2017年に日本で行われた血管外科手術について,日本血管外科学会データベース管理運営委員会が集計結果を解析し,アニュアルレポートとして報告する.【方法】NCDの血管外科手術データに基づき,全国における血管外科手術動向およびその短期成績(術死,在院死亡)を解析した.【結果】2017年にNCDに登録された血管外科手術は137,909件であり,1,076施設からの登録があった.このデータベースは,7つの血管外科分野すなわち動脈瘤,慢性動脈閉塞,急性動脈閉塞,血管外傷,血行再建合併症,静脈手術,その他の血管疾患から成っており,それぞれの登録症例数は,21,680, 18,123, 4,765, 2,418, 669, 48,625, および41,629例であった.腹部大動脈瘤(含む腸骨動脈瘤)は19,982例で,その64.1%がステントグラフト(EVAR)により治療されている.1,824例(9.1%)の破裂例を含んでおり,手術死亡率は破裂,非破裂で,それぞれ15.0%,0.7%であった.破裂症例に対するEVARは37.9%を占め,比率が年々増加しているが,置換術とEVARの手術死亡率はそれぞれ14.5%と12.3%であり,有意差はなかった.慢性動脈閉塞症は,重複を含み18,123例登録され,open repair 7,277例(うちdistal bypass 1,348例),血管内治療9,248例が施行された.血管内治療の割合が56.0%であった.静脈手術では,下肢静脈瘤手術が46,754例と前年に比べて初めて11.2%も減少した.このうち血管内焼灼術は34,440例で,手術法の73.7%を占めた.下肢深部静脈血栓症は455例であった.その他の手術として,バスキュラーアクセス手術38,769例,下肢切断1,548例が登録され,共に増加している.【結語】2016年と比較して,全領域において血管内治療が増加しており,とくに動脈瘤に対するステントグラフト内挿術,慢性動脈閉塞症に対する血管内治療の増加が目立った.
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