気管支喘息52例を対象に, 気道過敏性と温泉療法の臨床効果との関連について検討を加えた。
1. メサコリンに対する気道過敏性は, 老年症例 (60才以上) よりも若壮年症例 (20-59才) においてより高度であった。
2. 温泉療法の有効率は, 若壮年症例では73.1%, 老年症例では80.8%であった。
3. 気管支喘息に対する温泉療法の臨床効果は, 気道過敏性とある程度の関連を示した。若壮年症例では, メサコリンの平均 Cmin は有効例で586μg/ml, 無効例で223μg/mlであった。また, 老年症例では, その平均 Cmin は有効例で1674μg/ml, 無効例で625μg/mlであった。
4. 温泉療法により, 若壮年症例, 老年症例いずれにおいても, その気道過敏性は低下する傾向が見られた。若壮年症例では, 温泉療法前の平均Cmin 353μg/mlが, 療法後860μg/mlへと有意の低下傾向を示した (P<0.02)。同様に, 老年症例でも, 温泉療法前の値 (Cmin 811μg/ml) から療法後 (Cmin 2313μg/ml) には有意の低下傾向が見られた (P<0.01)。
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