Skin Cancer
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第40回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 福良 拓也, 江藤 博文, 田中 愛実, 持田 耕介, 天野 正宏
    2025 年40 巻1 号 p. 1-5
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    64歳,女性。当科初診4ヵ月前に右腹部に皮下腫瘤を自覚した。前医の外科で画像検査を施行され,皮下に血流に富む腫瘍を認め,悪性軟部腫瘍を疑われ当科紹介初診した。生検標本では,皮下に結節性病変があり,異型な腫瘍細胞が特定の配列傾向を伴わず不規則に増殖していた。腫瘍胞巣内には血管増生を認め,鹿角様から分岐状の形態を示す血管もみられた。免疫染色では腫瘍細胞の核にSTAT-6陽性であり,HE所見と併せてsolitary fibrous tumor(SFT)と診断した。病変から2 cmマージンで一部固有筋膜をつけて切除を行い切除断端陰性であった。術後1年半経過するも局所再発,ならびに所属リンパ節転移や遠隔転移なく経過している。皮下に発生するSFTは稀であり文献学的考察を加え報告する。

  • 西原 桃子, 江藤 博文, 田中 愛実, 持田 耕介, 楢原 進一郎, 天野 正宏
    2025 年40 巻1 号 p. 6-10
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    57歳,女性。18歳時から多発性筋炎に対してPSL 7.5 mg/dayを40年間内服していた。当科初診1ヵ月前に左頬部に6mmの紅色結節が出現した。前医を受診し,臨床的に粉瘤が疑われたが徐々に増大し1週間後に11mm,2週間後に17mmとなり,病理組織学的に有棘細胞癌と診断され当科紹介となった。入院時にはさらに増大し55mmとなっていた。6mmマージンで切除し,全層植皮術で再建を行った。腫瘍辺縁にはkoilocytosisを認め,HPV感染が疑われた。発癌リスクや予後因子に免疫抑制状態が関与しているという報告は複数あり,文献学的考察を加え報告する。

第39回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 山本 周平, 松本 敏希, 西原 春奈, 西田 絵美, 原 一夫
    2025 年40 巻1 号 p. 11-16
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    初診より15年程前より陰囊に皮疹を自覚。市販薬塗布するも改善ないため,近医受診後に当科を紹介受診した。初診時,右陰囊部に潰瘍を伴う2.5 cm大の黒褐色局面を認め基底細胞癌(BCC)を疑い皮膚生検を施行した。BCCの診断のもと5 mmマージンを確保して切除した。表皮から連続し筋層まで達する,基底細胞様細胞からなる大小の充実性胞巣を認めた。また明るい胞体を有する異型細胞が増生し,胞巣状に真皮から皮下組織,筋層の深部までに浸潤するclear cell basal cell carcinoma(ccBCC)を認めた。Nodular basal cell carcinoma(nBCC)とccBCCがサイドバイサイドに認める非常に稀な病理組織像であった。術後1年6ヵ月経過するも現在に至るまで再発は認めていない。本症例のように二つの病理組織型を呈したccBCCを踏まえ,ccBCCが呈する病理組織像についてBCCの発生のメカニズムに着目し考察した。

  • 崔 灵壽, 平田 央, 小林 あい子, 大迫 順子, 後藤 寛之, 鶴田 大輔
    2025 年40 巻1 号 p. 17-22
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    83歳,女性。初診2ヵ月前に右下腿の結節を自覚した。皮膚生検では脂漏性角化症の診断であったが,臨床的には悪性腫瘍が否定できず,全切除した。病理組織学的所見では,検体の辺縁は脂漏性角化症を示唆する所見であったが,検体中央部は真皮深層に達する不規則なクレーター状構造を呈し,構成している細胞は大小不同であり核に異型性を認めた。その部位に連続して周囲の表皮内に異型細胞の増殖を認めたため脂漏性角化症に生じた有棘細胞癌と診断した。検体辺縁の脂漏性角化症部分では免疫組織化学染色でp16とp53が陰性であったが,検体中央周囲の上皮内癌の部位ではp16およびp53が陽性であり,検体中央の有棘細胞癌の部位では,p53が強陽性であったがp16は陰性であった。脂漏性角化症から生じた有棘細胞癌はしばしば報告があるが,同腫瘍の悪性転化の可能性について文献的考察を加え報告する。

第38回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 藤田 壮, 中原 由紀子, 浦上 揚介, 河田 裕次郎, 福田 裕次郎, 西村 広健, 塩見 達志, 山本 剛伸, 田中 了, 青山 裕美
    2025 年40 巻1 号 p. 23-28
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    85歳,男性。右頬部に下床との可動性は保たれた,20×20 mm大のドーム状に隆起する紅色結節を認めた。エコー像では,結節は皮下脂肪織に接していたものの,真皮内に限局していると判断された。生検では,紡錘形細胞が束状に増殖し結節を形成,CD10が陽性で確定診断には至らず,病変全体を評価するため3 mmマージンをとり,脂肪織中層で切除した。脂肪織に紡錘形細胞の明らかな浸潤はなかった。Atypical fibroxanthoma(AFX)と診断した。しかし術後5週間で局所に再発した。右頸部リンパ節にも転移所見を認め再切除+右頸部リンパ節郭清,術後放射線を行った。病理では異型性のある紡錘形細胞が真皮を中心に増殖し,著明な皮下脂肪組織への浸潤を認めた。放射線治療中に右耳下腺内リンパ節転移が出現。その後多発肺・肝転移を認め,照射終了1ヵ月半後に永眠された。急速な進行と病理組織の変化より,AFXからpleomorphic dermal sarcomaへ進行したと考えた。

