日本画像学会誌
Online ISSN : 1880-4675
Print ISSN : 1344-4425
ISSN-L : 1344-4425
38 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
論文
  • ―現像剤の粒子サイズの影響―
    李 源渉, 高橋 恭介
    1999 年 38 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/06/16
    ジャーナル フリー
    トナーとキャリアの粒子サイズが変化した場合にq/mのトナー濃度依存性にどのように影響を与えるかの検討を行った. その結果, 100μmフェライトキャリアとP1トナー (dP1t = 8.1μm) の場合はトナー濃度依存性があるType II帯電特性を示し, 65μmフェライトキャリアとP1トナー (dP1t = 8.1μm) の場合はトナー濃度依存性がないType I帯電特性を示した. しかし, フェライトキャリア (65μm, 100μm) とP2トナー (dP2t = 10.5μm) やP3トナー (dP3t = 12.3μm) の場合はType I帯電特性を示した. 鉄粉キャリア (100μm) の場合, トナー粒子サイズに関係なくType II帯電特性を示した. 100μmフェライトキャリア-P1トナー (dP1t = 8.1μm) の組合せでType II帯電特性を示し, 65μmフェライトキャリア-P1トナー (dp1t = 8.1μm) の組合せでType I帯電特性を示す理由をキャリア1個に付着するトナー粒子数の多少で説明できることを示した. 即ち, 100μmキャリアでは付着トナー数が多いのでNc < Ntになり, 65μmキャリアでは付着トナー数が少ないのでNc > Ntになり, q/mのトナー濃度依存性が異なる. トナーとキャリアの粒径がq/mのトナー濃度依存性に与える影響からも2成分系現像剤の摩擦帯電メカニズムはトナーとキャリア間の相対的な帯電サイト数の差が現象を支配していることが示された.
  • 宮坂 徹, 山本 雅志, 島田 昭
    1999 年 38 巻 1 号 p. 9-19
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/06/16
    ジャーナル フリー
    中間転写体を用いるカラーレーザプリンタでは, 感光体上に形成される4色の画像を中間転写体上に重ね合わせた後, 一括して用紙に転写を行いフルカラー画像を形成する. 2回の画像転写を必要とするこの印写プロセスでは, 各転写プロセスの転写効率が高いことが重要である. そこで, 中間転写方式における第1転写および第2転写プロセスの転写効率の検討を行った. 中間転写体は半導電性を有する為, 転写プロセス中に層内での電荷移動が生じる. 転写プロセス中に生じる転写領域内の電位変化を模擬できる解析モデルを提案し, 第1および第2転写プロセスの効率を推定した. その結果, 解析と実験結果がよく一致した. 本解析モデルによって, 転写の行われる時間と中間転写体層や用紙層の有する時定数の関係が, 転写プロセスにおいて重要であることを明らかにした. さらに, 多層のトナー層を一括転写する中間転写プロセスにおいて, 転写可能な限界トナー量は, トナー帯電量と付着量の積で与えられることを示した.
  • 左近 洋太, 鈴木 哲郎, 梅田 実
    1999 年 38 巻 1 号 p. 20-25
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/06/16
    ジャーナル フリー
    フルオレノン・ビスアゾ顔料 (Azo-FO) を有する電荷発生層 (CGL) と有機ポリシラン (PMPS) からなる電荷輸送層 (CTL) から高感度, 高速応答積層感光体を構成した. これまでPMPS CTLとアゾ顔料CGLとの積層において, 分子分散ポリマー (MDP) CTL積層と比較して高感度が発現できないことが報告されているが, これに対して積層感光体の光キャリア発生の観点から高感度化を検討した. TEMと蛍光消光による解析から, 単純な積層構成では光キャリアの生成サイト数が不充分であることが明らかとなり, Azo-FO CGLにPMPSを混合し電荷発生材料Azo-FOと電荷輸送材料 (CTM) PMPSの接触を増やすことで初めて高効率で光キャリアを生成することが見出され, これまで報告された低分子CTMのCGLまたはCTLへの添加あるいはMDP CTL積層と同等の高感度が得られた. また, キセノンフラッシュランプによるレスポンス感度において, MDP CTL感光体, さらには低分子CTMをCGLまたはCTLに添加したPMPS CTL感光体を凌ぐレスポンス感度が確認された.
  • 醒井 政博, 下川 拓生, 竹之内 和樹, 川北 和明
    1999 年 38 巻 1 号 p. 26-34
    発行日: 1999年
    公開日: 2006/06/16
    ジャーナル フリー
    トナー定着プロセスにおける伝熱現象の解析においては, トナー粒子の積層状態および記録紙の表面状態に起因して存在する空気の伝熱抵抗を導入することが不可欠である.
    本報では, 定着領域内部に存在する空気をモデル化した仮想空気層の設定位置について, トナー粒子層表面温度の実測値と計算結果を比較して, 温度場を精度良く予測するための妥当性の高いモデル構成を検討した. まず定着領域内部での温度変化を, 温度場の相似則に基づいて, 定着部出口での計測温度から推定した. ついで定着温度場に与える仮想空気層の伝熱抵抗の影響を考慮して, 5種類のモデルを提案した. それらのうち, 記録紙の表面粗さに基づく空気層をヒートローラ表層とトナー層との境界面に位置させ, 一方トナー粒子の積層に基づく空気層を2層状態のトナー粒子層の厚さ中央に位置させるモデル, またはトナー層を空気を含んだ多孔質体とするモデルを用いた場合, 良い予測が得られることがわかった. このモデルを, 表面粗さの異なる2種類の記録紙に適用した場合, 同様に良い精度の結果が得られることから, 本計算法が有用であることを検証した.
Imaging Today
『最新の高精度カラーレジストレーション技術』
feedback
Top