保全生態学研究
Online ISSN : 2424-1431
Print ISSN : 1342-4327
15 巻 , 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2010 年 15 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
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  • 原稿種別: 目次
    2010 年 15 巻 1 号 p. Toc1-
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
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  • 原稿種別: 付録等
    2010 年 15 巻 1 号 p. 1-2
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
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  • 藤井 伸二
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
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    京都府に位置する芦生研究林の枕谷において、シカ摂食圧の顕在化にともなう開花植物相と開花株数の変化を調査した。その結果、開花植物の種数は84種から56種に減少していた。開花株数の増減評価を行った77種の内訳は、顕著に増加したものが8種、顕著に減少したものが47種であった。22種は地域絶滅した可能性がある。大形の植物種において減少種数の割合が高く、小形の植物種については増減変化の顕著でない種数の割合が高かった。開花時期を検討した結果、春咲き種群に比べて初夏・夏咲き種群と秋咲き種群での減少種数の割合が高かった。したがってシカ摂食の影響評価のためには植物体サイズと開花時期の両方の形質が重要と考えられる。推定開花株数とシンプソンの多様度指数の季節変化パターンは大きく変化したことが明らかになり、開花植物を利用する訪花昆虫や植食昆虫に対する植物の季節的群集機能の変化が示唆された。
  • 宮脇 成生, 鷲谷 いづみ
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 17-28
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
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    地域の生態系に侵入した侵略的外来植物への対策を効果的・効率的に実施するためには、対策を優先的に実施する場所を抽出する手法が必要である。本研究では、千曲川における侵略的外来植物4種(オオブタクサ、シナダレスズメガヤ、ハリエンジュ、アレチウリ)の侵入場所を予測するモデルを作成し、各種の侵入可能性を地図化した。モデルは千曲川の河川区域を5m×5mの格子に分割したデータと、CART(Classification And Regression Tree)により作成し、その予測性能をROC分析の曲線下面積(AUC:Area under the curve)等の指標により評価した。モデルの応答変数は、「対象種優占群落の有無」、説明変数の候補は、「比高(計算水位からの相対的な地盤高)」、「植被タイプ」、「農地からの距離」、「近隣格子における対象種群落の分布格子数」および「河川上流側における対象種群落面積」である。得られた各対象種のモデルは、いずれも説明変数に「比高」を含み、河川での外来植物侵入場所におけるこの変数の重要性が示された。モデルの予測性能は、学習データおよび検証データのいずれにおいても「十分に役に立つ」(AUC>0.7)ことが示された。本研究で検討した侵入範囲の予測モデルを地図として視覚化するアプローチは、絶滅危惧種の保全などの他の保全対策や社会的制約条件も併せて考慮する必要がある保全計画立案の現場において、有益な情報を提供することができるだろう。
  • 永美 暢久, 矢部 和夫, 中村 太士
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
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    北海道勇払地方の安平川湿原はこの地方で最大のフェンの面積を有しているが、現在、開発と保全の問題に直面している。安平川湿原について、勇払地方にある他の7か所の湿原とあわせ、群落の種組成と環境条件の比較を行い、安平川湿原の特徴を検討した。TWINSPANの結果、安平川湿原以外の7湿原の湿生自然草原群落は氾濫原湿原のA(イワノガリヤス)群(A1:ツルスゲ-イワノガリヤス群落型、A2:オオアゼスゲ-イワノガリヤス群落型)と谷湿原のC(ムジナスゲ-ワラミズゴケ)群(C1:ワラミズゴケ群落型、C2:ヤチスゲ-ムジナスゲ群落型、C3:ヌマガヤ-ムジナスゲ群落型)に分かれた。一方、安平川湿原の植物群落は、氾濫原湿原のA群と他の湿原ではみられないB(ヒメシダ)群(B1:イワノガリヤス-ヒメシダ群落型、B2:ムジナスゲ-ヒメシダ群落型)が見出され、A群のうちではA1群落型が主に優占していた。B1群落型の構成種はA群との共通種が多く、海岸砂丘種や中生の外来植物も含まれていた。また、B2群落型の構成種はA群とC群それぞれの共通種が多かった。