イオン衝撃波の構造をFokker-Planck方程式を用いて解析する.衝撃波の構造, すなわち上流から下流への遷移領域でイオンの分布関数を得るため, イオンの分布関数を3次元Hermite多項式で展開する.展開係数の方程式を得るため, Fokker-Planck方程式を全速度空間で積分する, いわゆるモーメント法を用いる.数学的厳密さを保つため遷移領域全体を解析することはせずに, 遷移領域の上流側と下流側のみに限定して, そこでの漸近解を得る。展開係数は最低次数の5個のみ用いる.
イオン衝撃波が強いとき, 遷移領域の下流側でイオンの分布関数は二重こぶ (double-hump) 型になる.ただし2重こぶの程度はMott-Smith近似法によるものより弱い.弱い衝撃波ではイオンの分布関数はただ1個のピークを持ち, 二重こぶにならない.
抄録全体を表示