乱れの秩序構造の1つとして著者らが先に提示した円柱後流中のさじ形渦の形成について, それがカルマン渦の湾曲によって発生するというモデルに基づき, 数値解析を行った.基礎式としては非粘性理論に基づく渦糸の局所誘導方程式に背後の平均流の影響を考慮した方程式を用い, 初期に1本の渦糸に
x-z平面 (
x,
z : 主流方向, スパン方向の座標) とθの角度をなす幅
Zwの釣鐘状の境乱を与え, 以後その変形を解析した.まず,
Zwを固定しθを変えて行った計算結果によると, 渦糸はθに依存せず最終的にはぼ一之平面と30°から45°の角度をなす構造に落ち着く.次にθを固定して
Zwを変えて行った結果によれば, 最終的な渦糸の変形幅は
Zwによらず4
dから6
d程度となった (
d=円柱の直径).これらの結果から初期境乱の形によらず渦糸が下流で一定の構造を形成することが示された.
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