安平川湿原では1975年に高水位の場所に成立する谷湿原のC2群落型や半冠水状態で生活する植物の群落が存在していたが、今回の調査ではこれらの群落が消滅していた。安平川湿原で確認された群落型の水文化学環境は、水位はB1群落型とB2群落型で特に低く、ECはB2群落型で特に低かった。pHはB1群落型で高く、B2群落型で低い傾向があった。安平川湿原は1956年の河道変更によって河川水の供給が遮断されたことにより、氾濫が停止し水位低下が起こったものと推定される。水位低下によって、特に比較的乾燥した立地で生育するヒメシダが優占するB群が拡大した可能性が高い。またB2群落型の優占種であるムジナスゲは酸性で貧栄養な環境で優占するので、氾濫の停止による貧栄養化、酸性化によって拡大したと考えられる。湿原内のハンノキ林面積は29年間で約1.5倍に拡大し、その分フェンは減少していた。水位低下やそれに伴う水文環境の変化もハンノキ林の拡大の一要因とみなされる。湿生自然草原群落の減少・劣化が認められたものの、勇払地方で最大面積のフェンが現存し、他の湿原では見られない種を含む独特のフェンを有する安平川湿原の保全は必要であり、水文環境を河道変更以前の状態に近づけることが群落の保全・修復にも有効である。
  • 中西 希, 伊澤 雅子, 寺西 あゆみ, 土肥 昭夫
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    1997年から2008年に交通事故に遭遇したツシマヤマネコ42個体(オス21個体、メス21個体)について、歯の萌出・交換状態と体サイズ及びセメント質年輪を用いて年齢査定を行い、交通事故と年齢の関係について分析した。また、栄養状態についても検討を試みた。交通事故遭遇個体の年齢は0歳から9歳であった。全体の70%以上が0歳で、2〜4歳の個体は確認されず、残り30%近くは5〜9歳の個体であった。交通事故の遭遇時期は、5〜9歳のオスでは2〜6月と9月であったのに対し、0歳のオスでは9月から1月に集中していた。0歳メスは11月に集中していた。0歳個体の事故が秋季から冬季に集中していたことから、春に生まれた仔が分散する時期に、新たな生息環境への習熟や経験が浅く、車への警戒が薄いため、事故に遭遇しやすいこと、また、分散の長距離移動の際に道路を横断する機会が増えることが要因と考えられた。栄養状態に問題のない亜成獣や定住個体が交通事故で死亡することは、個体群維持に負の影響を及ぼすと考えられた。
  • 服部 保, 岩切 康二, 南山 典子, 黒木 秀一, 黒田 有寿茂
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 47-59
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    宮崎神宮には照葉樹等の植林後約100年経過した照葉人工林等が保全されている。植林後の年数が明確な本樹林は各地で形成されている工場緑化林や緑地帯などの照葉人工林における植生遷移の予測や生物多様性保全の可能性および孤立林の維持管理方法などについての課題を明らかにする上でたいへん重要である。本社叢の種組成、種多様性、生活形組成の調査を行い、照葉二次林、照葉自然林、照葉原生林との比較を行った。宮崎神宮の社叢は林齢約100年の照葉人工林と林齢約45年の針葉人工林から構成されており、社叢全体に118種の照葉樹林構成種が生育し、その中には絶滅危惧種も含まれていた。植栽された植物を除くと多くの植物は周辺の樹林や庭園から新入したと考えられた。照葉人工林の種多様化に対して隣接する住宅地庭園の果たす役割が大きい。照葉自然林の孤立林に適用される種数-面積関係の片対数モデル式および両対数モデル式を用いて宮崎神宮の社叢面積に生育すべき種数を求めると、前者が119.0種、後者が158.6種となり、前者と現状の調査結果とがよく一致していた。後者の数値が適正だとすると宮崎神宮に十分な種が定着できないのは、地形の単純さと考えられた。社叢の生活形組成では着生植物、地生シダ植物の欠落や少なさが特徴であった。種多様性(1調査区あたりの照葉樹林構成種の平均種数)をみると宮崎神宮の照葉人工林(20.4種)は照葉原生林(42.9種)、照葉自然林(32.9種)と比較して、非常に少なく、照葉二次林ほどであった。1調査区あたりの生活形組成も照葉二次林と類似していた。宮崎神宮の照葉人工林は林冠の高さやDBHなどについては照葉自然林程度に発達していたが、種多様性、生活形組成では照葉二次林段階と認められた。
  • 森 貴久, 伊部 弘, 小倉 久美子, 佐藤 誉康, 大谷 結
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 61-70
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    沖縄島北部のやんばる地域にのみ生息しているヤンバルクイナGallirallus okinawaeの交通事故記録を解析し、事故地点の特徴と月別の事故件数に関連する要因を調べた。ヤンバルクイナの交通事故死は1995年6月〜2007年8月の間に69件報告されており、増加傾向があった。事故地点は県道70号線上と県道2号線上に多く、県道70号線では近年北上している傾向がみられた。事故記録数は、5月(30.4%)、6月(30.4%)、8月(13.0%)に多く、事故個体の成長段階は、性に関係なく、成鳥が最も多かった(78.3%)。成鳥以外では、雛が4月、幼鳥が5月、6月、若鳥が7、8、12、1月に確認された。ヤンバルクイナの目撃数は5月〜7月が多く、観光客数は8月が最も多かった。