日本生気象学会雑誌
Online ISSN : 1347-7617
Print ISSN : 0389-1313
ISSN-L : 0389-1313
41 巻, 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
原著
  • 堀 清和, 千賀 康利, 南 哲, 堀 清記
    2004 年41 巻4 号 p. 131-140
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/04/22
    ジャーナル フリー
    11名の男子大学生,14名の女子大学生を被験者とした.被験者は閉眼で椅子に座り,異なる8種類の音楽(平均70 db.)をヘッドホーンを用いて聴いた.音楽の聴取前,聴取中,聴取後の心拍数は心電図を用いてR-R間隔を連続的に記録した.心拍の周期変動の周波数成分のパワースペクトル解析は高速フーリエ変換法を用いて行った.低周波(LF)成分と高周波(HF)成分はそれぞれ0.04~0.15 Hz,0.15~0.40 Hzとした.HFの値は副交感神経活動に,LF/HFの値は交感神経活動と密接に関連している.音楽聴取による心拍変動を評価するためLF,LF/HFの標準測度とHFの標準測度のプロットと中央領域および自律神経のバランスを表わすパラメーターRを含むLF/HF(%)とHF(%)のプロットを用いた.LFとLF/HFの値は音楽聴取時に減少し,聴取終了後に増加した.女子ではHFの値は音楽聴取時に増加する傾向があった.男子では女子と比べてLF,LF/HFの値が大きくHFの値が小さい傾向を示した.男子ではLF,LF/HFの音楽聴取終了後の値がいくつかの音楽聴取中の値より有意に大きく,女子の音楽聴取後の値より有意に大きかった.親しみの多い音楽,および音楽的要素の少ない音楽の聴取時は心臓自律神経活動の変動が少なく,変化の少ない音楽と非調性音楽はHF即ち副交感神経活動の増加に有効であった.
資料
  • 吉野 正敏
    2004 年41 巻4 号 p. 141-154
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/04/22
    ジャーナル フリー
    紀元前21世紀ころから中国では季節観測,特に季節現象の継続的な観測と記述,その体系化や,農事季節を取り込んだ季節暦が作成された.このことは世界の生気候学史ではもちろん,自然科学史のなかでも注目すべき事柄である.紀元前11世紀には天気現象だけでも約200種に分類して記述していた.古代ギリシャのParapegmata(紀元前5世紀,大理石に書いた天気暦)に比較すると数百年早かった.時間スケールの細かさも中国が進んでいた.中国の季節学(中国語では物候学)は農民の農作業・農業生産に貢献するのが主目的であったから,農耕生活に関係する現象ばかりでなく,動植物季節や人間の疾病現象の季節変化についても把握し記述していた.紀元前11世紀には15日を単位とする二十四節気ができ,紀元前1世紀には5日を単位とする七十二候が完成していた.また,気候把握に重要な正常年と異常年の差に着目して占いの形式ではあるが,役所の専門の部署が季節予報を行った.俚諺の形式で農民の間に季節変化,年によるその異常発生の知識が浸透し,今日でもこれらは役立っている.
総説
  • 小川 徳雄
    2004 年41 巻4 号 p. 155-162
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/04/22
    ジャーナル フリー
    学際的な学会では,発表者が専門外の聞き手・読者に理解しやすいように,学術用語の適切な使用に配慮することが肝要である.専門外の者にとって難解な語や仲間ことばなどは当然用いるべきではない.口頭発表では,一般に通用している略語以外は,術語をその都度略さず述べるのが望ましい.頭字語には多くの異なった意味に解しうるものが少なくなく,専門の違う聴き手が演者の意図とは別様に解釈してしまうおそれさえある.不合理な造語は慎むべきである.外来語,化学物質名,固有名詞などのカタカナ書きには混乱が多い.一律に規制することは困難だが,甚だしい乱れは未然に防ぐべきだろう.さらに,周知の日本語表現があるのに,ことさら原語をカタカナ書きしたり,本来の意味からずれたカタカナ造語が専門書や公的文書にさえみられる.学者・研究者・教育者・官僚の猛省を促したい.
学会報告
feedback
Top