65歳以上の老年者喘息30例 (男15例, 女15例, 平均年齢70.2歳) を対象に, 温泉療法を行い, その臨床効果について若干の検討を加えた。
1. 対象症例の発症年齢は全般的に高く (平均発症年齢54.3歳), 30例中26例 (86.7%) が40歳以降の発症であった。また, 各臨床病型の頻度は, Ia-1型が21例 (70.0%), Ia-2型が4例, Ib型が2例, II型が3例であり, この年齢層では, Ia-1型を示す症例が最も多く観察された。
2. 対象症例のうち, 軽症および中等症の症例では, 全例温泉療法が有効であった。一方, 重症15例では, 12例 (80.0%) に温泉療法の効果が認められた。
3. 臨床病型別検討では, Ia-2, IbおよびII型を示す症例では, 全例温泉療法が有効であった。Ia-1型を示す21例では, 17例 (81.0%) に温泉療法の効果が認められた。
4. 温泉療法による各換気パラメータの改善率の検討では, むしろ%FVCの改善率が高く (24.1%), %MMF (18.9%), %V
50 (33.9%), および%V
25 (17.0%) などの小ないし細気管支領域の換気障害を示す換気パラメータの改善率は, %V
50を除き比較的低い値であった。
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