気管支喘息106例 (男51例, 女55例) 平均年齢52.2歳) を対象に, 1-3カ月間の温泉療法を行い, 療法終了後1週間 (即時的効果) および1カ年後 (遠隔効果) の臨床効果について検討を加えた。なお, 温泉療法終了後継続療法として, 温泉または温水プールにおける水泳訓練を週1-2回行った症例と, 行わなかった症例について, 遠隔効果にあたえる影響を検討した。1. 対象106例に対する温泉療法の有効率は, 80.2%であった。これを臨床病型別に検討するとIa. 気管支攣縮型では74.6%, Ib. 気管支攣縮+過分泌型では84.2%, II. 細気管支閉塞型では88.3%であり, 温泉療法はIb型やII型において有効率が高いことが示された。
2. 温泉療法終了1年後の有効率 (遠隔効果) は, Ia. 型で67.4%, Ib. 型で62.6%, II型で70.6%であり, 即時的効果とくらべると, Ib. 型およびII. 型において有効率の低下傾向がより高度であった。
3. 継続療法と遠隔効果との関連では, 継続療法を行った症例の遠隔効果 (有効率: Ia. 型81.0%, Ib. 型88.9%, II. 型87.5%) にくらべ, 継続療法を行わなかった症例での遠隔効果 (有効率: Ia. 型56.0%, Ib. 型28.5%, II. 型55.5%) がかなり低いこと, 特にその傾向はIb. 型で著明であることが示された。
4. 1年間の臨床経過を症状の悪化率で観察すると, Ia. 型では10.9%, Ib. 型では37.5%, II. 型では47.0であり, Ib. 型およびII. 型において, その悪化率がより高いことが示された。特にこの傾向は, 継続療法を行わなかった症例において高度であり, これらの症例の悪化率は, Ia. 型で12.0%, Ib. 型で78.6%, II. 型で88.9%であった。
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