日本生気象学会雑誌
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44 巻, 2 号
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原著
  • 樫村 修生, 柏木 朋也, 酒井 秋男
    2007 年 44 巻 2 号 p. 43-50
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    慢性低酸素曝露によって交感神経由来血管収縮物質である norepinephrine(NE)と血管弛緩物質である acetylcholine(ACh)による血管反応が変化するかどうか,肺血管に内皮細胞が存在する状態では明らかにされていない.本研究の目的は,3 週間の慢性常圧低酸素曝露(約15%O2),つまり慢性低酸素曝露終了直後,曝露終了 1 週間後および曝露終了 2 週間後では NE, phenylephrine(PE)による肺血管収縮および ACh による肺血管弛緩がラットの肺動脈において変化するかどうかを検討することである.NE および PE による肺血管収縮と ACh による肺血管弛緩は,in vitro の微小血管法により肺動脈で検討し,肺血管の張力は,フォーストランスデューサーで測定した.濃度依存性反応は,10−9 から 10−6 の NE,10−8 から 10−5 の PE,10−8 から 10−5 の ACh の蓄積添加によって求めた.EC50 で示される NE および PE による肺血管収縮の感受性は,両者とも慢性低酸素曝露終了直後および曝露終了 1 週間後で有意に増大した.慢性低酸素曝露終了直後から曝露終了 2 週間後の感受性は,control 群との間に差がみられなかった.IC50 で示される ACh による肺血管弛緩の感受性は,慢性低酸素曝露終了直後で有意に低下した.これらの結果から,慢性低酸素曝露により交感神経性肺血管収縮が亢進し,内皮細胞による肺血管弛緩が減弱することが示された.
短報
  • 今田 尚美
    原稿種別: 短報
    2007 年 44 巻 2 号 p. 51-62
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/10/26
    ジャーナル フリー
    本研究は,不均一な冷却刺激による体温調節反応と温冷感,快適感に及ぼす影響を明らかにすることを目的で,健康な女子 8 名を被験者として,室温 30.0±0.5℃,湿度 50±3%,気流 0.2 m/secの人工気候室で,安静仰臥位の実験を行った.被験者は水潅流スーツを着用して,全身に水温 33℃一定の水を 30 分間潅流し,温熱的中性を保持した後,体幹部冷却(TC)(四肢部は 33℃一定),または四肢部冷却(EC)(体幹部は 33℃一定)で,水温 30℃,27℃,24℃ と 30 分毎に下降した.その結果,両冷却に共通して四肢末梢部の皮膚温(Tsk)の低下と,胸部皮膚血流量(SBF)の増加が有意に生じた(p<0.05).胸部 Tsk は EC では有意に上昇したが,TC では直接冷却により有意な低下が観察された(p<0.05).TC,EC いずれの冷却でも平均体温と胸部 SBF および胸部 Tsk との関係は,正の相関が得られなかったことから,冷却による胸部 SBF の増加には体温調節以外の機序の関与が示唆された.EC では平均体温と温冷感および快適感との間には有意な相関が得られたことから(p<0.05),胸部 Tsk の上昇は温冷感および不快感の緩和に寄与することが示された.
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