日本生気象学会雑誌
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37 巻, 4 号
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原 著
  • 村田 高明, 大崎 紀子
    原稿種別: 原著
    専門分野: その他
    2000 年 37 巻 4 号 p. 93-103
    発行日: 2000年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    夏季の疲労や冷え症状を訴える不定愁訴症候群に対する人工炭酸泉浴剤(A浴剤:炭酸ガス濃度100 ppm)の効果を検討した.南多摩病院婦人科外来を受診し,夏季の疲労感,冷え,不眠などの不定愁訴を訴える患者16名(女性,平均40.8歳)を対象に実施した.A浴剤2週間使用により,全般改善度で軽快以上を13名に認め,疲労症状および冷え症状も有意な症状改善効果を認めた.使用後の使用感アンケート調査では,手足の温まりやすさ以外にも,疲れが取れる,リラックスできるなどの効果を確認した.副作用はなく,有用性判定は16名中,やや有用以上が14名であり,高い有用性を認めた.引き続き6名にA浴剤および4名にプラセボ浴剤(B浴剤)を2週間使用させたところ,B浴剤使用群で効果の低減が認められた.以上の結果より,人工炭酸泉浴剤は夏季の疲労症状,冷え症状を訴える不定愁訴症候群に対し,副作用もなく,簡便に行える補助療法として有用な方法であると思われた.
  • 朴 恵淑, 長屋 祐一, 目崎 茂和, 田中 博
    原稿種別: 原著
    専門分野: その他
    2000 年 37 巻 4 号 p. 105-116
    発行日: 2000年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,冬季の1997年1月16日-17日,夏季の1998年7月15-16日に伊勢湾地域の三重県,愛知県,岐阜県の195地点での二酸化窒素(NO2)濃度の同時測定を行い,風の流線,収束·発散域の解析によって,大気汚染物質の発生源,輸送,滞留に及ぼす地形効果と地上風(海陸風)の影響について考察した.風の収束·発散は地形や海陸風と密接に関係している.伊勢湾岸地域において,海風のように内陸に向かう風は,山地にぶつかり山麓で収束する.つまり,海風の内陸への進入の際の通り道である谷沿いや内陸山地の麓に収束域が形成されることが分かった.また,伊勢湾岸上,三重県の伊勢平野から鈴鹿山脈に至る地域,濃尾平野,養老山地,伊吹山地,美濃三河高原地域での収束·発散域を把握することができた.二酸化窒素(NO2)の高濃度地域は名古屋市,四日市市,桑名市の大都市やコンビナート周辺の他に,各務原市と多治見市においても示された.大気汚染の発生源の少ない小都市である各務原市と多治見市の汚染濃度が高いことについて,各務原市は四日市市や桑名市方面からの南西風に,多治見市は四日市市や桑名市方面から名古屋市を経由する南南西風に乗って内陸まで輸送され,滞留される.つまり,夕方,深夜から早朝にかけて,海岸付近の都市·工業地域·道路上において発生した二酸化窒素(NO2)が,日中,海風に乗って内陸まで輸送され,収束域となる谷沿いや内陸山地の麓に滞留され,これらの地域が溜まり場となるメカニズムが明らかになった.
  • 本田 靖, 小野 雅司, 内山 巌雄
    原稿種別: 原著
    専門分野: その他
    2000 年 37 巻 4 号 p. 117-122
    発行日: 2000年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    気温と死亡率との関連がV字型である—気温が非常に高くても低くても死亡率が高くなる—ことが数編報告されている.このV字型に,交絡因子として湿度が及ぼす影響を量的に把握するため,1972年-1990年の日本の都道府県別データを解析した.まず,19年間の平均気温から都道府県を5地域に分類し,それぞれの地域について性·年次·日最高気温区分·日平均相対湿度区分別に65歳以上総死亡率を計算した.それをもとに2種類のMantel-Haenszel死亡率比,すなわち年次のみを制御したものと年次と相対湿度を制御したものを計算した.前者を後者で除した比は,湿度が交絡因子でなければ1となる.この比を日最高気温·地域·性別にみると,0.989から1.037の範囲にあり,比の89%は相違が1%未満であった.このことは,気温と死亡率との関連を評価する際に,少なくとも日本における65歳以上の総死亡率においては湿度を制御する必要がないことを示唆する.
  • 宮島 成江, 清水 富弘, 森谷 潔, 水野 徳子, 小田 史郎, 阿岸 祐幸
    原稿種別: 原著
    専門分野: その他
    2000 年 37 巻 4 号 p. 123-129
    発行日: 2000年
    公開日: 2002/02/28
    ジャーナル フリー
    本研究は,海洋療法と保養·健康増進に関する基礎資料を得ることを目的とし、粉末状海水塩類を溶かした人工海水温浴における塩類濃度の影響を,心電図の変動から検討した。被験者は健康な青年男性6名で,全被験者に対し,4日間連続の同時間帯に4種の温浴条件(淡水,1%,3.5%,7%塩類濃度)の実験を行った。入浴開始時の水温は各条件毎の平均で38.20∼38.33°Cであった。被験者は,入浴を15分間した後,出浴後の30分間は陸上椅子座位での安静回復をとった。平均心拍数は,入浴中,4条件共に入浴前に比べて有意な上昇を示し,出浴後は7%群でのみ出浴後4-7分でも高かった。平均CVR-Rは,入浴中は人工海水3条件で有意な低下を示したのに対し,対照湯では有意差は認められなかった。出浴後では7%群でのみ有意に低かった。平均LF/HFは入浴中11-14分の1%群でのみ高かった。以上の結果より,淡水温浴に比べ,特に高い濃度の人工海水温浴(7%)は心循環系,自律神経系に強い影響を与えることが示唆された。
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