2006年7月〜2007年10月の期間について、月別事故数と目撃数、事故数と観光客数にはそれぞれ正の偏相関がみられた。2005年〜2007年に事故が起きた36地点については、長い直線あるいは緩やかなカーブで、ガードレールがない場所が多かった。県道70号線の事故現場付近で通過車両の速度を測定したところ、制限速度以下で走行していたのは全体の15%であり、また、23%が制限速度を15km/h以上超過していた。これらのことから、ヤンバルクイナの交通事故がどの時期にどこで発生するかについてのリスクに影響する要因として、(1)ヤンバルクイナの繁殖生態に関連した活動性、(2)やんばる域内での交通量、(3)走行のしやすさやヤンバルクイナの接近のしやすさなどの道路環境、が示唆された。ヤンバルクイナの個体数減少をもたらす交通事故を減らすためには、ヤンバルクイナの生態とやんばる域内での交通量を考慮しながら、ヤンバルクイナの交通事故リスクを減少させるための道路環境の改良を行うことが重要である。これまでの、ヤンバルクイナを認識しやすくする取組みに加えて、ヤンバルクイナが路上に接近しにくくする対策が有効かもしれない。
  • 橋本 佳延, 服部 保, 黒田 有寿茂, 石田 弘明, 南山 典子
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 71-87
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    タケ類天狗巣病が竹林の林分構造や植物の種組成・種多様性に与える影響を明らかにするために、兵庫県三田市の竹林11地点を天狗巣病症状に応じて、健全、初期、衰退、再生の4段階に区分し、健全20区、初期36区、衰退20区、再生32区(合計108方形区)で天狗巣病の発症状況、林床の種組成と方形区(6.25m^2)あたりの出現種数について調査した。結果、健全段階から再生段階にかけて方形区あたりの枯死稈の本数は1.05本から4.00本と多くなる傾向を示した。一方、高木層の平均植被率は94.8%から23.5%と低くなる傾向を、第1低木層の平均植被率は2.8%から85.0%と高くなる傾向を示した。また第2低木層と草本層の平均植被率は健全段階から衰退段階で多くなり、衰退段階から再生段階にかけて少なくなる傾向を示した。方形区あたりの総出現種数は健全8.5種、初期9.3種、衰退20.4種、再生10.6種と衰退段階でもっとも多くなる傾向を示した。種組成は、衰退林分では草本層に埋土種子由来と推測される実生や稚樹が多く、照葉樹や常緑多年草、里山の主要構成種となる夏緑高木の実生が比較的高い頻度でみられたほか、つる植物や多年草が多種類確認された。再生林分では第1低木層でマダケの再生稈が優占するほか、夏緑低木やつる植物が低頻度、低被度で混生し、第2低木層、草本層では夏緑二次林の主要構成種よりも照葉高木・照葉低木の方が高い頻度、被度で生育していた。これらのことから、竹林で天狗巣病の症状が進行すると、高木層での稈の枯死、植被率の低下により林床の光環境が改善されて一時的に林床における出現種数や被度の増加が起こるが、その後に第1低木層で再生稈が優占することで光環境が悪化して、出現種数や草本層の植物の被度は健全林分と同等まで低下すると考えられた。また種組成調査の結果から、再生林分は、短期的には先駆性植物が疎な高木層を構成し低木層にマダケの再生桿が優占する群落へと遷移すること、中長期的には種組成の単調な照葉二次林へと遷移することが推測された。
  • 菊地 賢, 鈴木 和次郎
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 89-99
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    ユビソヤナギは北関東から東北地方にかけての大規模河川上流部に分布し山地河畔林を構成する高木性のヤナギである。自生地はこれまで非常に限られた地域からしか報告されておらず、絶滅危惧種に指定されている。近年、新自生地の発見が相次ぎ、ユビソヤナギの分布の全容が少しずつ明らかにされつつあるが、分布の可能性が示唆されていた東北地方日本海側の分布状況は不明であった。本研究では、東北地方の日本海側を中心にユビソヤナギの分布調査をおこない、自生状況を明らかにした。その結果、雄物川水系玉川流域(秋田県)、最上川水系立谷沢川流域および銅山川流域、赤川水系大鳥川流域、荒川水系荒川流域(山形県)の5箇所で分布を確認した。このうち、玉川流域、立谷沢川流域、銅山川流域の3箇所は本稿が初の報告となる。また、玉川流域は現在確認されている分布の北限となる。大鳥川流域はユビソヤナギの分布が延長19kmにわたり、東大鳥川ではユビソヤナギ林分が連続的に約8km出現する大規模な自生地であることが判明した。しかし、他の自生地はユビソヤナギ林分の分布範囲が約2〜3km以内の小規模なものであった。特に立谷沢川流域ではユビソヤナギが8個体しか確認できず、この地域個体群は絶滅寸前の状態にあった。これらの自生地の気候条件は暖かさの指数59.9〜87.8、寒候期の最深積雪217〜361cmとなり、これまで報告されてきた自生地よりも多雪地帯に偏っていた。また自生地は標高170〜640mに位置し、分布範囲のほとんどは河川上流部の、河床の平均傾斜度が2°から0.5°に減少する区間に限られた。今回の調査でユビソヤナギは東北地方の日本海側の多雪地域にも分布することが明らかになったが、地形的に限られた範囲でしか分布せず、自生地の多くが個体数が少ない小規模なものであるため、保護区指定を含めた保全策の検討が求められる。
  • 高橋 純一, 山崎 和久, 光畑 雅宏, Stephen J. Martin, 小野 正人, 椿 宜高
