導電性トナーと表面に電極層を有する絶縁性格子(グリッド)を積層した感光体を用いた新規な記録方式を開発した.紙への画像形成が,従来の電子写真方式では6工程を要するのに対し,本記録方式は3工程で可能である.まず,トナー搬送電極とグリッドの間で導電性トナーを誘導帯電させて振動させることにより,グリッドの孔のみに導電性トナーを充填する.充填されたトナーはグリッド電極と等電位になるため,グリッドの孔底の感光体内部に強い電界を発生させることができる.次に画像露光によって孔内のトナーは充填時とは逆極性に帯電し,選択的にトナーが飛翔する.
孔への充填時に,トナーが過剰供給されると目詰まりを起こしたが,供給条件の最適化によりほぼ100%の吐出率を確保して,均一かつ最大画像濃度(ID)1.3を達成した.さらにIDが1以下で露光量に対しほぼリニアであり,階調制御が比較的容易であると考えられる.また飛翔粒子が孔の中心方向の力を受ける電界条件が存在し,ドットの小径化が可能であることが電界計算により示された.4pt文字の解像まで確認され,本記録方式の印字原理を実証した.
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