本研究は、中高年女性を無作為に2群に分けて、それぞれ3ヶ月間及び6ヶ月間の温泉入浴と生活・運動指導による総合的健康教育が、体格、体力、血液性状、膝や腰の疼痛、そして精神心理面にどのような影響を及ぼすかを1年後と6ヶ月後までフォローアップして明らかにすることを目的とした。
中高年女性に対して、週1回、毎回1時間 (更衣、洗身含む) の半身浴 (ナトリウム塩化物泉、浴槽温度41.5度) と1時間の生活・運動 (行動変容のための講義、ウォーキング、リズム運動、調理実習等) の指導を、温泉入浴指導員や健康運動指導士、栄養士等が行った。6ヶ月群 (n=14) は、3ヶ月群 (n=19) と同じプログラムを2回ずつ繰り返した。
調査項目は、BMI、有酸素性作業能力として自転車エルゴメータによるPWC75%HRmax、血液性状 (総コレステロール、HDLコレステロール、動脈硬化指数、尿酸、HbAlc)、POMS、自己評価式抑うつ尺度、主観的幸福度、膝と腰の疼痛度 (VAS) であった。
6ヶ月介入群では、BMIが介入前 (26.3±3.5) と比べて、介入終了直後 (25.7±3.5)、そしてフォローアップ6ヶ月後 (25.7±3.3) と有意 (p<0.05) に減少した。また、PWC75%HRmax、HbAlc、腰痛、活気、抑うつ、主観的幸福度においても、6ヶ月のフォローアップ後まで有意 (p<0.05) な向上が認められた。一方、3ヶ月介入群では、終了直後に向上した調査項目もあったが、フォローアップ1年後には、介入前とほぼ同じ程度に戻っていた。フォローアップ後において、両群間に有意な差 (p<0.05) が見られたのは、PWC75%HRmax、HbAlc、疲労感であり、すべて6ヶ月介入群の方が良好な結果であった。週1回という頻度の少ない介入では、効果を維持させるためには、3ヶ月以上のより長期間の介入が必要であり、その効果を正しく判定するには、さらに経年的に追跡すべきことが示唆された。
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