日本生気象学会雑誌
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39 巻, 4 号
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原著
  • 松原 斎樹, 上野 涼子, 藏澄 美仁, 大和 義昭, 松原 小夜子
    原稿種別: 原著
    2003 年 39 巻 4 号 p. 79-92
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/18
    ジャーナル フリー
    京都において,住宅居住者の窓開放の実態調査を行った.その結果,夏冬ともにかなり開放的な生活様式であり,年齢による差は顕著でなかった.居間の窓開放率は全時間帯平均で夏35.1%,冬4.6%,また床面積あたり開放面積は夏387cm 2/m2,冬39cm2/m2であった.夏の窓開放の主な理由は「涼しくするため」,冬の窓開放の主な理由は「空気の汚れ」であった.今回の調査結果が明らかにした温暖地の居住者の開放的な生活様式は,気密性の高い住宅をうまく活用するような生活様式とは,少なからず異なっている.省エネルギー対策を考える上で,その事実を踏まえることは重要である.
  • 山元 昭二, 安藤 満, 佐藤 勝紀
    原稿種別: 原著
    2003 年 39 巻 4 号 p. 93-99
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/18
    ジャーナル フリー
    地球温暖化では気温上昇のみならず大気中の光化学オキシダントすなわちオゾン(O 3)濃度も上昇することが予測され,夏季においては暑熱と光化学オキシダントの発生が同時に襲来する可能性が指摘されている.本研究では,暑熱とO 3の複合暴露が肺の抗細菌防御能や肺に及ぼす影響を明らかにするために,マウスを高温で暴露後,O 3の吸入暴露を行い,日和見細菌に対する肺の抗細菌防御能や気管支肺胞洗浄液中の細胞・液性成分への影響について検討した.その結果,高温(35.5℃,7日間)とO 3(0.5ppm, 24時間)への暴露によって黄色ブドウ球菌に対する肺の殺菌活性が相加的に抑制され,高温暴露に続くオゾンの暴露は肺の抗細菌防御能を一層低下させた.しかしながら,肺での殺菌活性の相加的抑制は肺胞マクロファージ数の減少と必ずしも一致しなかったことから,相加的抑制の理由として肺胞マクロファージ自身の機能低下も示唆された.
  • 藏澄 美仁, 土川 忠浩, 角谷 孝一郎, 鳥居 孝行, 松原 斎樹, 堀越 哲美
    原稿種別: 原著
    2003 年 39 巻 4 号 p. 101-106
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/18
    ジャーナル フリー
    藏澄らは日本人の体格や体型の変化に着目し,身長と体重を構成要素とした人体の体表面積算出式(藏澄ほか, 1994)を提案したが,実測をしてから約10年が経過した.人体はさまざまな要因により変化を続けているが,藏澄らの人体の体表面積算出式が約10年を経た今日の日本人の成人へも適用可能かの検討をおこなった.健康な成人男女6名を被験者として人体の体表面積を実測し,実測結果と体表面積算出値とを比較した.DuBoisの算出式と藤本・渡辺らの算出式については,算出値と実測値との間には有意な差が示され,その使用には注意する必要があることを明らかにした.一方,藏澄らの算出式と藏澄らの男性の算出式,藏澄らの女性の算出式については,算出値と実測値との間の差は有意ではなく,実測値と適合することを確認した.
  • 西原 直枝, 長谷部 ヤエ
    原稿種別: 原著
    2003 年 39 巻 4 号 p. 107-120
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/18
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,人体各部位に冷刺激が与えられた場合の皮膚温,温冷感,熱流束について,冷刺激が与えられた部位の局所変化や,局所冷刺激による全身への影響を明らかにすることである.被験者実験を行い,分割衣服を用いた冷気曝露法により,頚,胸,背中,上腕,前腕,大腿,下腿の7部位を各400cm 2ずつ,放射温度18℃,相対湿度50%,静穏気流の環境に40分間冷気曝露した.頚曝露時は,他部位曝露時よりも冷気曝露部位における局所皮膚温および局所温冷感が高かった.また,頚曝露時は,他6部位の曝露時よりも冷気曝露部位における局所皮膚温の低下量が小さかった.しかし,曝露されていない部位の皮膚温や局所温冷感に与える影響が最も大きかったのは,頚曝露時であり,体幹部の皮膚温や局所温冷感も有意に低下した.冷気曝露開始後1分間における熱流束の変化量は,頚・胸・背中の体幹部では約70W/m 2であり,四肢部よりも大きかった.
短報
  • 苗村 晶彦, 吉川 哲生, 佐藤 敬一, 土器屋 由紀子
    原稿種別: 短報
    2003 年 39 巻 4 号 p. 121-125
    発行日: 2003年
    公開日: 2003/04/18
    ジャーナル フリー
    山林の奥秩父と都市近郊の多摩丘陵で林外雨,スギの林内雨,樹幹流の溶存化学成分を測定した.奥秩父でのスギ林内雨の平均pHは5.23(±0.37)であり,林外雨の平均pHの4.59(±0.34)より高く,全沈着量中のK +の割合が高いことにより中和作用が生じていると考えられた.樹幹流のpHは多摩丘陵で低く,これはNO 3-とnss-SO42-の寄与が大きいと推測された.多摩丘陵では,近年25年間に降水中の無機態窒素が増大しているが,ガスやエアロゾルのような乾性沈着によって林内雨中の無機態窒素が大きいと示唆され,都市近郊の丘陵地では湿性沈着のみならず乾性沈着が重要であると考えられる.
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