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 101-110
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    外来種セイヨウオオマルハナバチBombus terrestrisの野生化は、日本の在来マルハナバチの減少を引き起こしている。北海道の根室半島は、在来マルハナバチ15種のうち10種が分布し、北海道の希少種ノサップマルハナバチB.florilegusも生息しているため、重要な生息地の1つである。我々は2009年5月から9月に根室半島において在来マルハナバチ10種と外来種セイヨウオオマルハナバチの生息状況を調査した。その結果、訪花植物上で累計1000個体以上の在来マルハナバチ10種と外来種セイヨウオオマルハナバチを観察することができた。セイヨウオオマルハナバチは根室半島全域で見つかったが、根室市街地でのみ優占種となっていた。ノサップマルハナバチは女王蜂2頭と働き蜂14頭を沿岸部でのみ観察することができた。本種は根室半島において生息地の縮小及び分断化が進んでいるが、特にセイヨウオオマルハナバチが多い地域では、希少種ノサップマルハナバチと近縁種エゾオオマルハナバチBombus hyporita sapporoensisの減少が示唆された。これらの結果は、根室半島における在来マルハナバチの保護に早急な保全対策が必要であることを示している。
  • 山口 正樹, 杉阪 次郎, 工藤 洋
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 111-119
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    アブラナ科の越年生草本タチスズシロソウArabidopsis kamchatica subsp.kawasakianaは環境省のレッドリストに絶滅危惧IB類として記載されている。生育地が減少しており、その多くが数百株以下の小さな個体群である。著者らは、2006年春に、琵琶湖東岸において3万株以上からなるタチスズシロソウの大群落が成立していることを発見した。この場所では2004年から毎年夏期にビーチバレーボール大会が行われており、砂浜が耕起されるようになった。この場所の群落は埋土種子から出現したものと考えられ、耕起により種子が地表に移動したことと、競合する多年草が排除されたごとが群落の出現を促した可能性があった。2006年には、この群落を保全するため、ビーチバレーボール大会関係者の協力のもと、位置と時期を調整して耕起を行った。その結果、3年連続で耕起した場所、2年連続で耕起後に1年間耕起しなかった場所、全く耕起しなかった場所、初めて耕起し左場所を設けることができた。この耕起履歴の差を利用し、翌2007年に個体密度と面積あたりの果実生産数を調査することで、タチスズシロソウ群落の成立と維持に重要な要因を推定した。2006年に初めて耕起した場所では、耕起しなかった場所に比べて、翌年の個体密度、面積当たりの果実生産ともに高くなった。2年連続耕起後に1年間耕起を休んだ場所では、3年連続で耕起した場所に比べて、翌年の個体数は増えたが果実生産数は増加しなかった。また、結実期間中(6月)に耕起した場所では、結実終了後に耕起した場所に比べて、翌年の個体密度と果実生産数が低下した。これらのことから、秋から春にかけてのタチスズシロソウの生育期間中には耕起を行わないことと、結実後に耕起を行うことがタチスズシロソウ個体群の保全に有効であると結論した。このことは、ビーチバレーボール大会のための耕起を適切な時期に行うことにより、砂浜の利用と絶滅危惧植物の保全とが両立可能であることを示している。
  • 北川 久美子, 島野 光司
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 121-131
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    乾性放棄水田の埋土種子による水辺植生再生の可能性をさぐり、埋土種子を用いた水辺植生の再生や保全する方法を検討するため、「放棄水田」、放棄水田から水田にした前後の「復田前」と「復田」、湿性放棄水田から開墾した「池」において植生調査を行った。また復田した場所で確認された種の由来を検討するため、「復田前」から採取した土壌の埋土種子調査を行った。乾性放棄水田から水田にした「復田」とその土壌を用いた埋土種子調査から、「復田前」には見られなかった絶滅危惧種II類のミズマツバが発生した。同時に、水辺植生の構成種であるアゼトウガラシやタマガヤツリなどがみられた。また、湿性放棄水田から「池」にした地点では、絶滅危惧種IA類であるアズミノヘラオモダカ、絶滅危惧種II類であるサンショウモ、絶滅危惧種I類であるイチョウウキゴケがみられた。こうした事から、放棄水田から耕作し、水を入れることによって、放棄された当時の水辺植生を埋土種子から再生し、保全できる可能性があることがわかった。また埋土種子調査では水位によって発生した種が異なったため、再生するには水位コントロールも重要な要素であると考えられる。放棄水田の埋土種子集団が、水辺植生再生のために貴重であると考えられる。
  • 角谷 拓
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 133-145
