本研究では,メカノケミカル法を用いた木粉のベンジル化を行い,試薬量と処理時間を変化させてベンジル化の進行を検証した。スギ心材木粉,40%水酸化ナトリウム水溶液,及び塩化ベンジルを振動試料粉砕機の金属容器に量り取り,常温下で最大180分間メカノケミカル処理を行った。木粉のマーセル化前処理は行わなかった。メカノケミカル処理反応後の木粉から重量増加率(WPG)を求めた。ベンジル化木粉のWPGには試薬の添加量とメカノケミカル処理時間が影響し,木粉/水酸化ナトリウム水溶液/塩化ベンジルが5.0/7.5/14.0(重量比)の配合で180分間処理した時,WPG68.8%の最大値が得られた。FT-IRスペクトル分析の結果,WPGの上昇に伴って水酸基(3450cm
-1)がベンジル基(699cm
-1,740cm
-1)に置換される割合が増加し,メカノケミカル処理による木粉のベンジル化の進行が確認された。
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