日本生気象学会雑誌
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50 巻, 2 号
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総説
  • 山口 隆子
    2013 年 50 巻 2 号 p. 71-75
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    ヒートアイランド現象に関する研究は,ヨーロッパにおいて 19 世紀初頭からはじめられ,日本においても 20 世紀以降,現在に至るまで多数行われている.それらの研究成果をもとに,国及び東京都において実施されているヒートアイランド対策の施策化状況について概観すると,大きく 3 期(ヒートアイランド対策黎明期・推進期・成熟期)に区分される.ヒートアイランド現象が一般社会に認知され始めた黎明期,国・地方公共団体・民間事業者が一体となって対策事業に邁進した推進期,より一層の対策推進のため,評価手法の確立が求められている成熟期の 3 期である.
原著
  • 長野 和雄, 堀越 哲美, 石井 仁, 宇野 勇治, 橋本 剛, 兼子 朋也
    2013 年 50 巻 2 号 p. 77-92
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    ネリヘイと呼ばれる石壁を持つ住宅が数多く残る山口県祝島集落において,その気候適応性能を明らかにするため集落・室内気候観測およびアンケート調査を行った.住宅を密に複雑に並べることによって集落内部の風速が弱められていた.ネリヘイや家屋によって囲まれ風速が弱められた場所では気温が高くなり,総合体感指標である ETU でも高温になることを示した.室内においてはネリヘイよりも屋根の葺き土が夏季の暑熱緩和に大きく影響した.住民は空調設備の使用率が低いながらも,通風や着衣の調節など機器を用いない工夫を多用することでさほど不快でない熱環境を形成し暮らしていた.
  • 松本 太, 堀越 哲美
    2013 年 50 巻 2 号 p. 93-106
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究では,水田が存在する臨海部市街地の気候環境を評価し,土地利用の影響も明らかにすることを目的として,名古屋市茶屋新田地区を対象として気候観測を行った.その結果,夏季日中の海風の吹走が確認され,水田域から市街地にかけて,低温多湿な空気の移流が示唆された.水田域での低温は,水田からの蒸発散や水体の熱容量の影響によるものと考察された.それに対し,市街地での高温には人工被覆面の熱容量や,建物による日射の吸収,風速の減少のほか,人工排熱の影響も考察された.一方冬期は,早朝に気温の地点差が小さく,強風の影響と考察された.それに対し,風が弱い夜間には,渇水している水田と中間地区で低温,市街地と河川で高温であった.その要因として,地表面(河川では水体)の熱容量の違いと,建物しゃへいの有無で生じる放射冷却の違いが推察された.また,土地利用別の気温と水蒸気圧について,分散分析を行なった結果,夏季日中は,気温,水蒸気圧ともに水田・河川と市街地との間で,冬季夜間には,気温について水田・中間地区と市街地・河川との間で有意差がみられた.この結果は,夏季日中には水田域や河川では蒸発散,水体の存在により低温湿潤,市街地では高温乾燥となり,冬季の夜間弱風時には地表面の放射冷却と熱的性質の違いにより水田域や中間地区で低温,市街地や河川で高温となる特徴を示したものと考えられる.以上のことから,季節や時間帯による土地利用の違いが,小気候に影響を与えていることが検証された.
  • 西村 直記, 岩瀬 敏, 菅屋 潤壹, 河原 ゆう子
    2013 年 50 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/08/01
    ジャーナル フリー
    本研究は,身体を擦ることなく 2-ノネナールや皮膚の汚れを除去し,入浴後の加齢臭の発生を効果的に抑制できる入浴様式について,マイクロバブル浴,さら湯浴およびシャワー浴の 3 条件で比較・検討した.8 名の健常男性(40~44 歳)に,10 分間のマイクロバブル浴またはさら湯浴,5 分間のシャワー浴のいずれかをそれぞれ日を変えて行わせ,入浴前後の 2-ノネナール,皮脂量および皮膚の汚れの除去率と入浴後の 2-ノネナールの発生率を比較した.水温はいずれも 38℃に設定した.いずれの入浴様式においても,入浴前と比較して入浴 30 分後の 2-ノネナール濃度は減少したが,それはマイクロバブル浴が最も高かった.また,マイクロバブル浴では,入浴 3 時間後においても 2-ノネナールの発生を防止することができたものの,さら湯浴(P<0.05)とシャワー浴では 2-ノネナールが発生することが明らかとなった.以上の結果から,加齢臭を効果的に除去するとともに,入浴後の加齢臭の発生を長時間に亘って防止できる入浴様式としては,マイクロバブル浴が最も効果的であることが明らかとなった.
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