地球温暖化では気温上昇のみならず大気中の光化学オキシダントすなわちオゾン(O
3)濃度も上昇することが予測され,夏季においては暑熱と光化学オキシダントの発生が同時に襲来する可能性が指摘されている.本研究では,暑熱とO
3の複合暴露が肺の抗細菌防御能や肺に及ぼす影響を明らかにするために,マウスを高温で暴露後,O
3の吸入暴露を行い,日和見細菌に対する肺の抗細菌防御能や気管支肺胞洗浄液中の細胞・液性成分への影響について検討した.その結果,高温(35.5℃,7日間)とO
3(0.5ppm, 24時間)への暴露によって黄色ブドウ球菌に対する肺の殺菌活性が相加的に抑制され,高温暴露に続くオゾンの暴露は肺の抗細菌防御能を一層低下させた.しかしながら,肺での殺菌活性の相加的抑制は肺胞マクロファージ数の減少と必ずしも一致しなかったことから,相加的抑制の理由として肺胞マクロファージ自身の機能低下も示唆された.
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