農業情報研究
Online ISSN : 1881-5219
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21 巻, 1 号
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原著論文
  • 大澤 剛士, 神山 和則, 桑形 恒男, 須藤 重人
    2012 年 21 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    本稿は,複数の独立したデータベースの横断的な利用を促進する方法として,データベースそれぞれに格納データを配信するWeb API(Web Application Program Interface)を設置し,由来の異なるデータをWeb上で統合する『マッシュアップ』によって仮想的にデータベースを統合することを提案する.すなわち,実際に全てのデータを格納する巨大データベースを新規に構築するのではなく,基本的に既存データベースは独立させたままデータのみをインターネット上に配信させ,それらをインターネット上で集約することで,仮想的な統合を実現する.このアーキテクチャによって,ユーザはあたかも巨大な1つのデータベースが存在するかのように,複数のデータベース由来のデータを利用することが可能になる.筆者らはケーススタディとして,気象,土壌,農地利用,温室効果ガスに関する情報をまとめて取得できるWebシステムを構築した.しかし,システム構築の過程で課題や問題点も明らかになった.本稿は,システム開発における上述アーキテクチャの実現方法,データベースに実装するWeb APIの内容,実装内容および設計における留意点,明らかになった課題を記し,さらにはWeb APIを利用したデータシステムの可能性を論じた.
  • 藤田 かおり, 杉山 純一, 蔦 瑞樹, 小澤 徹, 柴田 真理朗, 吉村 正俊, 粉川 美踏, 久城 真代
    2012 年 21 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/28
    ジャーナル フリー
    予め赤かび病のカビ毒(デオキシニバレノール:DON)汚染が確認されている4段階の赤かび病汚染コムギ粒を対象に,蛍光指紋計測を利用した複数のカビ毒(ニバレノール:NIV,ゼアラレノン:ZON)の非破壊同時検出・定量法について検討を行った.カビ毒濃度推定にはPLS回帰分析を用い,HPLC-UVとHPLC-FLによる化学分析値を目的変数,簡易粉砕したコムギの蛍光指紋計測値を説明変数として回帰式を求めた.化学分析よりNIVはすべて検出下限値以下(ND),ZON濃度はND~0.71 ppmであり,赤かび病発生程度と各カビ毒の挙動は異なった.ZON濃度の推定では,キャリブレーション群(R2 = 0.993, SEC = 0.02 ppm)とバリデーション群(R2 = 0.974, SEP = 0.04 ppm)となり,作成された推定式が堅牢であることが示された.得られたPLS回帰式の係数分布から,ZON濃度の回帰推定式が蛍光指紋に含まれるZON情報に基づき作成され,微小な蛍光情報を使って構築されることが示された.これにより,複数成分混在系において抽出などの処理を要さず簡易に汚染コムギ中のZONの濃度推定が可能であることが示唆された.
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