis; GCA)は50 歳以上に発症する中・大型動脈の動脈炎を主徴とする疾患で,胸部大動脈瘤や大動脈解離との関連も報告されている.今回,急性A 型大動脈解離術後に組織所見からGCA と診断した症例を経験したので報告する.症例は65 歳,男性,急性A 型大動脈解離に対して緊急で上行全弓部大動脈置換術を施行した.術後,炎症所見と微熱の遷延を認め,抗生剤投与で経過観察していたが,術後10 病日に病理報告で上行弓部大動脈,腕頭動脈に多核巨細胞浸潤が多数認められGCA と診断した.ステロイド投与で炎症所見は改善,術後47 病日に軽快退院となった.術後CTで腕頭動脈吻合部に解離腔が残存して,真腔狭小化を認めたが,症状が無く,解離急性期であるため経過観察していたが,半年後のCT で動脈瘤の拡大と真腔の高度狭窄を認め,右総頸動脈からステントグラフトを挿入し良好な結果を得た.
  • 三森 義崇, 伊從 敬二, 奥脇 英人, 有泉 憲史, 橋本 良一
    2015 年 24 巻 6 号 p. 911-914
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:人工血管周囲に発生するSeroma は,以前より知られた合併症であるが,広範な発症は稀である.症例は77 歳男性.閉塞性動脈硬化症に対して,右腋窩-右総大腿動脈バイパス,グラフト-右遠位膝窩動脈バイパスをePTFE 人工血管を使用して行った.術後2 カ月後に右腋窩-大腿動脈の人工血管に沿って広範なSeroma を認めた.穿刺排液で改善しないためDacron 人工血管に再置換した.術後は約1 年8 カ月後に癌死するまで,Seroma 再発や下肢虚血症状の増悪を認めなかった.病理組織学検査では,人工血管表面の繊維芽細胞の発達が悪く,線維結合組織は薄かった.何らかの原因でこの層に亀裂が生じ,Seromaが拡大した可能性が考えられた.Seroma の原因や治療方針は不明な点が多いが,別の素材の人工血管に置換すると治癒率が高いと報告されており,本例もこの方法が有効であった.
  • 片岡 剛, 白神 幸太郎, 浅田 秀典, 吉良 浩勝
    2015 年 24 巻 6 号 p. 915-919
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:鈍的胸部外傷による動脈損傷は大動脈に多く,弓部分枝に生じることは少ない.またその治療方針は状況によってさまざまである.症例は左肺全摘後の68 歳男性.交通外傷で救急搬送され,CT で胸骨骨折,腕頭動脈限局解離,縦隔血腫,右肺挫傷を認めたが,造影剤の血管外への漏出がなく,全身状態が安定していたため初期治療として保存的降圧療法を選択した.第6 病日にD-dimer の再上昇を認めたため,緊急CT と血管造影を行ったところ,腕頭動脈および右鎖骨下動脈に仮性瘤を認めた.破裂の危険を考慮して,緊急で上行大動脈から右総頸動脈と右腋窩動脈への2 本のバイパス術と仮性瘤結紮術を施行し,その後軽快退院した.外傷性胸部動脈損傷の初期治療は患者の全身状態を考慮して選択されるべきであり,保存治療を選択した場合,頻回のCT 検査と採血検査を含めた緻密な経過観察を行い,急な変化が生じた場合,迅速に必要な加療を進める必要がある.
  • 鈴木 佑輔, 小ヶ口 恭介, 坂元 和宏, 岩間 憲行, 関野 美仁, 並木 健二
    2015 年 24 巻 6 号 p. 921-925
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:症例は69 歳女性.高血圧,高脂血症にて内服加療中.2 年前より両下肢の疼痛,蒼白を認め近医で加療されていた.右下肢の症状が増悪し当科受診.両下肢の疼痛,蒼白,右下肢の知覚異常,軽度の運動麻痺,右第4,5 趾間部に潰瘍を認めた.造影CT では右下肢は膝窩動脈以下の閉塞と左下肢は後脛骨動脈近位と前脛骨動脈遠位に狭窄を認め,また胸部下行大動脈の不整像を認め,胸部大動脈血栓症が疑われた.右下肢急性動脈閉塞の診断にて塞栓除去術を施行した.その後抗凝固療法中にも関わらず右下肢の微小塞栓症を繰り返したため,胸部大動脈血栓症に対し下行大動脈人工血管置換術を施行した.病理組織学検査で大動脈内膜肉腫の診断だった.本症例では内膜肉腫の一部が塞栓子となり下肢急性動脈閉塞を発症したと考えられた.
  • 小澤 優道, 濱本 正樹, 小林 平, 児玉 裕司
    2015 年 24 巻 6 号 p. 927-931
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/05
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:82 歳男性.2001 年腹部大動脈瘤に対してDacron 製Y 型人工血管置換術を受けた.2014 年腹痛が出現し,CT にて人工血管からの造影剤漏出と仮性動脈瘤を認めた.大動脈造影では人工血管の胴体2 カ所と分岐部直後の両脚に造影剤漏出点を認め,後者は内外腸骨動脈再建時の人工血管吻合部に近く吻合部破綻の可能性が否定できなかったが,前者は非吻合部であり人工血管破綻による非吻合部仮性動脈瘤と診断した.Zenith のイリアックプラグとコンバーターを使用したEVAR と大腿-大腿動脈交叉バイパスを施行し,腹痛は消失した.術後CT にて少量のエンドリークを認めているが,瘤の拡大はなく,術後11カ月現在経過観察中である.EVAR は腹部大動脈人工血管置換術後の稀な合併症である非吻合部仮性動脈瘤に対して有用な治療法であり,通常のEVAR が施行困難でも補助デバイスを使用して施行可能であった.
  • 岩佐 憲臣, 山岡 輝年, 森崎 浩一, 大峰 高広
    2015 年 24 巻 6 号 p. 933-937
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/10/23
    [早期公開] 公開日: 2015/10/07
    ジャーナル オープンアクセス
    要旨:SMA 塞栓に伴う急性腸間膜虚血は早期診断と早期治療が重要である極めて予後不良な疾患である.診断の遅れた心原性SMA 塞栓症に対し経皮的血栓溶解療法にて治療し得た症例を経験したため報告する.症例は83 歳女性.突然の腹痛,嘔吐出現.近医でイレウスの診断で入院し発症より36 時間経過後のCT でSMA 塞栓症の診断となり当科緊急紹介となった.心電図はAf 波形であった.CT 上明らかな腸管壊死所見はみとめず抗凝固療法を開始,翌日(発症3 日目)のCT でも腸管壊死進展を疑う所見なく腸管のviability は保たれていると判断し経皮的SMA 選択的持続血栓溶解療法を施行.治療開始2 日後には血栓は溶解し,臨床症状は著明に改善した.Golden time を過ぎたSMA 塞栓症においても臨床経過および腸管のviability を慎重に判断すれば低侵襲の経皮的血行再建にて再灌流障害なく症状緩和を期待できると考えられた.
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