日本画像学会誌
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40 巻, 4 号
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論文
  • 許 世標, 渡辺 崇, 北久保 茂, 星野 坦之
    2001 年 40 巻 4 号 p. 308-312
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本論文では,代表的な記録技術である電子写真記録方式とインクジェット記録方式について,記録されたドットまたはドットの集まりの形状を観察・測定し,ドットサイズの均一性に影響を与える要因について考察を加えた.画像のハーフトーニング処理では,ある階調値を表現するために一般に複数個の二値のドットを用いるが,同じ個数のドットでも配置が分散型か集中型かによって表現される階調の印象が異なる.このことから,記録されたドットの形状を論じることは重要である.実験の結果,電子写真方式で記録されたドットは,集中の度合 (クラスタを構成するドット数)に比例して形状が安定してゆくことが観察されたが,インクジェット方式ではドットを集中させることによるサイズの均一性の増加は相対的に小さいということが認められた.
  • 今井 良枝, 小寺 宏曄
    2001 年 40 巻 4 号 p. 313-319
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    本論文では,画像の色分布に注目した領域識別を用いて,統計的多変量解析による主成分を符号化する新しい圧縮方式を提案している.ここでは色信号の相関を利用して明度情報のみから色度を推測,再現する簡便な符号化方式について検討した.
     具体的には,色領域を識別することによって画像を主要な複数のキーカラー領域に分割後,各領域の主成分パラメータを抽出し,明度情報とともに領域番号と第1主成分を符号化伝送する.これにより色度情報が大幅に圧縮された.第1主成分軸に沿った明度から色度面への射影によって色度を推測し,明度に色度情報を重ねあわせることにより簡便にフルカラー画像を再現できることを実証した.明度の圧縮には既存のJPEGあるいはWavelet圧縮を併用した.さらに,画像をあらかじめ粗いサブブロックに分割した後,色領域の識別を行うことにより,色再現精度の改善を図っており,従来のJPEG圧縮方式を超える高能率の圧縮に成功している.
  • 情野 國城, Shizuo YUGE, 上村 正雄
    2001 年 40 巻 4 号 p. 320-329
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    普通紙複写機のクリーニングブレードの耐刷性能がブレード材の反発弾性に強く依存することを見いだした.クリーニングブレードは,スティック-スリップ運動を行いながら感光層表面上を走行する.耐刷性能は,ブレードエッジの摩耗によって決定される.われわれはゴム摩耗機構が疲労破壊であるとし,スティック-スリップ運動の粘弾性的挙動を考慮した摩耗式を組み立てたところ,ブレード材の摩耗実験の結果や実機の耐刷実験の結果と良く合った.一方,われわれは,残留トナーのブレードニップのすり抜けはスリップ運動中に発生すると推測し,クリーニング能力がスリップ距離に逆比例することを検証した.以上に基づいて,反発弾性から眺めたクリーニング性能(クリーニングブレードの摩耗寿命とクリーニング能力)のプロフィールを提供することができた.耐刷実験の1実施例では,耐刷性能は,反発弾性が50%付近でピークを持ち,反発弾性の増加とともに低下した.反発弾性が50%以下では,耐刷実験の初期からクリーニング能力が不足していた.
  • 情野 國城
    2001 年 40 巻 4 号 p. 330-336
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    アナログ複写機の平均月間CV(Copy Volume)がコピー速度の2乗に比例し,MCBV(Mean Copies between Service Visits)が平均月間CVの0.5乗に比例する経験則が成立していることをNIP13のキーノート・スピーチにおいて発表した.本報においては,上記の市場経験則が日本市場のみならず欧州市場においても成立していることを紹介し,また,オフィスの平均月間原稿部数,1原稿当りの平均頁枚数,市場における自動原稿送り装置の搭載率を考慮して市場データを解析した.Copy-and-distributeのオフィスにおいて2乗則が成立する背景を明らかにし,1原稿当りの平均頁枚数として2.2枚を得た.次に,distribute-and-printのオフィスにおける平均月間PV(Print Volume)とMPVB(Mean Prints between Service Visits)をオフィスの使命,オフィスの組織化の原則,オフィスの情報媒体の観点から考察し,平均月間PVがプリント速度の1乗に比例し,MPVBが平均月間PVに依存せず一定値になるとの予測を得た.これらの予測は,ハードコピービジネスがさらに厳しくなることを示唆している.
  • 舩山 康弘, 堀 健志, 吉井 朋幸, 上薗 勉
    2001 年 40 巻 4 号 p. 337-344
    発行日: 2001年
    公開日: 2006/07/01
    ジャーナル フリー
    導電性トナーと表面に電極層を有する絶縁性格子(グリッド)を積層した感光体を用いた新規な記録方式を開発した.紙への画像形成が,従来の電子写真方式では6工程を要するのに対し,本記録方式は3工程で可能である.まず,トナー搬送電極とグリッドの間で導電性トナーを誘導帯電させて振動させることにより,グリッドの孔のみに導電性トナーを充填する.充填されたトナーはグリッド電極と等電位になるため,グリッドの孔底の感光体内部に強い電界を発生させることができる.次に画像露光によって孔内のトナーは充填時とは逆極性に帯電し,選択的にトナーが飛翔する.
     孔への充填時に,トナーが過剰供給されると目詰まりを起こしたが,供給条件の最適化によりほぼ100%の吐出率を確保して,均一かつ最大画像濃度(ID)1.3を達成した.さらにIDが1以下で露光量に対しほぼリニアであり,階調制御が比較的容易であると考えられる.また飛翔粒子が孔の中心方向の力を受ける電界条件が存在し,ドットの小径化が可能であることが電界計算により示された.4pt文字の解像まで確認され,本記録方式の印字原理を実証した.
解説
Imaging Today
『ディスプレイ実装技術の最新動』
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