日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
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60 巻, 1 号
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特集:気象変化と健康
特集:気象変化と健康 原著
  • 櫻井 博紀, 佐藤 純, 青野 修一, 牛田 享宏
    2023 年 60 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 2023/07/30
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    気象変化により影響を受ける慢性痛患者を対象として,薬物療法にリハビリテーションを組み合わせた場合の有効性について自覚的感覚尺度を指標として検討した.初診時およびフォローアップ時に自覚的感覚尺度を質問票にて回答を得た.薬物療法のみ,および,薬物療法に加えてリハビリテーションを行った群の両群で,痛みの程度,生活機能障害,破局化思考において同程度の改善がみられた.また、薬物療法に加えてリハビリテーションを行った群では,心理尺度である不安・抑うつの抑制効果と自己効力感の改善がみられた.これらの結果から,気象変化により痛みが悪化する慢性痛患者に対して、薬物療法に加えてリハビリテーションを行うことは、心理面の障害の改善のために有効なものと考えられる.

  • 大塚 靖子, 佐藤 純
    2023 年 60 巻 1 号 p. 15-22
    発行日: 2023/07/30
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    気象変化に伴って起こる痛みや体調不良(天気痛)の全国的な地域特性を調査するため,「ウェザーニュース」アプリ内の天気痛予報コンテンツに寄せられた症状報告のデータ(期間:2020年6月1日〜2022年12月31日,報告数:434,409件)から,天気痛を感じた報告の割合を都道府県ごとに算出し,天気痛の痛みが起こりやすいエリアを分析した.また,天気痛に関連すると考えられている3種類の気圧要素(微気圧変動,低気圧・高気圧による気圧変化,大気潮汐による半日周期の気圧変動)を示す指標を症状報告と同期間について作成し,各気圧要素の地域特性を調査した.その結果,変動の大きい気圧要素は都道府県によって異なり,全国の中で天気痛の痛みを感じた報告の割合が多かった山形県・山梨県では,3種類のうち組み合わせが異なる2種類の気圧要素で変動が大きいことが分かった.

原著
  • 山本 恵子, 牧井 美波, 芝﨑 学
    2023 年 60 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2023/07/30
    公開日: 2024/01/20
    ジャーナル フリー

    運動パフォーマンスは、身体的要因、環境的要因、精神的要因などの影響を受ける。そのため脳では状況に合わせて瞬時に運動戦略が練られる。この場合、極めて短時間での変化であるため、関連する脳活動は微小と予測され、評価が困難である。本研究の目的は、脳波事象関連電位(ERPs)と経頭蓋ドップラー法(TCD)を用いて、運動開始時の脳活動を評価することである。被験者(成人男女11名)を対象に、負荷強度と難易度の異なる3種類の前腕掌握運動を、警告刺激あり(STM)と警告刺激なし(WPM)の条件で実施し、ERPsによって随伴陰性変動(CNV)を、TCDによって中大脳動脈平均血流速度(MCAVmean)を評価した。その結果、警告刺激によって運動開始前にCNVが誘発され、MCAVmeanが増加した。また、MCAVmeanの変化量は負荷強度に依存して大きくなったが、CNVの振幅は変化しなかった。一方でCNVの振幅とMCAVmeanの変化量のいずれも、課題難易度による差は見られなかった。これらの結果から、TCDを用いることで、運動戦略に関連した微小な脳活動の評価が可能となることが示唆された。

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