筆者らは, 超音速キャビティ流の振動機構に関する研究を続けている.これまでに, キャビティ後縁における圧縮波の発生過程, そのキャビティ内伝播過程, キャビティ前縁部における受容過程について考察を進めてきた.前報では,
L/
D (キャビティ長さ
Lと深さ
Dの比) の影響を考慮に入れ, キャビティ振動のフィードバックループの共鳴条件を式で表現して, 振動周波数予測式を導出した.そして, 境界層が乱流の場合の実験と比較し, 予測式の妥当性を確認した.本研究では, 層流境界層の場合を扱い, 主流マッハ数
M∞=1.85, 2.5のキャビティ流で
L/
Dを種々に変えて実験を行い, 熱線で振動周波数を測定し, 予測式の妥当性を確認している.また, 微小振幅振動流 (
L/D=1.5) を対象とする熱線計測から, 勇断層の不安定性による撹乱の増幅率を評価し, 線形安定性理論による計算の結果と比較・検討している.そして, 通例の混合層の場合と比較すると, 勇断層の不安定波の増幅周波数帯がキャビティ流において顕著に増大すること, それがキャビティ内に生じる定在渦 (キャビティ渦) によること等を示し, さらに, キャビティ渦がキャビティ振動モードに及ぼす影響について考察している.
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