日本温泉気候物理医学会雑誌
Online ISSN : 1884-3697
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81 巻, 2 号
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Editorial
原著
  • —温泉大浴槽入浴と家庭用浴槽入浴の比較—
    島崎 博也, 水野 圭祐, 水谷 真康, 中村 毅, 前田 一範, 出口 晃, 川村 直人, 鈴村 恵理, 美和 千尋, 森 康則
    2018 年 81 巻 2 号 p. 63-69
    発行日: 2018/08/31
    公開日: 2018/09/26
    [早期公開] 公開日: 2018/06/18
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      【背景と目的】温泉の効果の一つに温熱作用がある.この効果は体温を上昇させ,体温調節機能が作動し,血流量の増大を引き起こす.今回,これらの変化が,浴槽の大きさ,温泉の泉質によるものかを検討した.

      【方法】成人健常男性10名(平均年齢25.2歳)を対象として10分間42℃の入浴を実施した.実施は,大浴槽(約1700L:アルカリ性単純温泉)と家庭浴槽(約300L:温水,0.1%人工塩化物泉)を用いた.測定項目は,深部体温「深部温モニターコアテンプ CM-210」と最高動脈血流速度「超音波血流計スマートドップ45」とし,それぞれの値を入浴中10分目,後安静10分目,20分目,30分目で比較し,さらに各条件で前安静値からの変化を求めた.

      【結果】入浴10分目で深部体温と最高動脈血流速度の上昇値は,大浴槽の温泉が家庭浴槽での値に比べ,有意な高値を示した.また,大浴槽の温泉の深部体温は入浴3分目から有意に上昇した.後安静での深部体温は,大浴槽の温泉は15分間,家庭浴槽の人工塩化物泉は16分間,温水は13分間有意な上昇が維持された.

      【考察】温泉大浴槽の方が家庭浴槽に比べて,深部体温上昇,最高動脈血流速度が大きかったのは,大浴槽では豊富な湯量により湯温の下降を妨げ,家庭用浴槽での深部体温上昇が継続されたのは,人工塩化物泉が体温上昇を維持させたと考える.

  • 中村 雅俊, 藤堂 萌, 海老根 直之, 福岡 義之, 高倉 久志, 北條 達也
    2018 年 81 巻 2 号 p. 70-75
    発行日: 2018/08/31
    公開日: 2018/09/26
    ジャーナル フリー

      足浴は,古くから医療現場において疾痛の軽減や入眠改善などに用いられ,血管拡張による血流量の増加,むくみの改善,リラクゼーション効果,深部体温上昇効果があると報告されている.しかし,足浴がエネルギー代謝および生理学的指標に与える影響については不明確である.そこで本研究では,足浴がエネルギー消費量および生理学的指標(心拍数および鼓膜温,血圧)に与える影響について明らかにすることを目的とした.健常な成人男性9名(年齢:23.0±1.0歳,体重:66.5±5.6kg,体脂肪率:15.1±4.3%)を対象とした.環境制御室(室温25°C,湿度40%)内にてフード法により回収した呼気ガス中の酸素消費量と二酸化炭素排出量からエネルギー消費量を算出した.被験者にはフード内で測定開始から終了まで安静座位を保持させた.まず,30分間の安静座位の後,足浴を30分間実施し,さらに足浴終了後60分間安静座位とし,エネルギー消費量を評価した.また,心拍数を経時的に,鼓膜温(深部体温)と血圧を15分毎に測定した.なお,足浴は膝下まで浸漬とし,湯温度は恒温器を用いて41°Cを保持させた.統計処理は,全ての項目において一元配置分散分析を用いて検討した.統計処理の結果,全ての項目において時間に有意な主効果が認められなかった.これらの結果より,足浴によるエネルギー消費量の有意な経時的な亢進はみられず,心拍数および鼓膜温,血圧においても有意な変化が生じないことが明らかになった.これら結果より,41°Cで30分の足浴では,エネルギー代謝の有意な変化はみられない可能性が高いことが示唆された.

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