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    生物の在・不在データは、個体数などと比べて比較的データの取得が容易であり、広域における生物の分布範囲を記述するためによく用いられる。しかし、現実の調査においては、本当は生物が存在している場所を誤って存在していないとしてしまうことがしばしば起こる。このように、対象生物の発見率が常に1とは限らないという現実を無視したまま、生物の空間分布を記述する統計モデルを構築すると、その推定結果には重大なバイアスが含まれてしまう可能性がある。本稿では、生物の在・不在データを対象とした統計モデルとして最も一般的なロジスティック回帰をとりあげ、その考え方やパラメータの推定方法について概説する。その上で、例題を交えながら発見率を明示的に考慮するようにモデルを拡張する方法について解説する。さらに、今後新たに広域において生物の空間分布情報を取得する際の調査デザインを策定する際の注意点についても述べる。
  • 片野 修, 佐久間 徹, 岩崎 順, 喜多 明, 尾崎 真澄, 坂本 浩, 山崎 裕治, 阿部 夏丸, 新見 克也, 上垣 雅史
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 147-152
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    The channel catfish, Ictalurus punctatus, is an invasive alien species introduced from North America. We investigated the present status of the fish in Japan and found that it is widely distributed in the Abukuma, Tone, and Yahagi River systems, as well as in Lake Shimokotori. In 2008 and 2009, several channel catfish were also caught in Lake Hinuma and the Miya and Seta Rivers. We concluded that the distribution of channel catfish has rapidly expanded within natural rivers during the past several years. To avoid severe damage imposed by channel catfish to the river ecosystems and inland fisheries of Japan, risk assessments and examinations of the ecological characteristics and methods of capture of this fish species are urgently required.
  • 中西 弘樹
    原稿種別: 本文
    2010 年 15 巻 1 号 p. 153-158
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
    The history and present status of the conservation of Hibiscus hamabo Siebold et Zucc., which grows around salt marshes and is considered a semi-mangrove plant, were studied. Recently, several localities of this species have been designated as town, city, and prefectural natural monuments. The species is listed in the regional Red Data Book for most prefectures where it occurs. Citizens and government departments have performed numerous conservation activities. The conservation activities of citizens have varied, although some have incorrectly involved transplanting H. hamabo from other regions. It is important that conservation activities are carried out not only by citizens but also by government departments and researchers.
  • 原稿種別: 付録等
    2010 年 15 巻 1 号 p. 159-162
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 付録等
    2010 年 15 巻 1 号 p. App6-
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
  • 原稿種別: 表紙
    2010 年 15 巻 1 号 p. Cover3-
    発行日: 2010/05/30
    公開日: 2018/02/01
    ジャーナル オープンアクセス
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