細気管支閉塞型喘息10例および類似の臨床症状を呈する肺気腫合併型喘息10例を対象に, 温泉療法の臨床効果について比較検討した。
1. 細気管支閉塞型喘息における各換気パラメーター値は低く, それぞれ%FVC 76.3%, FEV
1.0% 46.6%, %PEFR 51.9%, %MMF 14.9%, %V
50 8.3%, %V
25 9.1%であった。肺気腫合併型喘息においても同様に各換気パラメーター値は低い値であった。一方, 気管支肺胞洗浄 (BAL) 液中の好中球頻度は, 細気管支閉塞型喘息で, 肺気腫合併型喘息に比べ有意に高い値であった。(P<0.001)。
2. 温泉療法は, 肺気腫合併型喘息に比べ, 細気管支閉塞型喘息に対してより有効であった。また, 細気管支閉塞型喘息のBAL液中に増加した好中球は, 温泉療法により減少する傾向が見られた。
3. %MMF, %V
50, %V
25などの小ないし細気管支領域の換気障害を示す換気パラメーターは, 肺気腫合併症例に比べ, 細気管支閉塞型喘息において, 温泉療法により, より高度に改善され, 両症例群の改善率には有意の差が見られた。
以上の結果より, 温泉療法は, 肺気腫合併型喘息に比べ, 細気管支閉塞型喘息に対して, 有効であることが示唆された。
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