第37回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 北村 昇矢, 木庭 幸子, 川上 史裕, 岩谷 舞, 上原 剛, 浅野 直子, 福澤 正男, 奥山 隆平
    2025 年40 巻1 号 p. 29-35
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    61歳,男性。初診の4ヵ月前より鼻と上口唇に浸潤性紅斑が生じた。前医の皮膚生検でB細胞リンパ腫が疑われ,当科を紹介された。鼻尖部と上口唇に浸潤をふれる紅斑があり,顎下に数ミリ大のリンパ節を触知した。上口唇からの皮膚生検では,小型のリンパ球が真皮から皮下脂肪織にかけて密に浸潤し,リンパ濾胞構造はみられなかった。腫瘍細胞はCD20陽性,CD79a陽性,CD3陰性,CD5陽性,CD10陰性,CD23陽性,cyclin D1陰性,bcl-2陽性であり,EBER-ISHは陰性であった。PET-CT検査では顔面のみにFDGの集積が認められ,骨髄検査で皮膚と同様の形質を持った小型リンパ球が増加していることから小リンパ球性リンパ腫と診断した。小リンパ球性リンパ腫では進行期に皮膚を含む全身に腫瘍細胞が浸潤するが,早期の段階で皮膚浸潤を来す場合もあることを本症例は示していると考えた。

第36回日本皮膚悪性腫瘍学会
一般演題
  • 黒木 脩矢, 持田 耕介, 前川 和也, 天野 正宏
    2025 年40 巻1 号 p. 36-40
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    55歳,男性。1年前より右大腿部に腫瘤があることを自覚し,次第に増大したため近医整形外科を受診し,針生検が施行された。病理組織学的にlow grade myxofibrosarcomaが疑われ,当科紹介となった。術前のPET-CT検査では明らかな所属リンパ節および遠隔転移はみられなかった。当科で腫瘍辺縁より2.5 cm離し,外側広筋を一部付けて切除した。切除標本は,病理組織学的に短紡錐形の核をもつ腫瘍細胞が粘液性基質を背景として増殖し,周囲にlipoblastを認めた。免疫組織化学染色では,lipoblastにS-100蛋白(+),adipophilin(+)であり,腫瘍細胞はSMA(-),CD34(-)であり,primary subcutaneous myxoid liposarcomaと診断した。Liposarcomaの発生は真皮および皮下は稀とされ,文献的考察を含め報告する。

投稿論文
  • 黒川 優太, 石井 暢明, 芹澤 直隆, 秋元 正宇
    2025 年40 巻1 号 p. 41-47
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    78歳,男性。会陰部の皮下結節を自覚してから1年後に近医を受診し,当院皮膚科を経て当科紹介受診となった。視診や触診に加え,超音波検査では内部血流を伴わない境界明瞭な低エコー像を認め表皮囊腫の術前診断となった。

    初回手術時は皮下結節の直上を紡錘切除し,皮下結節を摘出,病理組織学的検査で基底細胞癌,断端陽性と診断した。初回切除より38日後,初回の術後瘢痕より5 mmマージンで切除し,人工真皮を貼付した。後日,断端陰性を確認後に単純縫縮した。最終手術から2年経過しているが再発は認めていない。会陰部は表皮囊腫の好発部位とはいえず,特に中年以降においては,表皮囊腫を疑うような皮下結節であっても悪性の可能性を考慮した部分生検や全切除生検が必要であると考えた。

  • 小林 あい子, 後藤 寛之, 鶴田 大輔
    2025 年40 巻1 号 p. 48-52
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/06/30
    ジャーナル 認証あり

    症例は59歳,男性。初診の1年半前から全身に2~5 cm大の多発する皮下腫瘤を自覚していた。徐々に数が多くなり,近くの病院からリンパ腫疑いで当院血液内科に紹介され,皮膚腫瘤の精査目的に当科に紹介された。初診時,躯幹を中心に5 cm未満の皮下腫瘤を多数認めた。PET-CTでは,全身の皮下,筋肉内に多数のPDG集積を伴う結節影を認めた他,頸部,腋窩,縦郭,骨盤内,鼠径のリンパ節,甲状腺,肝,脊椎,肋骨などもFDG集積を伴う結節を多数認めた。皮膚生検では真皮中層から脂肪織にかけて大型の核を有する異型細胞が増殖しており,多数のアポトーシスや細胞分裂像もみられた。免疫組織化学染色にてCD31,ERGが陽性であり,血管肉腫と診断した。肝臓病変が最も大きく,肝臓原発と考えた。皮膚原発ではない血管肉腫は非常に稀であり,過去の文献とあわせて報告する。

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